2008年10月8日水曜日

合う合わない

患者と医者の話。患者も人間、医者も人間。

良い医者、悪い医者、いろいろな評価があっても、普遍的なものではありません。

自分が、こいつはひどい医者と思っても、その医者じゃないと嫌だという患者さんは必ずいるものです。患者さんも、何この医者と思うことはしばしばあると思うんですが、別の患者さんは好きという。

うちに通院していた患者さんがお母さんを連れてお出でになりました。自分としては、丁寧に説明したつもりです。老化現象的な問題だったのですが、あまり直接的な表現は避けてお話をしました。でも、その後は通院されることはありませんでした。

後で聞いたら、とにかく痛いところを何とかしてくれればよかったのに、年を取ったせいだという説明を長々とされたのが面白くなかったということでした。う~ん、難しいですよね。

薬を出してくれるだけで話をしてくれないと思う患者さんもいれば、薬を出してもらいたいだけなのにいちいち症状を聞かれて面倒だと思う方もいるわけです。

もちろん患者さんは医者を選べても、医者は患者さんを選べませんから、どんな患者さんにも少しでも合わせるよう努力はします。でも、最終的には人間ですから、どうしても満足してもらえないということはあるわけです。

自分は過去に一人だけ、頼むから二度と来ないでくださいとお願いしたことがあります。その患者さんは病気が手術で何とかなると思っていて、外来にやってきては1時間近くねばって、いろいろな質問をしてくるのです。

手術をしてもよくはできないと、いくら説明をしてもわかってもらえません。当然、外来全体に支障をきたすわけです。ところが、ほかの病院でも食い下がって、結局負けて手術をしてしまう医者がいるんです。当然、結果は良くありません。

すると、自分の外来に戻ってきて、何で良くならないのかという質問を延々としていくのです。さすがに、どうしようもありません。なんで手術をしちゃったのよ、と執刀した医者を恨みたくなります。

さらに、別の病院でまた手術を受けてきて、もっと状態を悪くして戻ってくる。さすがに、もう勘弁してくださいという気持ちになりました。

これは患者さんが悪いわけではなく、もとは手術をしてはいけないということをしっかり説得仕切れなかった自分にも責任があるんですよね。

この患者さんからすれば、自分は「合う」医者だったのかもしれません。ところが、自分はこの患者さんとは「合わない」と考えてしまったのは、やはり医者としての失敗だったように思います。

患者さんに合わすということは、患者さんの立場を理解するということで、医者として基本的な必須の技術なのだろうと思います。早く、そこまで習得したいと思います。