2008年2月3日日曜日

夫婦喧嘩は医者も食わない

夜間の救急は、たいていのことは「気の毒になぁ」と思えるし、たまに「しょうがないなぁ」とか「なんで昼間に来ないのよ」程度のことは思うことがあっても、基本的には前向きに対処する覚悟でいます。

が、しかし、しかしですよ、酔っぱらいだけは、同情できることはまずないんですよね。まぁ、昔は先輩に無理矢理に一気飲みをさせられたとかで、運ばれてきたくる人もいましたけど、結局飲んだのは自分でしょ、みたいなとこがあるわけです。さすがに、こればっかりは「嫌な仕事」ですよ。救急車の受け入れで急性アルコール中毒だけは、後で後悔しなかったことはありません。

まず、意識障害というのはやっかいです。本人が症状を自己申告してくれないので、もしかしたら脳出血かもしれない、なんてこともあり得るわけで、酔っぱらい相手にこっちはマジになっちゃう。連れてきた人に話を聞こうにも、たいていそっちも酔っぱらいなわけで、病院に来てシャキッとしている風なんですけど、酒臭いし、ほとんど状況はよくわからんという感じ。

とにかくアルコールを出すには点滴。大量の点滴をして、尿でなるべく早く出すしかありません。それも10分、20分では終わらない。数時間相手をしなければいけません。しかも、タクシーなら割り増し料金になるような時間からですよ。点滴に利尿剤を入れて、少しでも早く尿を出すなんてこともします。

酔っぱらいは、当然トイレに行きたくなります。動こうとすると、ドバーっと吐いたりして惨憺たる状況にしばしばなります。時には、尿カテーテルを入れたりしますけど、これは酔いが覚めてくるとけっこう屈辱的なので、状況によってですかね。そんなこんなで、ホロ酔い程度にもどったら帰ってもらうわけですが、ため息しか出ませんよ。

もう一つ、けっこう気まずい雰囲気で困るのが夫婦喧嘩。しかも、二人揃って来られると、どう話を聞いていいものか悩んでしまいます。どっちも口が硬くなっていて、状況がよくわからなかったり、逆に興奮していて、こっちにまでとばっちりきそうだったりと、これまた話が右往左往してしまいます。下手すりゃ警察沙汰かいな、ってこともあるわけです。

昨夜は、そういう困りものの救急がいっぺんに来ました。つまり、夫婦喧嘩をして殴り合い、奥さんはあちこちに打撲の痕、旦那は唇を切っていて、口の周り血がついていたりして。旦那家を飛び出し、飲み屋に行って酒をかっくらう。奥さん、家で一升瓶を抱えて飲みまくる。旦那が家に戻ると、奥さん意識朦朧、ぶるぶる震えている。旦那はあわてて病院に担いでくる(ということらしい)。

例によって、大量点滴利尿剤入り開始。旦那は耳から血が出たのは大丈夫でしょうか、なんて心配しているんですけど、やったのはお前だろう!!という感じですよ。そのうちトイレに行きたいというわけで、よしよし作戦進行中だぞ。そして、お約束。トイレでゲロゲロ。まぁ、トイレで吐くなら許せます。そうこうしているうちに、病棟で吐血。こっちは同じ吐くにしても、真っ赤な血ですよ。大変大変。あんたたちに関わっている暇はないんだよ(またもやつきを呼んでいる)。

日にちが変わって午前2時前には、ご帰宅していただきました。せめて、次回から酒か喧嘩かどっちかにしてよね。でも、できることなら他のところに駆け込んでくださいよ、と思わず声をかけたくなるのでした。

ブログランキング・にほんブログ村へ ← この記事が気に入ったらclickをお願いします