2009年8月21日金曜日

PRIDE

患者さんはいろいろだと思う。

医者に対して妙にへりくだって、自分たちを「お医者様」と呼んでくれる。そうかと思うと、「医者なんだからさっさと治せよ」といわんばかりの態度をとる。

長時間お待たせしても「忙しくて大変ですね」とこちらを労ってくれる。逆に「他に用があるのに、どんだけ待たせるんだ」と怒る。

どっちらにしても患者さんであることに間違いなく、何か体の不調があって困っているから病院にくるのは同じ。少しでも早くに、その不安を取り除くのが我々医者の仕事。

中には典型的な症状で診断が簡単なものもある。治療が容易で、すぐにでも治すことができることもある。そう言う場合は、こちらも悩まないし、帰るときにはどんな患者さんでも笑顔で帰ってもらえる。

でも、中にはなんでこんな症状が出るんだろう、と悩むとがある。どうやったら治せるのかわからないことがある。治し方がわかっていても、手が出せないことだってある。

自分の知識や経験が未熟というのが理由かもしれない。まだ、研究が進んでいないためかもしれない。自分のようなクリニックという単位の能力の限界であるかもしれない。

そんな時、自分の知っていることの限界、自分のできることの限界、自分のクリニックの限界などを知っていることが大切だ。

それを理解していないところには、必ずミスが発生する。多くのミスは、直接は患者さんに不利益をもたらさないかもしれない。しかし、いくつかは患者さんに迷惑をかけるだろうし、さらにいくつかは重大な不利益を生じさせる。

だからといって、極端に行為を制限してしまうことは萎縮につながり、患者さんのためにはならない。たえず、今できることの最大限のことを患者さんに提供することが医者の勤めだ。

医者も一人の人間だし、家族を抱えていれば養っていかなければならない。すべてのことを患者さんのためだけに費やすことはできない。家族を守るという気持ちは、医者じゃない人と変わる物ではない。

そういうジレンマの中で、時には家族に犠牲を強いているかもしれない。あるいは患者さんの不安を除ききれずにいるかもしれない。

大きな責任を持つ仕事であり、きつい仕事であることは間違いない。世間一般からすれば高収入であることも間違いない。だからこそ、高いプライドを持って仕事をしたい。

いろいろな患者さんがいても、みんな笑顔でクリニックから帰ってくれれば、医者のプライドを保つモチベーションになってくれる。そういう気持ちを忘れないように、毎日の仕事をしていきたいと思っている。