2012年7月9日月曜日

どうせ人生で敗北したことなんてないでしょう

5年くらい前に、ある知人に言われた言葉です。相手はだいぶ酔っていたので、そんなことを言ったなんて覚えていないでしょうね。でも、酔っているだけに、本音の部分が出たのではないかと思います。

これがけっこうグサっと心に刺さって、いまだに何となく引きずっている。自分はいろいろ大変で苦労している。それに比べて、医者のあなたはボッチャンで苦労知らず。そこで、「人生で敗北したことなんてないでしょう?」となったわけです。

7年前にクリニックを開業して、事前の計画では1年で赤字がなくなるはずで、意気揚々としていたはずの頃ですが、実際はそんなに甘いものではありませんでした。

どんどん貯金は無くなって、テナント料は半分を待ってもらい、子供の学費も滞納。クリニックは自分と家内と受付一人というわずか3人だけでやっていた頃です。 ある意味、人生最大の難局と言えるかも知れません。

お金をかけずに自分でできることは何でもやりましたし・・・おかけで体重もずいぶんと減って、体だけはいたって健康というのも皮肉なものです。丸3年を過ぎてやっと赤字から脱して、少しずつ経営に余裕ができるようになり、スタッフも徐々に増えました。

とは言っても、今でもスタッフは5人で、たいていの整形外科クリニックからすると患者さんの数は2/3くらいでしょうか。でも、そのくらいのペースでないと、なかなか自分のやりたい診療ができないと思うので、まぁいいかなと思うこの頃です。

実際のところ、「人生に敗北する」と言うことは、「死」ということだと思います。自殺でもして自ら死を選択しない限り、真の意味で人生に敗北する人はいないと思うんですよね。どんなにどん底でも、まだいろいろ頑張っていられるうち、つまり戦う姿勢を見せているうちは負けではありません。

その言葉を自分に投げかけた人も、たぶん自身が敗北したとは思っていなかったことでしょう。現実に、今でもそれなりに順調に仕事に精を出しているように見えますから。

結局のところ、ごく少数のぼろ勝ちする人もいますけど、ほとんどの人生ではちょっと勝利という感じなんではないかと思っていたりします。そまでの起伏は大きい方が、人としてより成長ができるのかもしれません。