2008年10月15日水曜日

一番痛い注射

と、言っても、人によって感じ方は違うわけですが、おそらく腱鞘炎の注射はその人が経験する痛い注射のベスト3くらいに入るのでないかと思います。

腱鞘炎とは読んで字の如く、筋肉の先の紐の部分の腱の鞘(さや)で手の平の指の付け根付近、あるいは手首の周囲などで腱が浮き上がらないように押さえているトンネルです。

手を使いすぎた場合などに、腱と腱鞘がすれて、その結果炎症を起こした状態が腱鞘炎。炎症を起こすと、腱鞘は腫れて腱をしめつけ痛みや動かしにくさを出してきます。

そこで、炎症を抑えるステロイドという副腎皮質ホルモンの薬をこの腱鞘内に注入しようという治療法がしばしば使われるわけです。もともと窮屈なトンネル、それも炎症を起こしてさらにきつい状態のところへ無理矢理薬を注入しようというのですから、痛くないはずがありません。

テレビドラマとかで、急に意識を失ってばったり倒れるなんていうシーンがありますが、そんなことはあるまい、と思うでしょう。実はあるんです。

腱鞘炎の注射で、「大丈夫ですかぁ」なんて聞いてみると返事がない、顔を見ると蒼白になっていてばったり倒れる。こんな経験が今までに2回くらいあります。いずれも男性。男は痛みに弱いんですよね。その点、女性は偉大です。

こんなことを書くと、もう注射しようという患者さんがいなくなってしまうかもしれませんが、もちろん一般的な治療として広く行われていることで、大丈夫な方も大勢います。それで治るなら、我慢できないほどのものではありません。

まぁ、痛くないですよ、心配ありません、と言って注射するとむしろ「すごく痛いじゃないか」と怒られてしまいます。なるべく大袈裟に言っておいた方が、「思ったより痛くなかった」となりますので、あしからず・・・