2012年4月5日木曜日

間質性肺炎

これは胸のCT検査の画像。たぶん医者が見れば、とんでもない肺だねぇとびっくりするような写真です。

関節リウマチという病気では、直接命の危険があるわけではありませんが、肺の合併症が起こるとかなり危険な状態になることが珍しくはありません。

このCTの状態は間質性肺炎という状態で、肺が硬くなって空気が入って膨らむことができず酸素の受け渡しが難しくなります。

通常、肺炎というのは空気の通り道に細菌が入り込んで化膿した状態。ですから、膿の混ざった痰がたくさん出て咳き込むことが多い。間質性肺炎は、空気から酸素の取り込むために空気の通り道に沿っている血管が炎症を起こすのが特徴。

空気の通り道には病変がないので、痰が出ないのが特徴です。しかし、咳はやたらと出ので、痰のからまない「空咳」という表現があります。血管が通っている場所が、炎症のために線維化という状態起こしてどんどん硬くなってしまうわです。

実は、抗リウマチ薬の副作用によっても間質性肺炎が起こることがわかっています。合併症のよるものなのか、副作用によるものなのか、ある程度の特徴の違いがありますが、なかなかはっきりとどちらと決めることは困難な場合がすくなくありません。

いずれにしても、リウマチ診療ををしていると最も注意をしなければならないポイントの一つで、調子が良くても必ず月に一度は受診してもらいたい大きな理由の一つなのです。

自分も整形外科医ですが、ちょっと気になる時は内科医のようにすぐに聴診器で呼吸音を聞かせてもらいます。さらに気になる時は胸部のレントゲン、さらに怪しいときはCT検査を依頼するわけです。

とにかくリウマチの診療では、リウマチそのものよりもこういう派生してくるかもしれない問題が重要で、そういう意味でも診診連携や病診連携を構築していくことはとても大切なのです。