2013年1月14日月曜日

K.Clarke / Bohemia after Dark

自分のクリニックの診察室は、どうも主の性格がごった煮みたいなところがあるせいか、いろいろなものが飾ってあったりします。そのせいか、時々患者さんから突っ込まれて雑談になったりするものですから、スタッフはあきれているかもしれません。

先日も、飾ってあるジャズのアルバムのジャケット写真のせいか、「ジャズが好きなんですか?」という質問をされました。自分も、よくぞ聞いてくれました、という具合に嬉しくなってしまい、ひとしきり盛り上がってしまいました。

世界中のジャズを好きな人が、自分の好きなアルバムを一枚だけ選べと言われたら、おそらく''Miles Davis / A Kind of Blue''がトップであろうことには異論は出ないでしょう。自分も同じで、まぁ言ってみれば標準的な、あるいは評論家の意見にすぐ乗せられてしまう普通人です。

一つだけ選ぶのは難しい事もありますが、ジャズの場合はBEST 3は何とか、複数選ぶほうがなかなか決まらない。それだけ、Milesがずば抜けているということですし、また自分が優柔不断ということなんですけどね。

ジャズが好きと言っておいて何ですが、ジャズ - ここで言うジャズは、いわゆる4ビートのモダンジャズ - はどれも大して差がないものです。基本はブルースで、I度・IV度・V度のコードにのってアドリブをしていくみたいなところ。あとは、そのアドリブの楽しさが優劣を決めていたりします。

そこで、名盤でもないし、ほとんど取り上げられる事もないようなものですが、聴いていてとても楽しいというものの一つが、''Cannonball Adderley / Bohemia after Dark''というアルバム。

40年近く前に、マイルスの仲間という理由だけで、たまたま廉価版のSAVOYレコード復刻シリーズの一つとして初めて聴きました。

キャノンボールはマイルスとの共演ばかりが取り沙汰されることが多いのですが、これは1955年の録音でマイルス以前のもの。若くて、理屈よりとにかく若さで吹きまくるキャノンボールでとにかくいい。

ボヘミアというのは、当時ニューヨークにあったクラブのCafe Bohemiaのことでしょうから、暗くなってから若手の意気盛んな連中が集ってジャム・セッションをしていたんでしょうね。そういう、自由なやりたいだけやってやる的な勢いが、ここではうまく捉えられています。

本来のリーダーは、当時ベテランのケニー・クラークで、そこへ新進気鋭の連中が集まったところが、だらだらせずびしっとした演奏をすることにつながっているんでしょうね。

50年以上昔のモノラル録音ですが、とにかくジャズを楽しみたいというときには、是非この一枚としてあげておきたいアルバムの一つです。