2013年5月21日火曜日

痛風の季節?

このところ、なんのきっかけもなく足の急な痛みで来院する方が増えています。

痛いのは、足首だったり足の甲だったり、あるいは小指だったり、そして一番多いのが親指の付け根あたり。たいてい、腫れて赤くなっていて、ずきずきする痛みで患者さんは歩きにくくて困っているわけです。

これは、ご想像通りで、いわゆる痛風発作。痛風というのは、それ自体が病気ではなく、高尿酸血症という病気の症状の一つ。痛みが取れてしまえば、それでおしまいと思っている方が多いのですが、大事なのは高尿酸血症をコントロールすること。

5月になって気温が上がっており、汗をかいて脱水傾向になりやすくなっていることが関係しているのだろうと思います。体の水分が減ると、血液が濃縮して尿酸が溶けにくくなり、結晶のまま血管からしみだして関節の周辺にたまりやすくなります。

痛風の本を探してみると、中に「ビールを飲んでも治る」みたいな話を書いているのが見つかります。ビールは高尿酸血症にとっては大敵とされていますが、それだけが原因ではありません。確かにビール以外の原因となる飲食を徹底的に控えれば、飲んではだめとは言い切れない。

でも、少なくとも飲めば悪化させる可能性は高まるし、その分薬に頼る部分が増えてしまうので、そういうことを推奨するような本を信用する事は相当注意が必要です。まして、その著者が医師ならば、はっきり言って、本として出版するのどうかと言わざるをえません。

どうしてもビールを飲みたい高尿酸血症の患者さんの治療法はそれなりにありますが、それが少なくともベストではないことは理解しておくべきです。

なんにしても、重要な事は気がつかないうちに腎臓の機能が低下していて、腎不全という状況になってからでは遅い。自覚症状が出てからでは手遅れかもしれません。ある程度の自己コントロールは覚悟して、がんばって乗り切りましょう。