2012年8月5日日曜日

史上最高の映画


イギリスにSite & Soundという雑誌があるんですね。いやいや、まったく知りませんでした。イギリス映画研究所が発行していて、なんと1962年以来、10年に一度史上最高の映画(The Greatest Films of All Time)を世界の評論家の投票できめているというじゃありませんか。

今年の投票は846票中191票を獲得して、アルフレッド・ヒッチコック監督の「めまい」が見事第一位に選出されたそうです。過去5回では、オーソン・ウェルズ監督の「市民ケーン」が5連覇していたといことで、昨年の2位からの逆転だそうです。

なんとなく不思議な感じがするというのは、過去のフィルムについては一度投票すれば、その優劣に対する評価は確定するわけですから、順位が毎年変わるというのはどうもよくわかりません。新しい作品が、順位の中に食い込んでくるのは理解できますが、長い歴史の中でそうそう最近のものが入ってくるとも思えない。

投票する人が変わってくると、映画の評価の基準というものが変わってくるということなんでしょうか。時代によって、価値観が変わるということと同じかもしれません。とは言っても、順位の変動はわずかなもので、史上最高の映画に顔を出す作品はだいたい決まっています。

1.「めまい」(58/アルフレッド・ヒッチコック)
2.「市民ケーン」(41/オーソン・ウェルズ)
3.「東京物語」(53/小津安二郎)
4.「ゲームの規則」(39/ジャン・ルノワール)
5.「サンライズ」(27/F・W・ムルナウ)
6.「2001年宇宙の旅」(68/スタンリー・キューブリック)
7.「捜索者」(56/ジョン・フォード)
8.「これがロシアだ(カメラを持った男)」(29/ジガ・ベルトフ)
9.「裁かるゝジャンヌ」(27/カール・テオドール・ドライエル)
10.「8 1/2」(63/フェデリコ・フェリーニ)

一番新しいもので2001年宇宙の旅ですから、70代以降は傑作がないということでしょうか。自分的にはそれでもいいのですが、所詮好き好きというのは個人個人の主観的な判断ですし、まして映画を仕事にでもしていないとすべての映画を鑑賞するなんてこともありません。

ですから、こういう投票結果は「評論家が映画好きの方に是非見てもらいたい作品」として選んだものくらいに考えていればいいんでしょう。

個人的にはヒッチコック・フリークを気取っているので、「めまい」が一位というのは素直に嬉しい。もっとも、好きなヒッチコック作品は別にありますけれど。さらに日本人としては小津作品が3位につけていることも誇らしい感じがします。