2012年6月6日水曜日

一般名処方加算

4月から医療の値段が改定されているんですが、一般名処方加算というのが新しく登場したのご存じですか。とりあえず、なんとも医療の現場や薬局が大混乱した元凶なんですけどね。

例えば、市販薬にもなったので知られている、痛み止めのロキソニンという薬があります。このロキソニンというのは商品名です。一般名は薬の有効成分に対する名前で、ロキソニンの場合はロキソプロフェンと呼んでいます。

処方箋を出すときに、今まではロキソニンという名称を使っていたのですが、ロキソプロフェンと記載すると医療機関は20円(3割負担のかたで7円)よけいに貰えるようになりました。医療機関としては収入が増えるから、一見いいように思えますが、これがかなりめんどくさい。

よく使う薬はいいのですが、めったに処方しないような薬の場合、「これなんだっけ?」という状況になり、薬の本などで再確認しないといけません。まぁ、そのくらいでへこたれてはいられませんが・・・

ところが、同じ痛み止めでセレコックスという薬をセレコキシブという一般名で処方箋を出した場合には、なんと加算がとれません。どういうこと? それはね、セレコックスにはジェネリック薬がないからだよ。

つまり、この一般名加算は一般名で処方することにより、よりジェネリック薬を使用しやすくするためのものだということなんです。厚労省はこのところ、より安いジェネリック薬の普及にやっきになっているわけで、この加算もその一環ということです。

医療費を抑制するということからは、ジェネリック薬を利用することは多少は意味のあることだと考えられています。ただ、今回の一般名処方加算という名目ならどんな薬に対しても加算がとれないとおかしい。それならジェネリック処方加算とするべきです。

裏を返せば、厚労省はジェネリックのない新薬は使うなということです。製薬会社は新薬は使って貰えない上に、薬の「特許」が切れてジェネリックが出だすと古い薬も使って貰えないということになります。

少なくとも自分は、リウマチ薬についてはジェネリック薬は使用していません。処方箋にも変更不可としています。これは、ジェネリック薬に対してまだまだ信用ができない点があることと、ジェネリックばかりになると新薬の開発がにぶってしまうことを心配するからです。

厚労省は医者にジェネリックを処方させたいのであれば、ジェネリック薬の製薬会社にもいろいろな薬の情報の発信や、副作用などの調査を義務づけるべきです。ジェネリック薬が安価なのは、開発費がかかっていないことと、発売後のきちんとしたアフターケアがないからだということも一般に知って貰うべきでしょう。

大多数のジェネリック薬には大きな問題はないかもしれませんが、もっと根本的な医療保険の仕組みを考え直さないと医療費の問題の解決にはほど遠いのではないかと思います。