2013年5月22日水曜日

Martha Argerich / Thaikovsky・Schumann Concerto

アルゲリッチは、1965年にショパン国際コンクールで優勝し、一気にスターダムに上りました。70年代は、人気も実力も鰻上りで、多くのコンサート、レコーディングを精力的にこなしていました。

その裏では、孤独感を強く感じ、様々な思いがあったようです。グレン・グールドもかつて、デヴューして10数年したところで、コンサートからのドロップアウトを宣言し、以後はスタジオだけに生きて伝説となりました。

アルゲリッチは、おそそらくピアノ・デュオや室内楽に力を入れるようになり、音楽を仲間と作り上げて行くことで、音楽家としての活動をさらに充実させる事に成功したのだろうと思います。

アルゲリッチのレパートリーは多岐にわたりますが、オーケストラとの共演する協奏曲で特に好ん演奏するのはショパン、シューマン、チャイコフスキー。

それぞれ、CD化されているものは複数合って、どれも「アルゲリッチに駄作なし」というところの証明になっているので、その中でベストはどれかと選ぶのは大変難しい。それをあえてするならば、このアルバムを選択する事には異論が少ないのではないかと思います。

1979年、1980年にワルシャワで録音されたもの。特に1980年は、ショパン国際コンクールでボコレリッチの選出にまつわる問題でアルゲリッチは審査員を降りた年。それまでの築き上げたアルゲリッチの自信が最高潮に達していた年なのかもしれません。

チャイコフスキーは、もう冒頭の出だしから音が違う。この力強さは一体何でしょう。ものすごい集中力で、圧倒的な演奏を繰り広げます。まさにじゃじゃ馬と称された若き日のアルゲリッチの集大成とでも言うような演奏です。

シューマンも同じで、もうピアノに神があるなら、その神がアルゲリッチに乗り移ったかと思うばかりの熱演です。ワルシャワ・フィルの面々も、よくぞこの荒れくれピアニストをサポートしたものだと思います。

とにかく、どちらもアルゲリッチの代表的な演目のカップリングで、しかも記録されている最高の演奏ならば、もう文句のつけようがありません。しかも、アンコールのソロのおまけでついているとなれば、聴かなきゃ損、買わなきゃ損というしろものです。

ちなみにamazonだと、かなりの高額になっていますが、HMVだとまとめ買いで1500円ほどで手に入りました。