2007年9月2日日曜日

Chicago / Chicago Transit Authority

「今日の音楽」は、自分の音楽趣味のルーツを辿る旅でもあります。繰り返し、同じような話が出てくるかもしれませんが、ご容赦ください。

Chicago Transit Authorityって何? といっている、そこのお兄さん。80年代に入ってバラードのヒットを連発したソフト・ロック・グループのことだと思っていませんか?

確かにそうなんですが、自分にとっては、そいつは別バンド。1969に発表されたデヴュー・アルバム"Chicago Transit Authority"。次からは後ろが取れて Chicago という名前になった、やや政治色のある硬派のブラス・ロック・バンドこそが、シカゴなのです。

何が凄いって、最初の3作品('69 '70 '71)はすべて当時のLPレコード2枚組。こりゃ、まいった、と思っていたら、その次がどど~んっと4枚組ライブ(at Carnegie Hall '71)。

そして Saturday in the Park の大ヒットを含む5つめのアルバム('72)で、やっと1枚組。そして、自分にとってのシカゴは終了。以後は知らない。オリジナル・メンバーが脱退しようと、復帰しようと、拳銃事故で死のうと、2006年にまだいたよってんでアルバムをだしても知ったこっちゃない。

もちろん細かいことはわかりませんが、70頃のベトナムで荒れたアメリカ社会から生まれてきた、アート・ロックとかサイケなどといわれていた音楽の一翼として始まったのがブラス・ロックなのかな。

黒人系から発祥したゴスペル→ブルース→ジャズから強烈なRock'n Rollへと進化ギター・ベース・ドラム・キーボードが典型的な編成だったロック・バンドにバリバリのホーン・セクションを大胆に導入し成功したのが Blood Sweat & Tears。

で、その親類みたいな状況で出てきたのがシカゴでしたが、途中チェイスというライバルが出現するも、一気にそのジャンルのトップに躍り出ました。

現在の Sony Music Entertainment は、1968年にCBSソニーとしてスタート。その始まったばかりのレコード会社は、営業努力で年末に2枚組のベスト盤ボックスを独自に発売していました。洋楽は赤、クラシックは黒、さらにサンプラー1枚が付属して3000円はけっこうお買得感があったのです。

Simon & Garfunkel, Bob Dylan, Lenard Bernstein などと一緒にシカゴもこれらのベストで一気に知れ渡ります。というのも、レギュラー・アルバムがいきなり組物で高かったので、評判は聞いてもなかなか買えるもんじゃありません。

実際、Chicago V で初めて自分で買いました。さらに来日公演に合わせて、日本語で歌うバージョンを出したりして、日本での人気はヒートアップ。72年は渋谷陽一が 「ロッキング・オン」を創刊して、この辺から情報も増えてきたのでした。ロッキング・オンは当時は、わずか数10ページのミニコミ誌で、150円くらいだったような気がします。

それにしてもデヴュー作、1曲目、"Introduction"は、いきなりタイトなブラスがばっちりからんで、まさに「俺たちはこんな音楽をやるぜ、聞いてくれ!!」みたいな感じです。今聞いてもゾクゾクっとするきまりかた。

ここで、ブラスに慣れていたことが、数年後にジャズに自然とはまるきっかけの一つだったかもしれません。