2008年3月22日土曜日

春は三月落花の形 比良の暮雪

さぁて、お立ち会い。蝦蟇の油は有名な落語。比較的よく知られている話で、ひたすら口上を覚えていないといけないので、ちょっと前座噺のような感じがしてしまいますが、実際は大道芸人になりきって演じるのは相当な技量が必要です。

一枚が二枚、二枚が四枚、四枚が・・・そして、細かくなった紙を一気に、ふーっと吹き飛ばし、春は三月落花の形とくるわけです。この辺が無いものを見せる落語の真骨頂というところ。

そこで、やっぱり六代目三遊亭圓生師匠に登場してもらうわけです。この人は、とても品のあるしゃべり口ですが、こういう芸人のぞろっぺえなところの描写にかけてもたいへん優れていたわけで、それが戦後にいっきに名人といわれるようになった所以であるわけで、蝦蟇の油にしても大道へおちぶれた武士が生活のために怪しげな膏薬を売りつけるあたりの雰囲気を演じきっていました。

特にしゃきっとしている前半の口上と酔っぱらった後半の口上の演じ分けは見事で、最後に本当に血が出てしまったのかと思うほどでした。

実際には生薬で、蟾酥(センソ)という成分があって、局所麻酔作用と血管収縮作用があって、切り傷の痛みと出血を減らす作用があったということです。本当に蝦蟇の脂汗を煮詰めた物かどうかともかく、本当に効くなら手術の時に便利かもしれません。