2013年6月30日日曜日

Paul Badura=Skoda / Schubert Complete Piano Sonatas

ピアノソナタをたくさん書いた作曲家として、すぐに名前が浮かぶのは古い方からハイドン(1732-1809)、モーツァルト(1756-1791)、ベートーヴェン(1770-1827)、そしてシューベルト(1797-1828)の四人。もちろん、スカルラティなどもいますが、様式が違うので区別しておきます。

使う楽器は、ハイドンはチェンバロのイメージ。モーツァルトになるとフォルテピアノ中心。ベートーヴェンは鍵盤がどんどん増えていき、そしてシューベルトの頃には、ほぼ今のピアノの形になっています。

チェンバロとピアノの一番の違いは、弦をひっかくのか叩くのかということ。この差によって、ピアノは音の強弱をつけられるようになったことが、音楽表現の幅を大きく広げたことは言うまでもありません。

最初のピアノは1720年頃に作られたようですが、盛んに作られるようになったのが18世紀後半。特に1790年以後に、5オクターブだった音域がどんどん拡大し、ベートーヴェンの32曲あるソナタは、まさにピアノの改良と共に進歩していくわけです。

1820年頃には、今のグランドピアノの原型がほぼ完成しています。素早い動きが可能となって、この楽器はショパン、リストらのピアノの達人の成果に繋がっていくことになります。シューベルトは、モダンピアノ前夜、フォルテピアノと呼ばれる時代の最後の有名作曲家の一人と言えるかもしれません。

わずか50年たらずの期間に、ピアノという楽器が驚異的な進化を遂げたことで、ベートーヴェンのソナタはピアノの新約聖書とまで呼ばれるようになりました。逆に、そういう偉大な作曲家がいたからこそ、そのニーズに合わせて急速に楽器自体も変化したということなんでしょう。

この時代は、確かに時代と共に生きている音楽だったわけで、クラシックではなくモダンだったわけです。しかし、彼ら偉大な作曲家によって音楽が芸術として高められれば高められるほど、様式が決まってきて、それを変えることは邪道とする風潮が生まれてきます。

その時点で、音楽はクラシックと呼ばれるようになり、進化することを止めてしまいました。これは芸術活動全般に共通する話で、ただの辻芝居だったのが歌舞伎となり古典芸能と扱われるのも同じ理屈なんでしょう。

古楽というのは、クラシックの中でそういう原典主義を先鋭化させたもので、より曲が作られた時代の音、作曲家が頭の中でイメージしていた音楽を聴こうというものです。それはそれで、芸術としての価値があることなので、当然そういう欲求を叶えたくなることは頷けます。

ですから、四人の作曲家のピアノソナタをフォルテピアノで聴きたい、それもできるだけ当時の楽器の音でというのは自然な流れと言えます。比較的若手では、ロナルド・ブラウティハムが有名で、すでにハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンの全集を完成させています。

先駆者的なピアニストとして有名なのがパゥル・バドゥラ=スコダで、 1927年生まれですから80歳を超えていますが、今もなお元気に活動しています。特に古典派の音楽学者としても有名で、モーツァルトからシューベルトまでの第一人者です。

バドゥラ=スコダは70年代に、最初のシューベルトの全集を録音していますが、さらに研究を重ねてより正確なピリオド・アプローチのもとに90年代に2度目の全集を完成させました。

使用する楽器は19世紀前半に作られた5台のフォルテピアノで、曲によってふさわしいものを使い分けるという凝りようです。特にびっくりするのは、当時の軍楽隊用に用意された打楽器ペダルを踏みならすことで出てくる太鼓とシンバルが混ざったような音。

2曲で登場するのですが、さすがに一体何がおこったのかと思ってしまいます。これはほとんどチンドン屋みたいな感じで、いくらなんでもやりすぎかと思います。

その点をのぞけば、響きが少なく、音が軽い感じのフォルテピアノの特性をよく考慮した演奏です。また録音も優秀で、そういうフォルテピアノの音を修飾せずに素直に記録しているところが好感を持てます。

シューベルトの未完成のソナタや曲の断片も、可能な限り元の形態を考慮して並べ替えたり、補筆したりして、曲としての完成度を学問的に高めているので、それが本当に正しいのかどうかは別として、シューベルトの残した音符を最大限に音として耳で聞くことができます。

つい最近、長らく手に入らなくなっていたのですが9CDのボックスセットとして、廉価で再発売されました。最初のシューベルトの全集としては不適当だとは思いますが、2つめか3つめのものとしては絶対に聴いておくべきセットだろうと思います。自分も内田光子、ブレンデルの次に来るランクと考えています。

2013年6月29日土曜日

あっという間の半年

クリニックの診療は、今日で6月は終了。早いもので今年は半分終わってしまいます。

週明け月曜日は忙しい事が多く、その勢いで火曜日までがんばると、水曜日はちょっと息をつける。木曜日は半日で、金曜日をがんばると、土曜日は平日よりも少し早く終われて、日曜日になる。すると、週明けの月曜日は忙しい事が多く・・・

という具合に、あっという間に1週間が終わり、一ヶ月が終わり、そして一年も過ぎていくわけです。もう少しかわったことが、時々あると違うのかもしれませんが、まぁあまり贅沢なことは言っていられません。

それでも、いろいろな症状の患者さんが来ると、医者という仕事も患者さんには申し訳ありませんがちょっと楽しいものです。

つまり、診断というのは謎解きみたいなところがあって、患者さんの症状という状況証拠と、検査結果という物的証拠から犯人を割り出すわけです。しかも、裁判官の役目も治療という形で行うことが出来るのですから、なかなかスリルがある。

もちろん、整形外科に来院される方の大多数は加齢性変化による痛みだったりすることが圧倒的に多く、診断に苦労することはありません。しかし、リウマチ性疾患はなかなか診断には慎重になるし、また治療も試行錯誤でやっていくところがあります。

いずれにしても、正しい判断をしていくためには勉強は欠かせない。新しい知識を取り入れる努力を怠ると、経験だけで古い治療を漫然とするようになり、時代遅れになってしまいます。

もう少し勉強の機会を増やすと、毎日が変化に富んで長く感じられるかもしれませんね。

2013年6月28日金曜日

ゴーヤのおひたし

もう、食卓にあがる夏野菜としては定着した感があるゴーヤ。

本来はツルレイシと呼ばれていたもので、ゴーヤは言ってみれば沖縄の方言みたいなもの。しかし、ゴーヤが市民権を得たのは沖縄料理のチャンプルからですから、そこんとこを尊重しましょう。

漢字だと苦瓜と書くように、まさにその苦みが特徴。ただし、さすがにそのままでは苦すぎてとても食べれません。まずは、苦みをうまく取ることが料理をするときのコツだそうで。

よく、中心の綿が苦いと思って、必死に取り除く方がいますが、苦いのは外側。綿はどうでもいい。塩もみして、じっくりと苦みの汁を出すこことが大事。砂糖も少し混ぜると効果的です。

少なくとも30分、出来れば1時間以上放置しておきたいものです。緑色の汁がたっぷり出たら、沸騰したお湯に数十秒くくらせて、あとは水にさらしておきます。

あとは、いろいろなものと炒めてチャンプルにしてもいいのですが、苦みがうまく取れた場合はそのままおひたしにして食べるのがお勧め。

そこで、いろいろな味付けをしてみました。一番下がスタンダードな醤油と鰹節。安心して食べれる味です。

上左は明太子まぶし。辛みと苦みが混ざって、それなりに楽しめる味です。

上右は、よくある味付きなめ茸を混ぜたもの。ちょっと甘みが加わって、これはこれで乙なもんです。

中左は、鰹だしのめんつゆにわさび、そしてのりをちぎって加えてみました。

そして、中右がポン酢と大根おろしをまぶしたもの。まぁ、ゴーヤのポン酢おろし和えというところ。実は、これが一番受けた。

ちょっとした工夫で、けっこう楽しめるものですね。

2013年6月27日木曜日

夏季臨時休診決めた

雨で閑・・・と、今まで何回ここに書いてきたことか。まぁ、梅雨真っ只中ということで、これも日本の季節の味わいと、受け入れるしかありません。今日は、ほんと、よく降りました。こんだけ天気が悪いと、かえってサバサバしたものです。

ところで、そろそろ夏の休暇の話を決めておかないと・・・ というわけで、8月のカレンダーなんぞをおもむろに眺めてみます。

今年は8月15日が木曜日で、ほぼ週の真ん中にある。ほとんどの人が休みを取るお盆の前後に合わせて、クリニックも休みを取るのが一般的。なにしろ、クリニックのある街は「帰省していく」ところですから、この時期人口は減少します。

だいたい旅行などに行く方は、おそらく8月15日の前の8月11日の日曜日からの前半組と、15日から次の8月18日の日曜日の後半組に分かれるのではないかと予想します。ただし、今年のように15日が真ん中にあると、15日を中心とした真ん中組もでてきそう。

あ~、考えてもよくわからない。わからない時は、いろいろいじってもしょうがありません。ということで、この週は丸々夏季臨時休診ということにさせていただくことにしました。

8月12日(月)~8月17日(土)が臨時休診となります。前後の日曜日は通常の休診ですから、合わせて8日間の休養を取りたいと思います。いろいろとご迷惑をおかけすることと思いますが、よろしくご理解いただきたいと思います。

2013年6月26日水曜日

菖蒲華

今日から七十二候での季節は菖蒲華となり、「あやめはなさく」と読む。二十四節気の夏至(げし)の次候になります。

菖蒲と書いて、ショウブではななくアヤメと読む。湿地に咲くショウブはサトイモ科、アヤメはアヤメ科で草地に咲く違う種類だそうですが、はっきり言ってよくわかりません。

こんなことも、普段からもっと周りを意識して観察していれば簡単に見分けられるんでしょうね。いかに、自分が物事を見ているようで見ていないということを認識させられます。

6月最終週、梅雨のど真ん中。 アヤメが咲いて、もう夏はすぐそこまで来ているというわけです。

2013年6月25日火曜日

ガリレオ2終了

4月からのフジテレビ、いわゆる月9といわれているテレビドラマ枠で放送された「ガリレオ2」が終了しました。全体の評価は・・・かなりがっかりでした。

大人気だった最初のシリーズでは、福山雅治演じるかなり変人の物理学者が、犯罪に使われた「現象」を物理学の手法で解明するという理系推理が面白く、そして柴咲コウ演じる内海刑事とのかけあいがアクセントになっていました。

今回のシリーズの最大のガッカリは、その特徴だった2つの点がいずれもなかったこと。つまり、ガリレオとして放送する面白さの大部分が欠落して、湯川准教授の変人ぶりと吉高由里子の高慢ちきぶりだけが目立ってしまいました。


すべては脚本でしょぅか。前シリーズでも脚本を担当していた方ですが、時間がなかったのかあまり雑な展開で、魅力を半減させた責任の多くがありそうです。物理学の知識がなくてもいいだろう的な事件が多すぎで、これじゃ警察の無能ぶりだけが浮き立ってしまいました。

最近は録画しておいて後で見るというのは普通ですし、ワンセグなどのモバイル機器で視聴することも増えましたから、視聴率の数字としての意味はだいぶ無くなったといえます。

ですから、最終的にぎりぎり平均20%を割ったというのは、あまり問題ではありません。しかし、初回からジリ貧で、いろいろな番組宣伝があったにもかかわらず、また話題のゲストの出演があっても少しずつ視聴率が下がっていたということがすべてでしょう。

むしろ本シリーズ最終回の直前に放送されたスピンオフ、「ガリレオXX」がよかった。本シリーズではアメリカ研修に行ったため、初回のみのゲスト出演となった内海刑事が主役で、アメリカに行くことにした理由も含めた女刑事としての葛藤を描くスペシャル。

ストーリーも、殺人事件と社会への復讐という2つの軸が、絡み合って謎を深める展開は秀逸でした。内海刑事が、女性であるがゆえにいろいろと苦悩する部分もよかった。

このスペシャルは、同じ時間帯で視聴率女王米倉涼子の「35歳の高校生」の最終回が日本テレビで放送され、また2時間拡大放送という力の入れようでガチンコ勝負でした。視聴率はガリレオXXの勝利で、これだけは今回の一連のガリレオ・シリーズでがんばったところ。

あとは映画版がどうなるというところでしょうが、いずれにしても人気俳優のおんぶするだけのドラマ・映画を量産するだけでは、時間・電波の無駄使いという誹りはぬぐえませんね。

2013年6月24日月曜日

釣銭

クリニックは一般的な商店とは違いますが、患者さんとの間に金銭の授受があります。となると、必要に応じておつりがあったりするわけです。おつり用のお金をどれだけ用意しておくか、というのはなかなか難しい事があったりするんです。

初診の方は、けっこうお金を用意してきて、1万円札を出される方が多い。整形外科ではケガの処置でもしないかぎり、5千円をこえることはそうそうありません。もちろん、窓口で支払う自己負担金の話ですけどね。

となると、おつりとして5千円札が出て行く確率が大変高いということで、毎月たくさん両替しておくのですが、時々足りなくなっておつりは千円札ばかりでということも珍しくありません。

一番出て行くことが多いのが500円玉。これは初診・再診に関わらず、千円札を出される事が多いからでしょう。両替に行って500円玉50枚の包みを手にすると、けっこう重い。

メインバンクにしている三井住友銀行は、キャッシュカード一枚につき1日で硬貨・お札合わせて50枚までという、けっこう不便満載の決まりがあって、なかなか欲しいだけの両替が一度ですまない。

しょうがなく、何度か出直すことになったりして、かなりめんどうくさい。ついでに、ぐちると他の銀行より圧倒的に手数料が高い・・・と思いませんか? まぁ、いろいろな事情があるんでしょうけど、どうも何となく納得できないところ。

話を戻すと、大多数の再診の方で、最初からいくら払うか知っている方は、小銭を用意してくる事が多い。そうなると100円玉や10円玉がどんどん増えてくるわけで、中には5円玉ばかりで払う方もいたりする。

先日、金庫の電子ロックの番号を誤って押してしまい、金庫をロックさせてしまいました。いや~、あせった、あせった。このまま開かなかったら、明日の釣銭がないということになってしまいます。

家中の小銭を集めたり、何ヶ所もコンビニをまわって、ちょっとしたものを買って小銭を集めたりと大わらわ。とりあえず、午前中をしのげば銀行にいけますから・・・と思っていたら、あっさり翌朝金庫は開きました。

くだらないことですが、こんなちょっとしたことに踊らされる事が多く、クリニックの院長なんてハラハラドキドキの毎日です。

2013年6月23日日曜日

Tal & Groethuysen / Schubert Complete Music for 4 Hands

シューベルトは、1797年オーストリア、ウィーン近郊の生まれ。

18世紀というと、イギリスで産業革命が起こり、ヨーロッパで近代化が急速に始まった時代。シューベルトが生まれた頃は、フランスではまさにフランス革命真っ只中。アメリカは独立戦争に勝利。日本では、田沼意次の改革により江戸が文化的にも最盛期を迎える。

シューベルトは聖歌隊に入って、わずか7歳頃に音楽的才能を認められます。12歳で神学校の寄宿舎に入って、友人の支えで音楽的に充実した生活を送るのです。

そして1810年、13歳のときのノートに書かれた4手ピアノのための幻想曲が、わかっている最初の作品となります。 ベートーヴェンらの影響を明らかに受けた、古典的な作風の曲ですが、ゆったりとした出だしで、しだいに手数が増えていき、スピードを変えたりといろいろな変化をつけながら、20分以上のかなりの大作といえるかもしれません。

シューベルトは多くのピアノ独奏曲を作曲していて、この分野では歴史上10本の指に入るような大作曲家として認められていると思います。しかし、最初の作品が4手ピアノ作品であった事は、実に興味深いことです。

実際、シューベルトは60曲あまりの4手ピアノ作品を作曲しているのです。この分野は、多くの有名作曲家の作品があるにもかかわらず、比較的扱われる事が少ないのです。シューベルトの場合にも、ごく一部の数曲だけが演奏されたり録音されるだけで、ほとんどの曲は聴く機会はほとんどありません。

したがって、4手ピアノ曲の全集というと、おそらくこれが唯一のものではないかと思います。 演奏しているのはタール&グロートホイゼンという男女の常設ユニット。このジャンルでは、多くの作品を残しており、息もぴったりで大変素晴らしい演奏を展開します。

自分は、シューベルトの独奏ソナタにはまっていろいろ聴き漁っていますが、実はその前に何の気なしに買ってみたのがこの全集でした。

特に晩年、有名な独奏ソナタと同じ時期の作品として、アレグロ D947は出版時に「人生の嵐」というタイトルがつけられました。まさに、そのタイトルにふさわしい内容ですが、実に晩期シューベルトらしい作品。

1827年、ベートーヴェンが死去し、そしてシューベルトも翌年、わすが31歳で亡くなりました。あまりにも短い人生ですが、その中で持てる天才を出し切った生涯だったかもしれません。

2013年6月22日土曜日

G.Wallisch / Schubert Incomplete Sonatas

以前にも書いたみたのですが、あらためてシューベルトのピアノ・ソナタについて整理してみます。なんで、そんなことをするかというと、第21番まであるソナタですが、実に未完成が多く、断片・断章が入り乱れて、混乱しまくっているということなんです。

第1番 ホ長調 1815年 D157
第4楽章を欠く3楽章構成。スケッチとして、D154があるが未完。

第2番 ハ長調 1815年 D279
これも第4楽章が欠落。アレグレットD346が第4楽章という説がある。

第3番 ホ長調 1816年 D459
もともとソナタとしてはっきりしているのは最初の2楽章だけ。D459Aとしてあと3つが加えられ、5つのピアノ小品として死後に出版された。現在は5楽章のソナタとして扱われている。

第4番  イ短調 1817年 D537 作品164
初めて全3楽章として完成したソナタ。第2楽章は、第20番の終楽章主題へ転用されている。

第5番 変イ長調 1817年 D557
全体が短く、3楽章構成。第4楽章が欠落という説もある。

第6番  ホ短調 1817年 D566
2楽章まで、または3楽章構成。ロンドD506が最終楽章として扱われることがある。

第7番 変ホ長調 1817年 D568 作品122
4楽章構成で完成。異稿としてニ長調D567がある。D567を第7番、D568を第8番とする場合がある。

第8番  嬰ヘ短調 1817年 D571
第1楽章の途中までのみ。

第9番 ロ長調 1817年 D575 作品147
4楽章構成で完成。

第10番 ハ長調 1818年 D613
2楽章のみで断片のみ。アダージョD612を間に入れて、全3楽章として構成する場合がある。

第11番  ヘ短調 1818年 D625
3楽章構成。アダージョD506を第3楽章にもってくる場合がある。

第12番 嬰ハ短調 1819年 D655
第1楽章の途中までのみ。

第13番 イ長調 1819年 D664 作品120
3楽章構成で完成。

第14番 イ短調 1823年 D784 作品143
3楽章構成で完成。

第15番 ハ長調 「レリーク」 1825年 D840
第2楽章まで完成。第3楽章と第4楽章は途中まで。補筆完成版がいくつかある。

第16番 イ短調 1825年 D845 作品42
4楽章構成で完成。ピアノ・ソナタとしては、初めて出版された。

第17番 ニ長調 1825年 D850 作品53
4楽章構成で完成。

第18番  ト長調 「幻想」 1826年 D894 作品78
4楽章構成で完成。

第19番 ハ短調 1828年 D958
4楽章構成で完成。

第20番 イ長調 1828年 D959
4楽章構成で完成。

第21番 変ロ長調 1828年 D960
4楽章構成で完成。

以上ですが、青色のものが完成しているもの。いやはや、ずいぶんと長々とした、もったいつけた前置きです。

D157(No.1), D279(No.2), D459(No.3), D557(No.5), D566(No.6), D567(No.7a), D571+D604(No.8), D625(No.11), D655(No.12), D769a(D994), D840(No.15)・・・こんだけのものを録音したピアニストがいます。

よ~く見てもらうとわかりますが、要するにまさに未完のものばかり、途中で終わっているものは途中までという、なんとも快挙というか、無謀というか。

もう、マニアによるマニアのための録音。音楽鑑賞という趣味の中では、完成したものだけでも十分すぎるくらい楽しめるのに・・・いや、十分楽しんだからこそ、それ以外のものを聴いてみたくなるってもんです。

演奏したのはゴットリーブ・ヴォリッシュという人。比較的、Bランクの量産メーカー・・・というと失礼ですが、NAXOSレーベルからCD3枚にわたって出されたもの。

まぁ、内容はともかく、こんなのもクラシック音楽を楽しむ一つの方法かもしれませんね。

2013年6月21日金曜日

乃東枯

今日から季節は、 乃東枯。

二十四節季では夏至(げし)、その初候が乃東枯でなつかれくさかるると読む。乃東がなつかれくさで、夏枯草のこと。う~む、まったく読解不能です。

夏枯草はかごそう、乃東はだいとうと読み、別名ウサボグサという山野草で、それほど珍しいものではないようですが、何しろそういうものを意識して見たことがなかったので、どこにあるかはまったく記憶にはありません。

こういう、身近な自然を今まで意識してこなかった、ちょっとしたこと・・・この草はなんという名前だろうみたいなことに疑問を持たずにいたことに気がつかされます。

冬至の頃にめを出して、今頃枯れてしまうらしい。ネットで画像を検索してみると、確かに見たことがある。生薬として使われているそうで、浮腫みを取ったり、炎症を抑える効果があるらしい。い

夏至は、普通によく耳にする言葉。二十四節季の期間としては6/21から7/6までですが、通常は6/21だけに使い、一年で一番日が長いということは、常識的に誰もが知っています。朝は5時前から明るくなってきますし、夜は7時過ぎまで明るさが残っています。

今日は、ほぼ1日雨で薄暗かったので、日が長かったのかどうかはよく実感できませんでした。

2013年6月20日木曜日

踊る大捜査線 THE MOVIE4 (2012)

踊るシリーズの最後を飾る劇場版第4弾。昨年公開され、興行収入は約60億円。同時期公開の「海猿 Brave Hearts」の73億円には及ばなかったものの、マニア以外には長年続いてやや飽きが来ていることを考えるとがんばりました。

最終作ということもあって、ストーリー的には一定の終結が見られる・・・かと思いきや、多少含みをもたせた感がのこりました。将来的な復活、またはサイドストーリー(最近はスピンオフというのは踊るからはじまった?)の展開は可能になっているのかも。

終結したのは、今まで青島=室井を翻弄してきた自己保身だけの警察トップが辞任に追い込まれた事くらいでしょうか。

今回のストーリー上で、一番ポイントの高い鳥飼(小栗旬)の行動は違法性が高いのにそのまま野放しで、この鳥飼の今後の行動は気になります。

青島と室井の関係はあいかわらずで、もちろん展開的には今後もどうにでもできるわけですが、お互い「正しいと思える事をやれるようにする」ことについては、さすがにマンネリ感は否めません。

青島とすみれの関係も、一応すみれが青島を選択した形をとっているものの、わかりやすい言葉はなく、このあたりも含みを残しているのかもしれません。

全体的には、最後だからという事での作り手の遊びの集大成という趣があって、マニアは喜ぶいろいろな仕掛けが、見える形でも見えない形でも満載の作品。ところが、当然このあたりがしつこすぎて、こっちが映画のメイン・テーマかのよう。

特にスリー・アミーゴスは象徴的なキャラですが、警察内部にあっての存在感。退職扱いで同じパワーは無理がありすぎで、しかもその描き方がしつこすぎ。映画直前のテレビスペシャルでの、中国からの研修生のはしゃぎすぎは少し減っていて助かった。

最大の謎は、一個人としてのすみれがテレビのニュースだけで、どうやって青島のピンチの場所がわかったか。そして、バスをどうやって持ち出したのか(強奪?)というところですが、まぁ最後ならこういうお気楽なシチュエーションもしょうがないかというところ。

とはいえ、全シリーズとしては、いろいろな新しい刑事ドラマのあり方を見せてくれ、いろいろな影響を与えたシリーズであることは間違いありません。

☆☆☆★★

2013年6月19日水曜日

予報の精度

山に登ったらヤッホー、
あっと驚くテンホー、
シンキの前はトウホウ、

当たらないのは予報、というのはいい過ぎでしょうが、今日は朝からやたらと天気予報は大荒ればかり。確かに日本全国的に見れば、当たっていて、各地で被害があったようです。

関東地方の天気も、午後から大荒れという予報で、確かに朝の強風は「吹けよ風、呼べよ嵐」状態。こりゃ大変だから、なるべく午前中のうちに用事をすませようというのが人情というものです。

ところが、だんだん風はおさまり、雨は降らないどころか、午後には晴れ間も出てきたりしました。とは言え、台風が近づいていますから、この後は週末まで天気が好転する感じはなさうです。

何が言いたいかというと、要するにクリニックがひまだったということ。午前は11時くらいまで、ドーっと患者さんがいたのですが、あとはパッタリ。半減とまではいきませんが、午後もポツポツという感じでした。

本当に嵐ならしょうがないのですが、もう少し天気予報のローカルな精度が上がらないものかと、ちょっとぼやきたくなる一日だったということです。

2013年6月18日火曜日

イタメシの花

その昔イタトマという言葉・・・ずいぶんと人気で、「今日はイタトマでデート」みたいな使い方で、80年代若者文化の象徴の一つでした。

自分はどうも最先端にうとくて、その意味を知ったときはすでに流行は収束し始めた頃。同じくイタメシというのも、あまりよく知らずに定着してからだいぶたってから意味が分かったりしたものです。

80年代は、日本の高度経済成長期が終わって、表面的には円熟期。実はバブルで、はじけるまでのカウントダウンが開始された頃。

食の文化もずいぶんと派手になり、まさに飽食の時代に突入したわけです。それまでのイタリア料理というと、スパゲッティくらい。しかも、ミートソース、ナポリタン、イタリアンと呼ばれる三種類くらいでした。

イタリア料理がいろいろと紹介され、どんどん身近なものになってくると、イタリア料理用のスパイスというのが注目されるようになり、その中心となるのがバシリコという植物の葉っぱ。通常はバジルという呼び名で多用されています。

しそ科の植物で、日本では冬は栽培が困難なハーブのひとつ。どんな料理でも、バジルを入れてしまえば何となくイタリアンと称しても通るような感じがするくらい、もうイタメシには必須の素材。

たいてい葉っぱしか使わないので、あまり気にしていなかったのですが、庭に植えて必要に応じて使っていたバジリコの花が咲きました。小さくて、質素な目立たない花です。

2013年6月17日月曜日

田園都市リウマチフォーラムの記録

一昨日のことで、記録のために書いておかないと。

6/15は田園都市リウマチフォーラムの増刊号みたいなもので、骨粗鬆症セミナーというタイトルの講演会を行いました。

田園都市リウマチフォーラムは、主に横浜市北部+川崎市西部地区でリウマチ診療を行っている開業医を中心とした勉強会です。もともと、数人で症例検討会として始めたものですが、参加の呼びかけを広げて、ちゃんとした研究会として活動しています。

世話人は、青葉区の広田先生、都筑区から自分と東先生の3人で、できるだけ関節リウマチ診療をしていて疑問に感じることなどを中心に講演会を企画しています。聖マリアンナ医科大学教授の山田秀裕先生に顧問をお願いしています。

これまでの開催について、整理しておきます。

第1回 2010/11 最新事情
 聖マリ リウマチ内科教授 山田先生
第2回 2011/3に予定していましたが震災のため中止
第2回 2011/5 MTX最新知見
 聖マリ リウマチ内科教授 山田先生
第3回 2011/10 膠原病と腎臓障害
 昭和藤が丘 腎臓内科教授 吉村先生
第4回 2012/2 肺障害
 聖マリ リウマチ内科教授 山田先生
第5回 2012/6 今後の課題
 東京医科歯科教授 針谷先生
第6回 2012/10 リウマチと妊娠
 成育医療センター 村島先生
第7回 2012/2 早期リウマチの鑑別
 聖マリ リウマチ内科教授 山田先生

今後の決まっている予定は以下の通り

第8回 2013/7予定 バイオ時代の考え方
 女子医 リウマチセンター教授 桃原先生
第9回 2013/10予定 ステロイド薬(仮)
 聖マリ リウマチ内科教授 山田先生
第10回 2014/2予定 タイトル未定 第10回記念講演会
 女子医 リウマチセンター教授 山中教授

特別企画として行ったものは以下の通り

2012/1 市民公開講座
 女子医 リウマチセンター教授 桃原先生
2012/8 関節エコーワークショップ
 横浜市大 リウマチ内科教授 石ヶ坪先生
2012/6 リウマチと骨粗鬆症
 聖マリ 整形外科教授 清水先生

顧問をしてもらい、一回ごとに講演をしてもらっている山田先生はもちろんのこと、我々世話人が考えてお願いしているゲストの先生方は、わかる人が聞けばそうそうたるメンバーで、今の日本のリウマチ診療を牽引する大御所ばかりです。

できるだけ集まってもらうためというのもあるので、日本リウマチ学会、日本整形外科学会、リウマチ財団などの、リウマチ関連の資格のための単位も毎回取れるように手配しています。

一昨日の会は40名近い参加者がいました。これは、小さな研究会としてはかなり大人数で、会を重ねるごとにだいぶ認知されてきたものと思います。

こういう会を通じて、病診連携・診診連携が充実していけば、なおさら嬉しいことです。

2013年6月16日日曜日

J.E.Gardiner / Beethoven Complete Symphonies

80年代から90年代にかけて、クラシック音楽の分野では、それぞれの作曲家が実際に思い描いていた音を再現したいという機運が高まってきました。

現代の通常使用される楽器というのは、モダン楽器と呼ばれ、時代と共に改良(一部改悪?)を重ねてきて、例えばベートーヴェンが活躍した18世紀末から19世紀はじめの頃のものとは似て非なる部分がけっこうあるわけです。

ベートーヴェンの32曲あるピアノ・ソナタだけで見ても、後期にいくにつれてどんどん使用できる鍵盤の数は増えていて、楽器の改良が盛んに行われていたことがしられています。

そもそもメトロノームも、だいぶ性能に違いがあったらしく、楽譜に指定されている速さは今のメトロノームで合わせるとだいぶ遅くなるらしいです。

オーケストラの人数も、現代のベルリンフィルのような重戦車のような大人数ということはありえない。もっとコンパクトな人数で演奏されていたわけですし、確かにカラヤンの演奏をモーツァルトが直接聴くことができたら、たいそう驚くことでしょう。

一部の演奏家は、博物館などに所蔵されていた昔の楽器を借りたり、そこから復元した楽器を用いて、また学問的な研究成果を踏まえて、作曲された時代の音を可能な限り再現しようと試み始めました。

そういう音楽は古楽(こがく)、使用する楽器を古楽器、その演奏法をピリオド奏法と呼ぶようになりました。しかし、実際にタイムマシンでも無い限り、本当に当時の演奏がどんな音を出していたかはわかりません。

音楽を聴く環境、会場とかも違うし、そもそも聴く側の感性も時代と共に変化している部分も必ずありますから、あまりこだわりすぎてもどうかと思うところもすくなくありません。

ただ、バッハの頭の中でイメージされていた音楽がどういうものかというのは、少しでも知りたいと思うのはファンとしては自然な気持ちです。どちらの方が正しいとかという問題ではなく、音楽に対するそういういろいろなアプローチがあってもいいということでしょう。

ですから、自分の場合も、古楽を否定するつもりはなく、聴いて良ければどちらでもいいというスタンスでクラシックを楽しんでいます。

ヴィバルディの「四季」は、誰もがメロディを知っている代表的な曲の一つです。日本では、70年代にイ・ムジチのモダン楽器による演奏で一気に人気となりました。今では、ピリオド・アプローチしたものがたくさんあり、また有名バイオリン奏者に焦点を当てたものも少なくない。

古楽器により「四季」はイタリアのイル・ジアルディノ・アルコーニのものを持っていますが、早いテンポできびきびした演奏なのですが、実は自分はまったくおもしろくない。今では時代遅れとなった感があるイ・ムジチの方が、華やかで四季の色合いもわかりやすくいいと思うのです。

ベートーヴェンの交響曲では、自分の場合はモダン楽器による、かなりゆったりとした荘厳なベーム/ウィーン・フィルとか、若さの勢いがあるバーンスタイン/ニューヨーク・フィルなどが、けっこうよく聴く方でした。

しかし、ガーディナーの1991年~1994年の録音で、名盤とされる全集がピリオド奏法によるものとしては、なかなか良いのです。オーケストラの名前は、オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティーク。なんか、とても覚えにくい名前ですが、要するに「革命と浪漫の管弦楽団」という意味でしょうか。

きびきびした演奏と、少ない人数にもかかわらず古楽器の響きが負けておらず、しかも楽器の一つ一つの音が鮮明になっていて、曲の本質が直接耳に届いてくるような感じがします。

もともと大編成のオーケストラ作品があまり好みではないので、自分にはちょうどいい感じなのかもしれません。古典~ロマン派くらいまでのオーケストラ作品は、かえってピリオド奏法のものを漁ってみるのもいいかもと思ったりします。

2013年6月15日土曜日

梅子黄

さて、今日から二十四節気では芒種の末候。七十二候では、梅子黄になりました。

梅子黄と書いて、「うめのみきばむ」と読む。梅の実が熟して、黄色くなって木から落ちる頃という意味だそうです。なるほど、それで今頃の長雨を梅雨と呼ぶわけです。

半世紀以上生きてきて、今頃知ったのかいと言われそうですが、そういう身近なことで疑問を持つことが無かった。特に梅は、2月終わりから3月始めころに花が咲くときしか注目していませんでした。

なるほど、確かに先週から、道に一個、二個と黄色い実が落ちていたのですが、この数日でたくさん転がっているじゃありませんか。

こどもの頃なら、蹴飛ばして遊ぶところでしょうか。これを拾って自家製梅干を作ったり・・・はしませんが、時代は変わっても昔の人の考えた季節の変化というのは、意外と変わっていないものだと再認識するわけです。

2013年6月14日金曜日

時計

クリニックの中で時計を探すたびに出かけます。

まず入ってすぐの受付、問診表を記入していただくテーブルの上にあります。デジタル表示で、これは開業のときに恩師にいただいたもの。

受付のスタッフ側にも小さいデジタル時計。これはペン立てにオマケで付いている程度のもので、あまり実用的に使われているわけではありません。

スタッフの休憩室には壁掛けのアナログ時計が一つある。

待合室は木の風合いをイメージした作りで、そこに合うように白木調のアナログ時計が、壁の高いところにかけてある。

メインの診察室には、デジタル表示のアナログ時計が、電子カルテのパソコン・モニターの影にあるのですが、どちらかというと常時ネット用にオンになっているパソコンの画面に大きく表示されているデジタルの方が目に付きます。

点滴などの準備をする台にもデジタルが一つ。

そして、リハビリ室の壁に、やはり開業を記念していただいたちょっと立派なアナログ時計。問題はこれなんです。電波時計というもので、自動で時刻あわせをしてくれる・・・ということになっているのですが、とんと受信している気配が無い。

電波時計は設置する場所や向きで、衛星からの信号をうまく受信できないことがあると注意書きがある。一度、電池が無くなったせいかあまりにずれてしまったので、何とか受信できそうな場所に持っていったのですがどうにも合わない。

しかたがないので、替わりに大型の液晶デジタル時計を購入して使用することにしたわけです。確かに見やすくて、温度や湿度も表示され患者さんからも好評でした・・・

が、しかし、液晶がいかれてしまい、全部真っ黒けになって、まったく時刻が読めない。時計といえばSEIKOというくらいのブランド物です。しかも、まだ半年くらいしか使っていません。

液晶焼けというのがありますが、どうも違う。とにかく文字の出るところが、真っ黒けになったり、戻ったりをまったく不定期に繰り返し、どうにもならない。もともとの電波アナログ時計が、ほったらかしていたらいつのまにか正確な時刻を表示していたので、また復活させました。

いやはや、ちょっとしたことで、いろいろとハラハラさせられることが続くものです。

2013年6月13日木曜日

琵琶・枇杷

小学生のときにたいていの方は、耳なし芳一の話を聞いたことがあると思います。いやぁ~、怖かったですよね。体中に般若心経を書き込んで、襲ってくる壇ノ浦で亡くなった平家の亡霊と戦うというのはすさまじい。

もともと、伝承として古くからある物語ですが、広めたのは小泉八雲の小説。小学生的には、小泉八雲が実は外国人で、本当の名前はラフカディオ・ハーンというんだと知っていると、ちょっと偉かったりします。

主人公の芳一の職業は琵琶法師となっていて、古楽器の琵琶(びわ)を使った弾き語りをする人。当然、琵琶というのもどんなものか知る事になるのですが、ほとんど実物は見たことも聞いたことも無い。


まぁ、ギターみたいなものと言ってしまえばそれまでですが、形が果物の枇杷(びわ)に似ているところから名前がきているんでしょうか。枇杷というのは、バラ科の植物でちょうど今頃実が熟する。

昔はけっこう食べたのですが、最近はとんと口にしなくなりました。味としては嫌いじゃなかったんですが、種が大きくて、なんか上げ底の弁当みたいで大きさの割には実が少ないという印象・・・まぁ、今時のアボガドほどではありませんけどね。

2013年6月12日水曜日

Andrew Manze / Tartini Devil's Sonata

すごいタイトルです。クラシック音楽の世界に、こんな扇情的な曲名があるというのも驚きですが、なにしろ大バッハと同じ時代の作曲家、タルティーニの代表作。ヴァイオリンソナタという扱いですが、悪魔のソナタ(Devil's Sonata)、または悪魔のトリル(Devil's Trill)と呼ばれています。

まぁ、タルティーニの夢枕に悪魔が登場して、演奏したヴァイオリンのメロディを思い出して作曲したという有名な逸話が残っています。バロック期の音楽なので、通常は鍵盤楽器と通奏低音つきのトリオで演奏される。

以前に発表されたものでは、女王ムターの演奏がありますが、オーケストラ版で、主役のバイオリンは普通の感じで、あまり凄さを実感しませんでした。最近では若手のベネディティが、ピアノ伴奏で収録していました。

アンドリュー・マンゼは、ピノックの後を受けて古楽器演奏をするイングリッシュ・コンサートを率いる、古楽器バイオリンの名手。ここでは、なんと、無伴奏で悪魔のソナタを弾ききるのです。

無伴奏ヴァイオリンというと、バッハのパルティータやパガニーニのカブリースがすぐに思い出されますが、それらでもヴァイオリン奏者としては高度のテクニックを要求されます。しかし、ここではその上をいく超絶テクニックが必要。

無伴奏は、もともとタルティーニ自身が想定した演奏形態だそうで、ここでのマンゼはもともと響きの少ない古楽器のみで、とにかくものすごい演奏を展開します。この曲の録音としては、もう間違いなく決定版であり、マンゼのアルバムとしても代表作でしょぅ。

2013年6月11日火曜日

くまモンフェア開催中

くまモンの勢いはとまらないようで、テレビなどでも連日何かしら紹介されている。

クリニックのFAXには、くまモン防災グッズの宣伝が届いていたのにはびっくりしました。何しろ、防災グッズがくまモンのリュックに入っているというもの。非常時に、さすがにくまモン担いで逃げるというのは・・・

さて、朝刊に近所のスーパーのちらしが入っていて、何とくまモンフェアと書いてある。そこで早速、行ってみました。

どこ? どこ? どこでやってるの?

キョロキョロして探していたら、 ありました。ただし、この写真に写っているのがすべてで、並べられているものは、食品10、飲料2、グッズ5くらいの感じ。

くまモンフェアとわざわざチラシに載せるほどのものとも思いませんが、まぁ許しましょう。へぇ、と言いたくなるものが半分くらいはありました。

ただ、くまモン関連グッズはちょっと高い。キャラクター使用料はかかっていないはずですから、もう少し良心的な値段にならないものでしょぅかね。

2013年6月10日月曜日

腐草為螢

暦の上では、今日から二十四節気では芒種の次候となり、七十二候だと腐草為螢(くされたるくさほたるとなる)となります。

 腐草為螢というのは、いかにも梅雨時の雰囲気がでていてわからなくはないのですが、蛍が腐った草から生まれるみたいで何となく表現としてはいかがなものかと。

実は、自然の蛍は今までに見た事がない。なにしろ、この時期に1週間程度しかぴかぴか光らないということで、そもそも6月は休日が少ないですからね。

都内だと、有名なのは椿山荘とかで蛍をはなして庭園で見るなんていう優雅なイベントがあったりします。もしかしたら、こどもの頃に親に連れられて行ったかもしれませんが、記憶はありません。

ちなみに、こういう話に興味があったら、是非使いたいのが「くらしのこよみ」というアプリ。AndroidでもiPhoneユーザーでも、大丈夫。大手出版社の平凡社が作った無料アプリで、大変味のある文章とイラストで、解説してくれます。

ただ、今の七十二候の説明は見れるのですが、前や先のものを見ることかできないのがつまらない。というわけで、そういう方には、全部載っている書籍版があります、ということらしい。

ただ、ちょっと値段が高いかも。こういう話は、あわてずに今をしっかり読めばいいので、無料のアプリで少しずつという方が主旨に合っているのかもしれません。

2013年6月9日日曜日

介護職員初任者研修

最初に始めたのは、2008年5月のこと。以来、年に2回、介護の仕事をしようという方々のヘルパー2級研修会の講師を続けてきました。昨年の秋まで、計10回、毎回3時間ずつ喋ってきたわけです。

ところが、今年は制度が変更になって、介護職員初任者研修というものになりました。今まで、いろいろな資格がごちゃごちゃになっていて、介護関係の資格を取ろうとすると勉強すべきことが一部重複していたのを統合整理したものだそうです。

さて、こちトラはお役目御免かと思っていたら、続けて講師をするようにということで、今日は行って来ました。って、今日は日曜日じゃん、と思ったあなた、あなたは正しい。

そうなんです。今日は日曜日です。というのも、なんと話さないといけない時間が、2倍の6時間になってしまったんです。とても、平日では対応できないので、日曜日の朝から夕方までかけてこなすことになりました。

老化とは何ぞや、から始まり、老化の原因、老化による生理的変化、そして老化に伴う病気の解説というカリキュラム。自分の専門の整形外科の範囲は、全体の1/4で、あとは体全体の内科的な話が主体です。

カリキュラムにはないのですが、生命兆候・・・ヴァイタル・サインというものが重要ですから、心肺蘇生の話を含めた話も人枠用意しました。

何しろ、こんなに長く講演をすることなんて生まれて初めてですから、ペースがわからない。脱線するにも、どこまで雑談していいか見当がつかないので、手探り状態です。話す内容を落としてはいけないので、レジメを用意しておいたのですが、なんと27ページという膨大な量です。

時計とレジメとをにらめっこしながら話を進めて、30分ほど早かったのですが、終了としました。なにしろ、喋るこっちも疲れますが、ずっと聞いている側も相当疲れたと思います。

いやはや、皆さんご苦労様でした。こっちは、次は秋までありませんが、研修している方々は8月までこんな講義がまだまだ何回となくあるんですね。本当に大変だと思います。

でも、高齢化が進む今の日本では無くてはならない仕事になっていくわけですから、是非がんばって資格を取ってください。

2013年6月8日土曜日

夢売るふたり (2012)

監督・原案・脚本、西川美和。主演、阿部サダヲ、松たか子。松たか子は、日本アカデミー賞、ヨコハマ映画祭の主演女優賞を受賞。

居酒屋を営む夫婦が、火事で店を失う。ふとしたことから、失意の亭主(阿部)は浮気をして大金を得る。妻(松)は、浮気に対して怒りながらも、亭主を使っていろいろな寂しさを持つ女性に結婚詐欺をしかけることを思いつく。

順調に店を再開する資金を貯めていく二人だったが、夫婦の間には微妙な溝が広がっていく。そして、騙した被害者が探偵を雇い、悪事は露見。当然、ハッピーエンドにはならない。

ストーリーだけを追いかけると、シリアスで救いが無い映画になってしまうが、「悪人」になりきれない主演の二人 - 普通っぽい阿部と美人過ぎない松の明るいキャラが随所でバランスをうまく取っている映画です。

しかし、しだいに夫を女のもとへ送り出すことへの嫉妬なのか、妻の心境は変化していき、店再開のためという当初の共同の目的は質的に変化をしていくのです。後半の松の演技は、評判となった「告白」(2010) と一部ダブルようなところがあります。

全体の撮影も、あえて遠くから捉えたショットが多く、主人公たちを客観的に描く事を狙っているのでしょうか。観ている側が感情移入しすぎると、最終的な破滅が重くなりすぎる事を避けているのかもしれません。

また、結婚詐欺自体は明らかに犯罪ですから、主人公に同情しすぎないようにする効果にもつながっている。監督の西川は女性ですから、亭主の描写よりも、時間は少ないのですが合間に出てくる妻の嫉妬・寂しさに力点があり、その心境の変化の描き方はうまい。

★★★★☆

2013年6月7日金曜日

花が咲いたよ ~ あすなろ菜園

いきなり、という感じで花が咲きました。薄黄色で、比較的地味目の花です。何を隠そう、これ、おくらです。おくらは、オクラとカタカナで書くより平仮名のほうがしっくりきます。

よーく見ると、花の下が少し膨らんでいて、何となく出来上がりが想像できる感じ。うーん、なるほど、こんな感じなんですね。

おくらがなっているところは、見たことが無かったので、こういう風にできるのかというところで、太く長くなるのが楽しみです。

2013年6月6日木曜日

エクソシスト (1973)

映画館で最初に見たときは、ずいぶんと興奮しました。とにかくものすごい評判になったもので、観ていないと仲間はずれになる勢いでした。

当時は映画館は、一度お金を払って入るといつまでいてもよかった。ですから、朝から晩まで何度も同じ席に座り続けて、上映を繰り返し見ることが可能だったわけです。

ところが、この映画では一度劇場の外に出されたんです。とはいっても、劇場の廊下まで。ですから、いったん廊下に出て、一番最後に並んでまた入って、立ち見で3回続けて観た覚えがあります。

まだまだCGなんて無い時代ですから、今から見ると最も評判になった首がぐるっと廻るところなんかは、いかにも作り物っぽい感じがします。

しかし、あらためて観ると、とにかく始まってから終わるまでの映画のベースに流れる雰囲気がうまい。直接にぎょっとするシーンが多いわけではないのに、自然と心理的に追い込まれているのか、とにかく怖さが湧き上がってくる。

ホラー映画としては、金字塔的な作品として確実に名を残したことは間違いありません。ただし、シリーズ化した後の作品は、はっきり言って柳の下にどじょうは何匹もいない事を証明しただけでした。

同じ頃にヒットして、同じようにシリーズ化した「オーメン」は、その点だいぶ落ちる。全体的に「荒っぽい」作りと言う印象で、こどもを怖くしようとする点だけでもたせている感じです。とりあえず、6月6日になると必ず思い出すだけです。

2013年6月5日水曜日

蟷螂生

蟷螂生・・・って、こりゃ読めません。

どうも、漢字は難しい。虫偏がついているから、何かそういうものだろうなとは思いますが。

答えは、「かまきりしょうず」ということで、今日からの七十二候がこれ。意味はまさにそのまんまで、蟷螂(かまきり)が生まれてくる時期ということだそうです。

最近、ちょっと暦にはまってまして、まだまだ言葉をそのまま追いかけているだけですが、少しずつ深いところを掘り下げてみたいと思っています。

「入梅したと見られる」という発表があったのは、先週の水曜日。ところが、実際の天気は土曜日以降は好天が続いて、比較的湿度も高くなく、すごしやすい日が続いています。「・・・見られる」という表現にしておいてよかったですねと突っ込みたくなるような感じ。

実際、二十四節気では、今日から夏に含まれる芒種(ぼうしゅ)に入り、芒種の初候が蟷螂生というわけ。今度の月曜日からは次候で腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)となりますので、これはいかにもじめじめ感が出できます。

とりあえず、今の時期は本来窓を開けて、外の風をいれたいと思うところなんですが、クリニックでは困った事に目の前の工事が始まり、朝からかなりの騒音。

基礎工事をするこれから数ヶ月間は、だいぶうるさいのではないかと心配。そして、おそらく特徴的なセンター南駅の駅舎が隠れてしまうことになるのが、今から寂しい感じがしています。



2013年6月4日火曜日

W杯出場決定

男子サッカーのワールド・カッブの出場が決定しました。

まだまだ予選を突破しただけですが、予選だけでも長い長い道のりなので、とりあえずひと段落。それはそれで、おめでとうでいいとは思います・・・思いますが・・・

まぁ、今夜は何とも溜息の出まくる試合でした。前半から、日本ペースで押しまくっていたにもかかわらず、まったく点になら無い。

シュートにつながるアシストのパスが通らないで、たびたびインターセプトされる。そこで中距離からのシュートを無理して打つのですが、当然枠をとらえられない。

見ていてだんだん欲求不満がたまってきて、こういう時は相手にぱっと点を取られるものだよなぁ、と思って見ていたら案の定、最後の最後で先制される。

もう、ほとんど絶望的な時間帯。そのあとラスト・チャンスとなりそうなコーナーを得て、さぁと思ったら、何と奇跡の幸運の相手のハンドでPKを獲得。確かに、超緊張の中、本田がよく決めてくれました。

テレビ中継のアナウンサーや解説諸氏も、もうお祭り騒ぎのようなはしゃぎよう。まぁ、今回だけは許しますが、普通なら10-0で楽勝してもいいような展開だった試合。それが、実質負け試合。

結果オーライと言ってしまえばそれまでですが、ロスタイムだけが試合ではないし、それだけで感動してばかりでは、見ている側も安っぽい。

そんなことは、監督をはじめ、選手の皆さんが一番わかっていること。これからの試合で、きちんと修正して答えを出してくれる事を期待します。

2013年6月3日月曜日

TOP GUN (1986)

いや~、もう27年前の映画。日本でも大ヒットして、言ってみればトム・クルーズの人気を決定づけた、彼の出世作ですよね。

この頃から、アメリカ映画は有名音楽家のポップな曲をそのまま使用する傾向が顕著になり、いわゆるメディア・ミックスというやり方が増えました。おそらく、「ストリート・オブ・ファイヤー(1984)」あたりが始まりかもしれません。

この映画でも、ケニー・ロギンスのメイン・テーマ曲の''Dangerous Zone''は大ヒット。大学病院の手術室でも、この曲をかけて気持ちを高揚させていた先生、特に脳外科に多かったですね。ベルリンの「愛は吐息のように」も、ずいぶんと聞いたものです。

教官役のトム・スケリットが唯一ベテランとしてストーリーを締めていますが、トム・クルーズをはじめ大多数は当時無名に使い若い俳優が登場し、若さはじける挫折と栄光を目指す青春ドラマになっています。

ヒロインは、前年のハリソン・フォードの「刑事ジョン・ブック」で注目されたケリー・マクギリスですが、この人だけはその後はめだった活躍はしていない。脇役だったメグ・ライアンとは対称的かもしれません。

監督は、当時やはり若手だったトニー・スコット。ただ、以後に目立った作品があまりなく、なんと去年自殺しているというのは皮肉な話です。

何と言っても、目玉はアメリカ軍全面協力の空中戦シーンでしょう。ちょっと前にはクリント・イーストウッドが「ファイヤー・フォックス(1982)」で空中戦を描いていましたが、やや消化不良気味でした。それに比べると、こちらはだいぶリアルな迫力で手に汗を握ります。

さて、今度新たに登場するのが3D版。技術的なことはよく知らないので、もともと2Dで撮影されたものをどうやって処理するのかわかりませんが、「タイタニック」でも3D版があとから登場して、なかなか驚いたものです。

この映画では、ドラマ部分はもともと3Dを意識した演出はしていないわけですが、当然空中戦シーンの3D化による迫力倍増は期待大で、ちょっと見てみたいと思いませんか。

2013年6月2日日曜日

佐村河内守 / 交響曲第1番 ''HIROSHIMA''

日本のクラシック音楽界で、最近最も話題をさらった音楽。作曲したのは佐村河内守(さむらごうちまもる)で、その人としての話題が様々なメディアで取り上げられ、一気に知名度を上げました。

最も衆人の注目を集めた点は、佐村河内守は聴覚障害があり、耳が聞こえないということ。聴覚障害に苦しんだベートーヴェンに例えて扱われることが多く、また両親が広島で被爆した被曝二世であることもメディアの取り上げやすいポイントでした。

本人は、そういう点を表に積極的に出すことを好まず、うるさい制約にかかわりたくないという事もあって、独学で作曲を続け、コンピュータゲームの音楽なので頭角を現してきたとのこと。

でもって、確かに興味をひくわけですが、何となくてを出すのをためらっていたところ、ひょんなことからCDが手に入りました。何と、自分の母親がタワーレコードに行って買ってきた。あんたクラシック聴くみたいだから、これ聴きなさいってんで渡された。

そこで、いろいろな情報はこの際シャットアウトして、純粋に音楽として聴いてみた。

結論から言うと、・・・つまらない。

最初から最後まで、膨大な音の洪水が押し寄せては引いていき、時に不協和音が入り、なんと80分を超えるという超大作を最後まで聞き続けるのは苦痛でした。

あくまでも、個人の感想であり、好みの問題ですから、こういう残念な感想はお許しいただきたい。おそらく、これだけの音を整理して組み上げること自体は、ものすごい才能なんだろうと思います。

ブルックナー、マーラー、ショスタコーヴィッチなどのロマン派交響曲に近い物があり、それらには熱狂的なファンがいますので、もちろん大絶賛する方々は大勢いてもいいのですが、おそらくそういう人でも長すぎると思うことは少なくないのでは。

ひたすら音の洪水と感じてしまう自分にとっては、各楽章が10分程度であれば許容範囲かもしれません。疲れてしまって、音を楽しめないのでは音楽ではありません。

難しい内容で、簡単には理解されないようなものが、より芸術性が高いと評価されるようなところがありますが、芸術は多くの人に何らかの精神的影響を及ぼすもので、その時代に理解されなければいけない。

佐村河内守のハンディキャップのことがあるので、批判的なことは表だって書きにくい雰囲気があるのですが、少なくともオリコンの売り上げランクに登場するような音楽ではないと思います。これは、辻井くんの時もそうなんですが、メディアの取り上げ方に問題があるのでしょうね。

とにかく、佐村河内守の才能を否定するつもりはまったくありませんし、同じ日本人としても次の活躍に期待したいと思います。

それにしても、うちのおばあちゃん、これを聴いてどう思ったのかしら・・・

2013年6月1日土曜日

七十二候

6月です。季節は、小満の末候で、麦秋至です。

はっ? 何ですか、それっ?

・・・と、ポカンとしていたのが、ちょっと前の自分。暦の上で、まずは一年を四つに分けます。これが四季。おそらく、常識的に春が5月までで、6月からは夏の扱い。

天気予報とかでは、晴れとか雨とかだけでは間が持たないのか、いろいろと暦のうんちくを説明してくれることが多い。3月の初めになると、「今日は啓蟄(けいちつ)です。虫か土から這い出てきます」みたいな話を毎年どこかで聞きます。

これは、春分とか、夏至とか、立秋とかと同じランク。四季の中をさらに分けて、一年を二十四に細分化して、二十四節季というわけです。

365÷24=15.2となりますから、一つの節季はだいたい15日くらいということ。これをそれぞれ、三つに分けて、おおよそ五日ごと3つに分けて、それぞれを初候・次候・末候という。だから、6月1日は、小満の末候に入っているというわけです。

二十四節季を三分割して、全部で72に細分化してものが、七十二候で、それぞれにぴったりの名前がついているというのは、半世紀以上生きていて知ったのは最近のこと。

麦秋至はむぎのときいかると読み、麦が熟し麦秋となるという意味だそうです。それだけではなんのこっちゃ、という感じですが、麦の穂が実るのは今頃で、本格的な梅雨に入る前の今頃が収穫時という話。

天気予報では、今週梅雨入りしたとなっていましたが、昨日と今日は好天で、きっと麦作農家の方々は大忙しだったのではないでしょうか。

このところ、季節感がどんどん無くなっているのは、地球温暖化などの問題もあるでしょうが、人間が自ら生活の豊かさ、便利さを求めて、自ら自然の摂理を崩してきた・・・考えようによっては、神にでもなったかのような思い上がりの結果でしょうか。

そういう時代だからこそ、自然を受け入れて生活のリズムを作っていくということの重要性も増していて、そういう知恵が四季・二十四節季・七十二候の中には詰まっているんですね。

そのあたりを意識して見ることは大切で、実際気をつけて見ていると、う~ん、なるほどと感じ物がけっこうあることに気がつきます。