しがないクリニックの院長の唯一の楽しみ、というか無駄遣いとも言われていますが、クラシック音楽CDの収集は今年も続きました。
思えば、クリニック開業して最初の2年間くらいは、ほとんどよけいなことに出費している余裕はなく、3年目あたりからやっと月に1万円以内くらいかけてきました。
最近は、月に平均して1万5千円くらいにグレードアップ。まぁ、このあたりに余裕がでてきたことを実感するといのも、どうも小市民的な発想でなんとも言えないところです。
クリニックに使うBGMという大義名分があるとは言え、最初は有名作曲家のピアノ独奏曲を中心に、続いて室内楽曲に手を出し、それもだいたい揃ってくると、次はあまり聞いたこともないよいな作曲家のものをあさり出す。
このあたりは、クラシック音楽という、ある程度限られた文化遺産を集める以上はやむ得ない道筋ではないかと。ところが、今年はさらにマニア度アップで、有名作曲家の有名曲を自分で、あるいは他人が編曲した物に手を出しました。
これはけっこういばらの道で、CDを探すのも苦労するのですが、そうそう売れる物ではないようで、注文してもなかなか手に入らない。2ヶ月待って、結局入手困難となることも珍しくはありません。
メジャーなものとしては、ベートーヴェンの唯一のヴァイオリン協奏曲を自分でピアノ協奏曲に書き直した物なんてのがあります。面白いようなつまらないような不思議なところで、まぁそれはそれでいいか、ってな感じでしょうか。
モーツァルトの有名歌劇は、けっこう室内楽版になっていることが多い。昔は評判の音楽をこうやって、家で楽しむという目的があったわけです。オペラの苦手な自分でも楽しめるので、これはなかなか楽しめました。
ショパンの数少ないピアノ協奏曲は、室内楽版とピアノ独奏版もあるんですね。はっきり言って、オーケストレーションの下手くそなショパンなので、編成が少ない方が、ピアノがきわだって面白い。
バッハは楽器の指定があいまいだったりして、いろいろな楽器で演奏される機会が多いので、もともと様々なバージョンがあって、一定の形ができあがっていたりします。ゴールドベルグ変奏曲、無伴奏チェロとか無伴奏ヴァイオリンなどは、いろいろな楽しみ方のできる宝庫みたいなものです。
日本の歌舞伎のような古典芸能に共通する部分ではないかと思うのですが、こういう古い文化というのは、文化の継承という形にこだわれば進歩はまったくないわけで、生き残っていくためには時代にあったいろいろな変化というのは多少は必要なはず。
そういう意味では、編曲物というのはクラシック音楽を、状況に合わせて変えていくことで、命を吹き込んでいくという役目があるように思います。もちろんオリジナルを知った上で楽しむべきでしょうが、表舞台で語られることは少なくてもそれなりに無くてはならないものなのかもしれません。