2007年12月6日木曜日

ニュース 2題

今日は気になるニュースが二つありました。

ひとつは坑リウマチ薬による副作用死亡のニュース。さきのブログに書きましたが、朝日はいきなり79人が死亡という扇動的な見出しです。朝日は、いつもこんな調子で不安をあおるだけで、事実の伝達からはほど遠いのではないかと。使用していた人の中での死亡例すべての数だけを表に出して、副作用とはいえない死亡例のことについてはまったく触れていません。読売では、副作用と関連を否定できない死亡例は16例という文章になっています。この薬の製薬会社は、副作用などの問題点の収集と情報公開には積極的で定評があります。

ただ、大事なことは、いつも書いていることですが、そういう薬を使用しているということです。使う側も使われる側も、十分に認識することが大切なのです。そして、副作用の出現をいつでも可能性のあることとして考えていることが重要です。

もうひとつのニュースは、昭和大学病院(旗の台)の内科の専門医不正取得の話です。

現在、ほとんどの主導的な学会では専門医あるいは認定医制度を行っていて、現実に医者が宣伝として公表してよいというお墨付きももらっています。昭和大学の内科の医師数名が、受験資格を得るために他人の症例を提出したことが発覚したということです。症例の提出には教室責任者である教授が容認しなければなりません。内科学会は、当事者は3年間、全同門医師は1年間の受験資格停止というペナルティを発表。昭和大学は、内科学会からペナルティが課せられたので学内処分なしということです。

しかし、公的に使用することが認められている制度ですから、このことが社会的に制度の信用を著しく低下させたのではないでしょうか。なんだ、専門医といったってずるして取っているんだ、と思われるとしたら多くの医者に対して大変重大な損失を与えたことになります。

自分も日本整形外科学会の専門医とリウマチ医の資格を持っていますが、試験は非常に大変でした。それなりの受験勉強も必要でしたし、申請に必要な症例を集めることも大変だったのです。さらに、この資格を維持していくためには、相当数な教育研修会への参加が義務付けられています。それだけ、専門医を持っているということは医師自身にとっても患者さんにとっても大きな意味があるものなのです。今回の昭和大学の対応は、制度を軽視しているのではないかと思うのは自分だけでしょうか。