2009年3月1日日曜日

医者の不養生

医者は他人の健康のために働く仕事ですが、しばしば自分の健康のことは忘れがち。いざ、自分のこととなると、面倒くさいなどと不遜な考えを持つものが少なくありません。

かく言う自分も、必ずしも自分の健康をしっかり気にしているとは言い難い生活を送っています。しかし、医者になって25年。幸いなことに、今までに自分の健康を理由に休んだことは一日たりともありません。

100%健康だからというわけではありませんが、実際のところ勤務医 - 特に外科系の - であっても、開業医であっても、自分の代わりがいない職業であるので、ちょっとの体調不良は休む理由にならないのです。

ちょっとくらいの風邪は当然のこと、熱があってからだがだるくても、少なくとも周りに移してしまうような病気でない限りは休むことはできません。

25年間に、数回は39度くらいの高熱を出した経験はあるのですが、なんと幸か不幸かすべて休日のことでした。今までの最大の危機、というほどのことではありませんが、一番辛かったのは左の手のひらのケガをした時。

自分の不注意で手のひらをナイフで5cmくらいざっくり切ってしまいました。すぐに縫合してもらったのはいいのですが、問題は毎日のようにある手術。手術の時は、手を清潔にするためにブラシでごしごし洗うのが慣例でした。当然、傷をごしごしすれば痛いわけで、最初の数日は血が滲んでしまいました。さすがに4~5日もすると、あまり痛くはなくなりましたが、随分と情けない思いをしたものです。

開業医になると、代役がいないのはもちろんですが、直接収入にも影響するわけですから、なおさら健康には気を使わなければならない・・・とは、わかっていますが、食生活もいい加減になりやすいし、運動不足なんてものじゃありません。

自分の内科の開業医だった父も、突然の脳梗塞で倒れて、医者なのですから自分のことはわかっていたんだろうとは思いますが、なかなか休むとは言いませんでした。ですから、休みたくないけれども、麻痺が出てどうにも言うことをきかない自分の体に対して、どれほど悔しい気持ちを持ったかは想像に難くありません。

今日は、朝から頭痛が続いてどうも体調がすぐれなかったので、こんなことを一日考えていました。まぁ、夕方からだいぶ回復したので、明日からの新しい月の診療はまたがんばれそうです。