2011年12月17日土曜日

リウマチ告知

関節リウマチ診療では、患者さんとの対話の時間が大切です。特にリウマチという診断を下すときには、かなりの時間的な余裕がないと、なかなか患者さんに納得してもらえるだけの話ができません。

今日は、あらたに発症したの思われる患者さんの診察をしました。もともと数ヶ月前から関節痛がはじまり、1ヶ月ほど前に最初の受診をした方です。

初診の時点で、怪しい関節の症状を持っていたのですが、血液検査結果を見るとなかなか断定できませんでした。現在は、数年前に改訂されたアメリカとヨーロッパの学会が共同で策定した分類基準というのが診断確定のために使用されています。

分類基準を満たしたからといって、本当にリウマチと言えるのか悩むことがあります。逆に、満たさないのですが、リウマチとしか考えようがないという場合も少なくありません。

今回の患者さんの場合も、分類基準ではぎりぎりのところで、診断を確定することができなかったのです。ここで基準にこだわるのは、やはり自分の経験や直感だけでは第三者を納得させることができない場合があるからです。そして、副作用が怖いリウマチ薬を使用するための根拠として重要と考えるからなのです。

そこで、1ヶ月間程度経過をみさせていただき、症状の変化がないことから、もう一度血液検査と超音波検査を行いました。超音波検査では、関節周囲にわずかですが血流の増加を認めて、炎症により充血した状態と考えられました。

そして、血液検査では、前回よりもわずかですが関連項目の悪化と新たに調べた項目でも異常値を認め、完全に分類基準を満たすことになりました。

「残念ですが、関節リウマチという病気であると言わざるをえません」と患者さんに報告するのはけっこう気が重い。検査結果と関節リウマチという病気の説明からはじめ、現在の治療法の概略、そして期待できる経過までを話すと、これだけでも15分くらいはゆうにかかってしまいます。

ここまでを患者さんが納得してくれれば、次は具体的な薬の治療の話。ここで重要なのは薬の副作用の説明です。そして、正しく服用して定期的な通院が必要なことを十分に理解してもらうためには、さらに15分は最低でも必要。

今日も、30分間程度の時間を費やしてしまいました。それで十分かと言うと、まだまだ説明しておきたいことは山ほどあります。さすがに次に待っている患者さんがいたので、今日はここまでにしました。

今後は、通院していただく中で、少しずつ追加の話をしていくことになります。もっとも患者さんも、一度にあれやこれやとたくさん説明されても、なかなかすべてを理解していくというのは大変です。

患者さんが病気そのものを理解していることは、リウマチ診療では大変重要なことなので、同じ話になるかもしれませんが、繰り返し説明することは、けっして無駄にはなりません。

今では、「不治の病」いうより「治せる病気」という位置づけになってきているわけですから、医者と患者さんと一緒になってがんばっていきたいと思います。