2010年1月26日火曜日

フットケア

開業するまでは、自分の専門とする関節リウマチや手の外科の問題を除くと、腰痛と膝痛が最も外来で多い訴えでした。

ところが、今よく見る問題としては腰や膝はもちろんですが、いわゆる四十肩と扁平足がかなり多いのです。四十肩のことは、ついこの前書いてしまいました。扁平足については靴の問題にからめて書いてみました。

でもちょっと書き足りなかったので、もう少し考えてみましょう。

足の問題は根はけっこうひとつだったりするのです。足は細かい骨がいくつも組み合わさって形ができているわけで、それらをつなぐ靱帯は年と共に緩んできます。

また、足の形をたもつための細かい筋肉も弱くなってくる。その結果、どうがんばっても、足の形はくずれてくるわけで、体重の重みがかかってぺったんこになっていくことは、ある意味人間の宿命かもしれません。

骨の並び方は弓なりになっているのですが、弓に対して弦の役割をしているのが足の裏にある足底腱膜というすじ。ぺったんこになってくると、足底腱膜にかかるテンションが強くなってくるので、付着部のかかとの付近か、あるいは指の付け根あたりに痛みが出やすくなってくる。

かかとの腱膜付着部は、少しずつ骨が盛り上がってとげのように出てくることがあります。このようなものを牽引力による骨棘(こつきょく)といいますが、特に朝起きたときの最初の一歩が痛いんです。

一方、指の骨の並び方も横方向に弓なりになっていて、端の親指と小指に比べると真ん中の3本は比較的上に上がっています。これが落ちてきて横一列に並ぶようになると、横幅が広がってしまい幅広足、つまり開張足(かいちょうそく)と呼ばれる状態になってきます。

すると、指の付け根で骨が皮膚を刺激しやすくなるため、いわゆるたこと呼ばれる皮膚がやたらと硬くなってしまう状態が起こりやすくなります。また指と指の間を通る神経が締め付けられやすくなって、びりびりとした痛みが出やすくなります。

さらに横に広がった親指と小指は靴の中で押されやすくなるので、外反母趾、あるいは内反小趾とよばれるような問題を引き起こしてくるのです。また、爪も圧迫をうけて血流障害も加わって巻き爪ができやすくなる。

そんなわけで、年を取るのに従って順番にこれらの問題を起こしてくるのは、ある程度しょうがないことなんですが、困ったことに最近は若い人に多くなっている。これは靴の問題も大きいのは確かなのですが、一番は日本人が歩かなくなったことが大きい要因と考えられています。

我が家でも、近くのコンビニに行くにも車を使ってしまうわけで、とにかく10分歩くのも嫌がるようになってしまいました。足の中の細かい筋肉が発達しないため、こどもの頃から扁平足で、つま先立ちをする力が無くなってしまうのです。

二足歩行動物である人間の足が退化してしまっては、下手をしたら生物のとしての存在へも影響を与えかねません(って大袈裟ですけど)。足の問題は命には直接関わらないかもしれませんが、生活への影響が多いので無視できない。是非、みなさん足のケアを忘れないでください。