2012年11月3日土曜日

太陽にほえろ

もしも、今「太陽にほえろ」をやっていたら・・・

「太陽にほえろ」は70年代を代表する刑事ドラマ。戦後昭和のどまんなかに育った自分たちにとっては、すべてのテレビ番組の中でも最も人気を博した物ではないでしょうか。

何しろ当時は、10数回で終了なんてことはない。14年間、全718回。水戸黄門並みと言っても過言ではありません。放送する日本テレビも、金曜日だけは巨人に野球の試合をさせなかった。

「踊る大捜査線」の第一回は、青島刑事が取り調べのシミュレーションをするところから始まります。ここで、「警察をなめんじゃないよ」と机を叩いたかと思うと、「タバコ吸うか」「カツ丼たべるか」「くにのお袋さんどうしてる」など泣き落としにかかり、「刑事ドラマの見すぎ」と言われるわけです。

これあたりは、まさに「太陽にほえろ」で作られた刑事のイメージそのもの。踊るは、「太陽にほえろ」のパロディからはじまったのです。

ドラマですから、リアルタイムでも突っ込みどころは満載でした。しかし、それでもそれまでの犯罪物のドラマの中では、現実感を強く表に出し見ている側には、警察というところをこういうところなんだと強く印象づけることになりました。

ただ、さすがに昭和と現代では、世相もだいぶ異なります。今、もう一度作られても、昔を懐かしむ世代には喜ばれても、新たなファンはつかないだろうなと思います。

まず、そもそも七曲署の刑事部屋は当然禁煙。刑事たちは、署内敷地内のの隅っこの喫煙スペースで、寒さに震えながらタバコを吸って、そこが捜査会議場になっている。

拳銃はほぼ発砲禁止。車での派手な追跡も厳禁。ちょっとやると、すぐにメディアに行き過ぎと叩かれ、ボスがそのたびに記者会見。「正当な行為でした。しかし、市民に不安を与えたことは遺憾に思います」と頭を下げるんじゃしまりません。

殉職者がでたら、当然上司も責任を取らされ、あっという間に降格人事です。ボスが、あっという間に平に戻ってしまいます。

そもそも、マカロニもジーパンも携帯電話を持っていて、刺されても撃たれてもすぐに救急車を呼べたかもしれないですしね。そんなに簡単に殉職したりしないでしょう。

まあ、もう一回同じような構想のドラマを作ろうなんてという企画はまず出てこない。時代が生んだものは、その時代にだけ生き続けるんですよね。