2009年7月21日火曜日

あすなろ海水魚館 水質管理の基本

縁日とかで金魚すくいをしてきて、丸い金魚鉢に入れて飼ってみたことが無いという方はいないと思います。同時に、すぐに金魚が死んでしまって悲しい思いも必ずしたことでしょう。

自分も何匹も金魚を死なせていますから、こどもの頃は熱帯魚とかをずっと飼い続けている人がいるというのは不思議でなりませんでした。

ところが、あるとき水の中の魚に悪い影響を及ぼすものをこし取ればいいと言うことに気がつくわけです。なるほどフィルターなるものをつけて水道水の浄化のようなことをすればいいんだ、ということなんですが、どうもそんな簡単な話だけではなさそうです。

水槽の中にはどんなものが入っているかということをよく理解しておかないといけません。まず、ほとんどの場合、水そのものは水道水を使います。川・湖や海で飼育のための水を簡単に汲んでくることができれば話はべつですが、そういう環境にいる人は限られます。

まず水道水で生体に影響するのは殺菌のために混入されている塩素です。ですから、最初に必ずしなくてはいけないのはカルキ抜きと呼ばれる塩素の中和剤を添加することです。

あと水道水にはケイ素が含まれていて、これが水槽内の茶ゴケの原因になりますが、かなり高価なRO水という浄化装置を用いないと除去できないので、ケイ素を除去することよりできたコケをいかに掃除するかを考えた方が良いようです。

さて、魚にとっては海水は人間の空気と同じ。これがないと生きていけないのですが、魚はその中に排泄物を出しているわけです。この排泄物と食べ残しの餌などから発生するタンパク質やアンモニアが問題になります。

単純なゴミとかをろ過するのが物理的ろ過というもので、通常何らかのフィルターを用いて行うわけです。しかし、アンモニアは水中で亜硝酸塩に変化して猛毒を示しますが、物理的にこし取ることはできません。

そこで、アンモニアや亜硝酸塩を分解して魚に無害な硝酸塩に変化させることが必要になってきます。この課程を行ってくれるのが生物ろ過。つまりろ過システムの中に細菌を繁殖・定着させることで行うわけです。

最後の硝酸塩はとりあえず魚には大きな負担にはなりません。ただし、ある程度たまってくるといろいろと問題を起こすので、これを取り除くために定期的な水替えが必要になるわけです。

通常1~2週間に1回程度、全体の推量の1/4~1/3程度を新しい水に替えます。ここで、できるだけ水替えを減らしたい場合には、還元ろ過という方法を追加していきます。

酸素の少ない嫌気性環境で働く細菌を利用すると、硝酸塩も強制的に分解することができるわけです。魚だけの水槽であれば前半の酸素下で行われる好気性ろ過細菌だけしっかりと定着できていればOKですが、サンゴやイソギンチャクも飼う場合は後半の嫌気性ろ過もあった方がベターと考えられています。

生物ろ過の定着が水槽立ち上げの完了であり、安心して生体を入れることができるサインということになります。これをできるだけ早く完成させる方法として、一般的になっているのがライブロックという海から採取してきたままの岩を投入する方法です。

このような岩の細かい穴の中にはすでに細菌や小生体がいっぱい定着しており、早期に効果を発揮するわけです。ただし、初期の水槽が落ち着きにくい時期は魚が病気にかかりやすいのですが、薬を使用するとライブロックの生物も死んでしまうので使えないという欠点があるようです。

ライブロックを使わないのであれば、市販の細菌を投入する手があります。毎日少しずつ入れていき、細菌の餌として魚の餌も魚のいない水槽に投入します。かなりゆっくりですが、少しずつ細菌が定着するので、水質検査をしながら増えてきた亜硝酸塩が減少し硝酸塩が増え出すのを確認できればOKということになります。

またテストフィッシュ(あるいはスターターフィッシュ)と呼ばれる打たれ強い魚を早期に投入して、細菌の定着を即すという方法もあるのですが、もしかしたらみすみす魚を死なすことになるわけで、あまり気持ちの良い方法ではありません。

と、まぁ、こんなところが最近勉強した水槽の水管理の基本事項のまとめと言うことになります。これは自分用のメモです。興味のない方にはつまらない話ですが(もっとも、これまで書いていることもそんなもんですけど)、いつかどこかで役に立つかもしれません・・・