2012年2月11日土曜日

日野皓正 / Speak to Loneliness


日野皓正は言わずと知れた、日本の代表的なジャズトランペッター。60年代に頭角を現し、70年代は日本のジャズ界を牽引し、渡辺貞夫と人気を二分したわけです。80年代からはクロスオーバー、今で言うフュージョンに向かいました。

今年で70歳ですから、かっこよかった若かった頃のスタイルを持ち続けているものの、ずいぶんと年を取ったものです。正直、80年代以後については、オリジナリティの部分が隠れてしまい、「らしさ」が消えてしまった感じがします。

それはともかく、70年代はもっとも輝いていたのは間違いなく、その頃の代表作がこの''Speak to Loneliness''でしょぅか。プロデューサの鯉沼利成氏が立ち上げたEAST WINDというジャズレーベルから1975年に登場したもの。

それまでアメリカの真似でしかなかった日本のジャズでしたが、EAST WINDが70年代に登場して日本の独特のハード・ジャズを形成していくのに大きな役割を担いました。

メインのアーティストは、日野皓正以外に渡辺貞夫、菊地雅章らで、まさに日本ジャズの主力メンバーが集結していました。

このアルバムはドラムは、亡くなった弟の元彦、ピアノは板橋文夫、テナーに宮田英夫、そしてベースが岡田勉というクインテット。タイトル曲は当時のLPレコードの片面いっぱいに演奏される力のこもった曲。

ゆったりとした、やお雅楽のような趣があるイントロダクションから力のあるリフが始まり、テーマが始まる。ゲストの杉本喜代志のギターや向井滋のトロンボーンも加わり、一気にテンションが上がります。

今はこういう音楽をやれる人がいなくなってしまいました。それはジャズという音楽が勢いをなくし、衰退したこと意味します。一番輝いていた時代、その記録の一つがこのアルバムです。