2014年3月31日月曜日

雷乃発声

3月21日から始まった春分という節気の末候が、雷乃発声で、かみなりすなわちこえをはっす。

気温が上がってきて、寒冷前線が通過するようになると、雷が発生しやすくなってくる。寒い冬の間は鳴りを潜めていた雷が、またぞろ動き出すというわけです。

春雷という言葉も、よく聞く表現。確かに、小説や音楽のタイトルに春雷とついているものは少なくない。春の穏やかなイメージと雷の激しさのギャップが、面白いのかもしれません。

ほころびはじめた桜の花ですが、開花期間のどこかで、たいていは雨に降られることが多い。わざわざ「花散らしの雨」とか呼ぶくらいで、雷と共に一気に花が無くなってしまうと寂しい限りです。

うちの近辺では、木蓮は終わりそうですが、桜はまだまだ満開とはいかず、今度の週末くらいが見ごろになるのではないでしょうか。金曜日あたりに天気が崩れる予報が出ているので、ちょっと心配。

いずれにしても、春爛漫という陽気で、明日からいろいろと新しいことに飛び出していく人も多いと思いますが、つまらないことは横においておいて、いろいろなことをリフレッシュしていきたいものです。

2014年3月30日日曜日

J.E.Gardiner / J.S.Bach Matthaus Passion

ヨハン・セバスチャン・バッハの音楽を聴いていくとなると、以前の自分のように器楽曲しか聴かない場合は、それほど知らなくても困らないのが教会暦。

しかし、声楽曲を聴きだすと、そのほとんどが宗教曲ですから、J.S.バッハが関係していたキリスト教、とりわれプロテスタントについの知識抜きでは、その半分も楽しめない。

実際のところ、キリスト教からすれば異教徒の自分のような日本人にとっては、クリスマス以外はあまりピンとこないものばかり。ただ、よーく思い出してみると、確か幼稚園の頃だったか、色とりどりに卵を塗ったりするような遊びをしたことがある。

そもそも、週という7日間の単位は、旧約聖書の神様が6日間で世界を作って7日目を安息日にしたことから始まっているわけですから、これは宗教を超えて世界中への強い影響の一つ。

気がつかないところで、キリスト教関連のイベントは、けっこう生活の中にも入り込んでいるようなところです。そもそも、世界で最も信者が多いのがキリスト教ですから、地球の上で生きていくには、知らなくても困らないけど、知っていた方がいいことの一つでしょう。

どうも、いろいろある教会の1年を通しての記念日には2種類あることが、そもそもわかりにくい。プロテスタントが重視するのは、イエス・キリストの布教行脚に従った季節の中の記念日。カトリックでは、それ以外に重要な聖者の誕生日とか亡くなった日も記念日としている。

教会暦を知るのは、バッハの音楽を楽しむのが目的ですから、一部を除いてプロテスタントの暦を中心に勉強しておけば何とかなりそうです。どっちにしても、スタートはキリストの誕生日、つまりクリスマスということなんですが、残念ながら今は春。

4月になると、キリスト教としては大きなイベントがイースター。これが色とりどりの卵が登場するイベントだったわけですが、これはキリストが磔刑に処され、3日後に復活するという聖書の話に基づくもの。

そこで、まずはここに間に合うように、ある程度の勉強をしておこうというわけです。まぁ、あらためて調べなくても、キリストへの信仰が強まるにつれ、その力を心配したローマ帝国がキリストを不穏分子として捕らえて処刑したということくらいは知っています。

それに先立って、キリストは自分の行く末を予見して、最後の晩餐で弟子たちに話をする。その中には裏切り者としてはユダ、3回イエスを知らないとうそをつくペテロなど、有名人がはいっています。

そして、なんと処刑されても復活し、さらに40日後に昇天して神となるというのが、キリストの生涯の最後の数ヶ月の奇跡というところでしょうか。

今年は4月18日が受難の日、つまり処刑されたキリストの最初の「命日」です。ここがスタート。教会暦では聖金曜日ということになります。そこで、いきなりハードルがやたらと高いのですが、必ず聴いておかないといけないのが、このキリストの一連のストーリーを含んだ受難曲です。

バッハは、「マタイ受難曲」と「ヨハネ受難曲」という2つの受難曲を作っています。実は「ルカ受難曲」、「マルコ受難曲」というのもあるのですが、ルカは他人の曲の修正、マルコは楽譜が残っていません。

何がハードルが高いって、「マタイ受難曲」は人類史上最高の音楽傑作というのが一般的な評価となっているんです。マタイが無ければ、他のすべての音楽は存在価値を否定されてしまうくらいの勢いです。

まぁ、そこまで大袈裟にしなくてもいいとは思いますが、ずっと今までそういう音楽を避けて通ってきた自分としては、いきなりエベレスト登頂を目指してトレーニングを開始するみたいなものです。

録音音楽としては、古くはメンゲルベルクの録音(1939)が傑作とされ、聴衆のすすり泣きが一緒に録音されているというような伝説もあったりします。 もちろん、自分の場合はガーディナー先生に登場してもらうことになるのですが、一般的には古楽系の演奏にの中では評判は低くはありません。

ガーディナー先生の手兵が当然活躍するのですが、ここでもひときわ素晴らしいのがモンテベルディ合唱団。これだけ完璧な合唱団は他にあるでしょうか。って、最近この手の音楽を聴き始めたばかりの自分がいうのはも説得力が低いのですか、ネットなどの評判もそんなところ。

何しろ長大な曲で、聴きとおすには相当なエネルギーが必要です。それなりのキリスト教の知識を整理して、受難曲の歌詞の内容も理解しておきたい。

ガーディナー先生を信用してはいるのですが、さすがに音楽としては最も世評の高いカール・リヒターの演奏(1958)も避けることはできそうにありません。これも廉価盤で手に入れましたので、あわせて聴くつもりです。


2014年3月29日土曜日

intermission

年度末で、いろいろ気がせくことが多くて、ブログのねたはなかなか思いつかないなぁ。

よく、毎日よく書きますねとか言われますが、まぁ毎日の日記・・・自分の記録だと思えば、毎日書くことはそれほど苦ではありません。

クリニックのCM的な要素としては、関節リウマチ、自分の趣味の世界では、音楽と映画、そしてなかば強制的に書くようにしているのが暦の話。これだけあれば、毎日はなんかしら埋まるものです。

さすがに、これだけ続くと、もう日課みたいなものですから、何も書かないと、なんか気持ちが悪い。とは言っても、それでも書くことが思いつかないときというのはあるものです。

もう、開き直って、書く事が無いことを、こうやってぼやいておくというのも、ありなんですが、このくらいでやめておくのが無難なところ。また、明日から考えましょう。

2014年3月28日金曜日

真央 LAST DANCE

今回は見たでしょう? 見ますよね。うん、見る見る。

世界フィギアで、昨夜は女子ショートの演技がありました。ソチのオリンピックは時差の関係で真夜中。眠い思いで見た人も、朝ニュースで見た人も、日本人全員が愕然とした浅田真央のショート。

思わず無かった事にして、と思ってしまうほどの超緊張のボロボロの演技。フリーでは開き直って、最高の演技を見せてくれたので、あ~よかったぁとなりました。

今回の世界フィギアは、場所は日本。今シーズンで引退の意向を表明している浅田真央にとって、本当の最終試合になります。

会場にいる人も、テレビを見る人も、とにかく異様な緊張感を持って演技の開始を待ちました。浅田のテーマ曲のようなショパンのノクターンが流れ始め、滑り始めて・・・

最初のトリプルアクセル・・・が、決まった瞬間、浅田真央本人も、見ていたすべての人も、心に引っかかっていた呪縛から一気に開放された感じでした。

後は素人目にも、素晴らしい演技が続きました。終わってみれば、歴代世界最高だったバンクーバーでのキム・ヨナ(78.50)を上回る得点(78.66)を獲得する完璧な演技。

もう、日本人全員が浅田真央のお父さん・お母さん状態。ほっとしましたね。テレビでは、しょっぱなの登場だったので、続く選手の得点が出るたびに「越えるな」と願うばかりでした。

フィギアの得点の仕方は、どうもよくわかりませんが、とにかく明日のフリーで最高の笑顔を見せてもらいたいと思うだけです。

2014年3月27日木曜日

年度末

今週は、めっきり春めいてきました。冬が大雪で寒かっただけに、気温の上昇は桜だけでなく、ヒトも嬉しいものです。

そして、いよいよ年度末も迫ってきました。日本の社会生活は、3月で区切りのものが多く、そもそも学校の1年が4月から始まる学校年度に慣らされています。その後も、4月から始まる会計年度にそって生活することが多い。

数年前にクリニックを法人化する際に、税理士さんから「年度はどうしますか?」と言われて、年度と言えば4月始まりだと決まっているものだとばかり思っていたので驚きました。

実は、いつから始まるように区切るかは自由だったんですね。まぁ、いつにするかは自分はあまりこだわる理由もありませんから、税理士さんの都合のいいところでお願いしますとお答えしました。

2月から3月は税金の確定申告があり、税理士さんは忙しい。そのまま3月末で年度を区切ると、そうとう大変な事になるようです。そこで、ちょっとずらしたいとの要望があり、結局6月から始まる年度を採用しました。

そんなわけで、クリニック的には5月末が年度末で、本来は今の時期はあまりバタバタ感がないわけです。ところが、今年はちと違う。

なにしろ4月から消費税が5%から8%に上がるので、あまり多くはないものの自費分についての価格の調整が必要。これらは電子カルテを使っていますから、マスターを変更しないといけない。

今の価格の有効期限を3月31日までに設定して、4月からの新価格を登録しておく必要があります。もともと税抜き価格で設定していれば、いじらなくてもいいのですが、1円単位の価格を避けたいので、税込みで1円以下が出ないようにしていたんです。

さらに2年毎の診療報酬改定もあります。前回の時は、ほとんどすることがなかったのですが、今回は少なからず影響を受けるんです。業務の効率化のために有る程度独自のセット化をしているので、これらの修正が必要。

実際には、4月にならないとできないこともあるのですが、いろいろと準備をしておかないといけないことがあったりします。

あ~、あと4日かぁ~。年度末だなぁ~。。。。

2014年3月26日水曜日

櫻始開

今日から七十二候で櫻始開となります。さくらはじめてひらく、というわけで、それにあわせたわけではないでしょぅが・・・

昨日・・・桜が・・・開花しました!!・・・っというのは、東京の話。

気象庁の職員が、靖国神社にある桜の標準木を眺めて観察。「5輪咲いているのを確認しました」っていうわけで、気象庁の開花宣言になったわけです。

デジタル化が進んだ時代に、何ともアナログな話ですが、なんとなくほのぼの感があっていいじゃないですか。

ただし、横浜のこっちのほうでは、もうちょいじゃないでしょぅか。桜の木を間近に見れるところにいってみましたが、まだ蕾は開いていませんでした。

とは言っても、今にもはちきれそうな丸い蕾が、たくさんついていて、どんなに遅くとも週末までには間違いない。

今週末が七分咲き、来週の週末が満開で一番の見頃になるんでしょぅかね。桜散らしの雨が降らない事をのぞむだけです。

2014年3月25日火曜日

J.E.Gardiner / J.S.Bach Magnificat

キリスト教の新約聖書の中、特にルカ福音書に、天使ガブリエルがマリアにイエスを身ごもった事(処女懐胎)を告げるという話があって、これを一言で「受胎告知」と呼びます。


その日を記念して、キリスト教、特にカトリックではその日を「マリアお告げの日」として年間を通して固定した休日としています。

それが今日、3月25日。自分はクリスチャンじゃないので、もちろん休みではありません。キリスト教では、キリストの受難に思いをはせて静かに暮らそうと言う四旬節の真っ只中。

教会の音楽も、四旬節の間はお休みでしたが、今日だけは例外。そこでこの日に関連したJ.S.バッハのカンタータは、作品番号でBWV1という最初の番号を付された「Wie schön leuchtet der Morgenstern(暁の明星のいと麗しきかな)」です。

それと単独の曲として「聖母マリアの祈り」に曲をつけたのが「Magnificat(マニフィカト、我が心、主を崇め)」と呼ばれるもの。基本的には様々な作曲家が作っていて、もちろんバッハも作りました(BWV243)。

マニフィカトは直接的に「マリアお告げの日」のためのものではないようですが、ルカ福音書の受胎告知にからんで登場するエピソードなので、とりあえずあわせて聴いておくのが適当のようです。

美術でも受胎告知は格好の題材で、特に有名なのはダ・ヴィンチの描いたものでしょう。10年くらい前に上野で展示されたとき、だいぶ並んで本物を見ました。

遠めで見たときは、思ったより大きくない絵という印象でしたが、近づいていくにつれて、あふれ出てくるエネルギーに圧倒されるような感覚にとらわれました。

異教徒にとっては、今日はキリスト教の中でのマリア信仰というものを、芸術のジャンルから知るためのきっかけにするのにいいかもしれません。

2014年3月24日月曜日

休日の過し方

4月から、消費税増税、診療報酬改定があり、もうじきいろいろとバタバタと準備をしないといけないわけで、この週末はそれに向かってカウントダウン状態。

とは言っても、実際に電子カルテの診療報酬のマスターが更新されない事には、やりたくてもやれないことばかり。4月1日は火曜日で、3月31日の診療終了が勝負かもしれません。

世の中には買いだめに走る人がいるとニュースでも話題になっていますが、そうとう高いものならともかく、普段使いのものをたくさん買っても置いておく場所にも限りがあるし。

そんなわけで、この3日間、世間では3連休の方が多かったようですが、土曜日をはさんで金曜日と日曜日をたっぷり休んでのんびりしました。

天気は快晴で、こどもが小さいなら絶好の行楽日和でした。うちはもう年寄り夫婦の家
みたいにものですから、どこに行くわけでもなく、リビングの陽だまりで惰眠をむさぼるという「贅沢な時間」を過しました。

唯一やったことといえば、春分の日の墓参り。幸い墓所は家から近いので、春と秋の年に2回くらいは、可能な限り墓参り倉井はしないとね。

とりあえず、ゆっくりしてエネルギーを貯め込んだので、3月最終スパートをしてがんばりたいと思います。

2014年3月23日日曜日

Anna Netrebko / Pergolesi Stabat Mater

宗教、とりわけキリスト教関連の音楽というと教会で演奏されるものが主ですが、中には民衆の間に広まった世俗曲的なものも少なくありません。

その代表的なものがスターバト・マーテルですが、これはもともとは聖母信仰から生まれた世俗的な詩が元になっていて、それがカトリックの中に取り込まれたもの。

和訳すると「悲しみの聖母」で、十字架に磔刑に処されたキリストを悲しむ二人の女性、つまり聖母マリアとマグダラのマリアがイエスを思って嘆く様子が記されています。

古くから多くの作曲家が、この詩に曲をつけているのですが、細かいものをいれると数百あるといわれています。 ヴィバルディ、ハイドン、ボッケリーニ、シューベルト、ヴェルディ、プーランクなどなど、数えだすときりがありません。

しかし、有名なものとして三大スタバというのがあって、これについてはまずは異論はないだろうと思います。それが、ペルゴレージ、ロッシーニ、ドヴォルザークの三人によるもの。

さすがにオペラ作曲家として名を馳せたロッシーニのものは、宗教的というよりはオペラ的な感じ。ただ、ミサ曲ではないのでこれはこれでありというところでしょぅか。

ドヴォルザークは、相次いで亡くなった三人のこどもに捧げられたもので、たぶんに自身の悲しみがあまりに深く、全編を貫く悲哀の情感は他を圧倒します。

しかし、宗教的な雰囲気を持ちつつも、人の悲しみの心を描き出す美しさでペルゴレージのものが、一番詩の内容にマッチしているように思います。

ペルゴレージは大バッハのこどもたちと同世代で、 わずかに26歳で亡くなっているため、遺された作品は少ないものの、オペラの基礎を作った作曲家の一人として音楽史に名を残しています。

スターバト・マーテルは最後の作品とされていて、ソプラノとあるとのソロあるいはデュエットという構成。アルトが聖母マリア、ソプラノがマグたらのマリア。

アンナ・ネトレプコといえば、もともと声楽・オペラが苦手の自分でさえ、名前を知っているほど、いまや一番人気のあるソプラノ歌手です。数々のオペラ作品で絶賛されてきましたが、宗教作品はほとんどない。

そのネプレプコがペルゴレージの作品のみのアルバムをだしていて、録音も2010年と新しい。純粋な宗教曲ではなく、女性の悲しみを歌うという点では、オペラ的な情感たっぷりのヴィブラートも悪くは無い。

また、デュエットをする聖母マリアのマリアンナ・ビッツォラートが素晴らしく、二人の絡み合うところはぞくぞくとする感じです。

2014年3月22日土曜日

リウマチを心配している方へ

関節リウマチを心配する方は少なくないわけで、たくさんの患者さんが手や足の痛みがあると病気を心配するものです。

もちろん、関節リウマチはれほど多いわけではないので、大多数は使いすぎ的なや、加齢性の変化によるものだったりするのですが、それを単純に自分で判断するのは難しい。

ネットの時代になって、いろいろな情報を得ることが簡単になりました。そういう自分も、ホームページやこういうブログで情報を発信しています。

ところが、ネットの情報の正確性については、ほとんどの場合なんの担保もされていないものがほとんど。いくらなんでも、これはいかがなものかと思うようなものも見かけます。

知識がある場合には、それらを取授選択してうまく活用することができるのですが、そうでないと結局いろいろな情報に踊らされるだけになってしまうものです。

情報過多はかえって混乱を招くだけで、関節リウマチを心配する人は、もう自分はこの病気があるに違いないと考えてしまう。あれも、これも、全部自分に当てはまると思ってしまうのです。

医学全般に言えることですが、人を見ないと個人の病気の話しと言うのはできません。ネットワークを用いた遠隔診断のような技術は、ずいぶんと以前からあります。しかし、いまだにそれほど浸透していないのです。

特に関節リウマチは、100人いれば100種類の発症があると言いたいくらいの病気です。後からみると、あれもリウマチだった、これもリウマチだったみたいなところがある。

教科書に書かれるような典型的な症状が、いきなりそろっていることはほとんどありません。まして、発症早期ではなおさらのこと。

昨日から痛いというような場合は、まず話や診察だけでは判断のしようがない場合がほとんど。検査を行い、疑いがあれば注意深く経過を観察するしかありません。

関節リウマチを心配する方に、是非知っていてもらいたいことがいくつかあります。是非、チェックをしてみてください。

まず、診察で疑いを持つ場合というのは、痛みがある場所に理由が無い事。ケガをした、あるいはしたことがない。使いすぎたわけでもない。

痛みの場所は一ヶ所でも複数あってもいいのですが、重要な事は腫れているかどうか。反対側あるいは、近くの関節の比べて、厚みを感じるか。赤くなっていたり、動かさなくても痛みを感じる場合は、特に心配したほうがいい。

そして、手の指の場合ですが、指の付け根の関節の症状は心配して、先端の関節になるほど可能性は低くなります。ただし、指の付け根の関節でも手のひら側だけの痛みはね圧倒的に腱鞘炎(使いすぎ)であることがほとんど。

家族にリウマチ患者がいる場合は、リスクになりますが、いわゆる「遺伝病」ではありません。必ず自分も発症すると、心配しすぎないようにしましょう。

そして、じゃあどこに受診するかということが問題ですが、少なくともリウマチ診療は進歩が著しい領域で専門性がどんどん高くなっているので、一般の内科や整形外科が診断・治療するのには無理があります。


しかし、残念ながら病院であればリウマチ科を標榜することは自由で、広告が厳しく制限されている医療の世界では、なかなか一般の方がリウマチの専門家を見つけることが難しいのが現状です。

そこで大事なのが、ネットの情報をうまく利用する事。日進月歩のリウマチ学に関係する病院は、いまどきネットを必ず利用しているものです。

ホームページの内容の正確度はともかく、リウマチについて多くを発信しているところは当然ある程度自信があるはずです。口コミ情報は、マイナス情報も多くあるので、注意が必要。

自分のような整形外科出身のリウマチ医と内科出身のリウマチ医がいることも、患者さんが困ることの一つ。専門性が確認できれば、どちらでもいいと思いますが、それぞれに専門のなかでも得意・不得意があります。

病院か診療所かというのも悩むところ。原則として関節リウマチ診療は外来で行うものですから、入院設備の有無は重要ではありません。基本的な治療は診療所で行い、重症な場合や合併症の問題がある場合に大きな施設にいくという流れが主流になりつつあります。

これらがすべてではありませんが、「リウマチが心配」と相談された場合に、このくらいのアドバイスはしたいと思うところです。心配を膨らませすぎて、不安ばかりにならないように、役に立てばと思います。

2014年3月21日金曜日

雀始巣

今日は春分の日で、祝日となっています。

春分の日は昼と夜の時間が一緒といわれていますが、天文学的には実際は太陽横径が0゚になった瞬間を春分といい、必ずしも昼と夜を真っ二つに割る瞬間と一致するわけじゃありません。

まぁ、そんな難しいことを考えても、もともと「だいたいそんなところ」で困る事はまったくありませんし、ここから昼の時間がだんだん長くなってくるということは間違いありません。

二十四節気では、今日から春分。実世界でも、いよいよ春本番という感じです。そして、その初候にあたるのが、七十二候で雀始巣で、すずめはじめてすくうです。

スズメにまつわる、ことわざや熟語はけっこうある。雀百まで踊り忘れず、鷹の前の雀、雀の涙とか、一茶の詠んだ句にも「我と来て遊べや親のない雀」などなど。

スズメは、以前は都会でも最もポピュラーに鳥のひとつでしたが、いつからでしょうか、本当に少なくなりました。

ほとんどがあまり移動することなく、ヒトに共生する典型的な動物とされています。ただ、餌がなくなってきたとか、巣を作る場所が減ったとかの理由で都会では減少と言われていますが、実数はそれほど減っていないらしい。

都会では、カラスのほうがやたらとのさばっていて、烏始巣なんていう候が出てきたりする・・・わきゃないか。

2014年3月20日木曜日

J.E.Gardiner / Mozart Operas

クラシックCDを気楽に楽しみ、大人買いできるのは、輸入盤しか買わないから。

そりゃそうでしょう。何しろ、日本盤なら2000円~3000円する新譜が、1500円くらい。ボックスセットなんかは、数万円するものでも、輸入盤なら1万円以下で買えたりすることが多い。

もっとも、それほど売れるものではないので、日本盤で揃えたくても、そもそも売っていないものがほとんど。日本盤といっても、輸入盤に日本語の解説をおまけでつけただけというのも少なくない。

あとはHMVのような、販売店のキャンペーンをうまく利用して、さらに実質的に20%程度の値引きみたいなものを使うのがポイント。ただし、HMVは去年くらいから、かなり渋チンになってきて、あまりお得感はなくなってきました。

そして、もう一つ大事なのがamazonですが、こちらは新品ではなくて、中古品狙い。届くまで時間がかかることを我慢すれば、外国からのマーケットプレイスを利用すれば、HMVで販売終了したようなものも含めて、そうとう格安で手に入る。

というわけで、今回ゲットしたのがこれ。ガーディナー先生のモーツァルトの7つの有名オペラのボックス。イドメネオ、後宮からの逃走、フィガロの結婚、ドン・ジョヴァンニ、コジ・ファン・トゥッテ、皇帝ティートの慈悲、魔笛が入っている。

オペラは、まだ楽しむことができないのですが、宗教音楽が楽しめるようになってきたので、そのうち手を出したくなるのは間違いない。そこで、せっかくなら、ガーディナー先生のボックスにしようというわけなんです。

3年前に発売された18枚組で、有名なもの7つがつまっていて、入門者としてはこれで十分すぎる内容。HMVでは約7500円で、今でも販売していますが、入荷日未定となっていて、これは実質的に販売終了と同じ。

amazonを探すと、新品は7171円から、中古は12000円台からとなっています。バラでそろえれば20000円以上かかるわけですから、7000円でも、内容的にはずいぶんと安い。

ただ、ガーディナー先生のアルバムという以外は、もっかのところ特に聴きたいというわけではありませんので、この値段をだすのはためらわれるところ。

そこで「ほしい物リスト」に入れて、チョコチョコとチェックをしていたら、ぎょぎょぎょっという値段が出ました。もちろん中古ですが、最初はゼロを一つ間違えたかと思いましたが、なんと1200円。

こりゃもう、ただ同然ですよ。さっそく条件反射的にカートに入れてしまいました。届いた品を見ると、ほとんど痛んでいるところはなく、新品同様といっていいものでした。

内容は・・・当然、まだ聴いていないわけで、いつか聴けるようになったときまで棚にしまわれることは最初からわかっていますが、これで「いつでもこい」状態というわけです。

今日の音楽というより、明日の音楽というところでしょうかね。

2014年3月19日水曜日

卒業式

シーズンですね。今週はあちこちで、卒業式がずいぶんと行われているようです。

最近は、学校や父兄からのリクエストでタレントが駆けつけるサプライズが流行っています。自分の頃には、そんなきのきいたイベントではありませんでした。

幼稚園とか小学校の卒業式は、まったくといっていいくらい記憶に無い。高校の卒業式は、ふだん私服でちゃらちゃらしていた仲間も含めて、ガクランで記念撮影をしたりしました。

大学は、総合大学でしたから全学部一緒のマンモス卒業式。ふだん見たことも無いような大学の偉い人たちのお言葉をひたすら立って聞くという、苦行に近いものがありました。何にしても、悲しいものではないにしても、楽しいものではない。

こどもの学校の卒業式にも何度か出席したことがありますが、これも自分としてはうちの子以外には、特に興味があるわけではないので、正直言っておもしろくはない。

まぁ、もともとそんなもんでしょうから、とりたてて文句を言うほどのことはありませんが、結局当事者 - 卒業生が、成長の区切りとして、次のステップに行くための行事として、過去と未来をちゃんとつなげていくきっかけです。

若人は、そういうきっかけがたくさんありますから、その瞬間を大切にしてもらいたいと思いますね。

2014年3月18日火曜日

爪痕

アスファルトの道路に、無残にもつけられた爪痕が。

四つ角から断続的に続く、この奇妙な引っかき傷を追いかけて行くと、100mといかないうちにある家の駐車場へ消えていく・・・って、それうちじゃん!!

実は、バレンタインデーの大雪の翌朝、何とか出かけようと車庫から車を出したのはいいのですが、いやはやどうにもならない。

スタッドレスタイヤでは、とうてい太刀打ちできないことがわかって、チェーンもさらに巻いてみた。それでもだめ。いやはや、タイヤが空転してどうにもならない。

こんなことは、初めて経験で、これが道端に車を乗り捨てて行く人の気持ちというものかとわかった次第なのです。

それにしても、誰がつけた傷かはバレバレで、いやどうも超恥ずかしい。これが目立たなくなるのには、数ヶ月以上かかるんでしょうかね。

2014年3月17日月曜日

J.E.Gardiner / J.S.Bach Complete Secard Cantatas

指揮者ジョン・エリオット・ガーディナーは、そのキャリアにおいて、バロックからスタートし、古典に進出。手兵と呼ばれるEnglish Bloque Solists (EBS)とモンテヴェルディ合唱団を、きっちりと統率して古楽系の音楽家として確固たる地位を築きました。

作曲家としてはJ.S.バッハを最も得意として、モンテヴェルディ、パーセル、プーランクなども重要なレパートリーにしてきました。さらにハイドン、モーツァルトにもおよび、ついにベートーヴェンからは新たなオーケストラであるオルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロ マンティーク(ORR)を組織します。

ORRとはベートーヴェン以外にも、ベルリオーズ、ブラームスなどを次から次へと演奏してきましたが、さらにその先となると、古楽にこだわらずウィーンフィルなどのモダンオーケストラをうまく使ってきました。

自分の場合は、ガーディナーのおかげで、だいぶ聴くだけのレパートリーですが、苦手だった声楽をなんとか克服できそうな感じになってきました。ただし、そうは言ってもオペラはまだ無理。ドイツ語やイタリア語のセリフが理解できませんし、視覚的に舞台が見えないと、どうもぴんとこない。

ただ、オペラも、今で言ったらミュージカルですから、DVDなども増えてきているので、日本語字幕付のものであれば、今後何とか楽しめるようになるかもです。

さしあたって、聴くことができる声楽は宗教曲に限られています。ただ、何が難しいって、やはりキリスト教の理解なくしては面白さが伝わってこないこと。

なんちゃって仏教徒で、実際は無信仰に近いので、まして異国の宗教については歴史の勉強みたいなもので、そうは簡単に理解はできません。そこで最近はネットが重宝するわけで、クリスチャンでもないのに教会のホームページをのぞいたりしているわけです。

ガーディナー先生とは逆で、最初はベルリオーズからスタートして、次は世界三大レクイエム(モーツァルト、フォーレ、ベルディ)、ベートーヴェンからいよいよJ.S.バッハにたどりつきました。

バッハというと、今までは苦手な声楽を除いて、器楽曲ばかりを聴いてきました。もちろん全部で1000曲以上あるので、器楽曲でもかなりの数ですが、本来教会音楽家として生きてきたバッハのことですから、宗教曲の数といったらそりゃもう膨大です。

さすがに、マタイ受難曲とかロ短調ミサ曲という有名どころのタイトルは知ってはいました。古くはメンゲルベルクのマタイ(1939)は観客のすすり泣きが聞こえるというような伝説のような話も聞いたことがありますが、実際それがどんな内容の曲かは気にも留めませんでした。

今頃になってわかったのは、受難曲というのはキリストがローマ帝国から危険人物として注目され、最後の晩餐をへて捕らえられ十字架にかけられる。そして復活して神になるという一連の新約聖書のストーリーだったんですね。

となると、話としては比較的馴染みがある。だいたい好きなミュージカルの一つである「ジーザス・クライスト・スーパースター」がまさにその話じゃないですか。キリスト教徒の方に怒られるかもしれませんが、映画の''47 ronin''を見るか、歌舞伎で「仮名手本忠臣蔵」を見るかみたいなところと一脈通じる。

さらに、教会の暦にしたがって毎週演奏するように作られたカンタータが、なんと200曲もあるわけで、無謀なことにこれらも全部聴いてみようと思い立ってしまいました。

そうなると教会暦というものを理解しないといけないわけで、これがまた複雑なんですね。固定の祝日というのは少なくて、重要な記念日は年によって大きく移動する。とにかくキリストの誕生日のクリスマスから1年が始まるというのは知っていましたが、通常の春夏秋冬のようにきっちり分けられているわけではありません。

本当なら12月から聴き始めるのがいいんでしょぅが、時はすでに3月。幸いなことに、只今「四旬節」の真っ只中。これはキリストの受難と復活までの準備期間で、謹慎して静かにしていないといけないらしい。ですから、3月に演奏されるべきカンタータというのは少なく、お休み期間になっています。

今年は3月25日が「マリアのお告げの祝日」となっていて、これは受胎告知として知られているマリアがキリストを身ごもったことを神から教えられた日ということになっています。いよいよここから、毎週いろいろな行事とともにカンタータなどが演奏されるので、これに間に合わせることにしました。

そこで登場するのが、カーディナー先生の作ったカンタータ全集。昨年秋に発売されたCD56枚組みの巨大ボックスです。

これは2000年から始まったプロジェクトですが、実は収録されたのは1999年のクリスマスから2000年のクリスマスまでの1年間。ガーディナー先生は、実際の教会暦に合わせて世界中の教会で、その時にふさわしいカンタータを毎週演奏するという、実に壮大な計画を実行したわけで、そのときのライブ演奏を10数年かけて、こつこつと発売してきたということなんです。

1年間の間、毎週新しい曲を演奏し続けるというのは、練習もさることながら、移動なども考えると、相当大変なことだったというのは、自分でも理解できるところ。そもそも、最初はARCHIVから発売されたのですが、4枚だしたところで採算が取れそうに無いとARCHIVが降りてしまい、計画は頓挫しそうになります。

そこでガーディナー先生は、自らSDGレーベルを立ち上げ、残りの録音を毎年数枚ずつこつこつと発売してきました。これには、かなりの寄付もあってのことだという話もあります。SDGは''Soli Deo Gloria''で、マタイ受難曲の直筆譜の最後に記された言葉で、「ただ神にのみ栄光を」という意味。

全集発売にあたっては、ARCHIVから先行した4枚もボックスに含めることができたので、ガーディナー先生の偉業は完全な形で残されたわけです。すでに4大宗教曲についてはARCHIVでの録音があり、これらを含めて教会暦に沿って聴いていけば、バッハの宗教曲を制覇することは夢ではありません。

さて、何とか1年間続けられるか不安はありますが、なにしろ能天気な無神論者ですから、とにかく楽しめればいいじゃんくらいののりで乗り切りたいと思うわけです。


2014年3月16日日曜日

菜虫化蝶

今日から七十二候では、菜虫化蝶となり、なむしちょうとなると読みます。二十四節気の啓蟄の末候で、このあとはいよいよ春分を迎えます。

さすがに3月もなかばを過ぎてくると、寒いといっても2月ほどではなく、春を実感する気候になってきました。このままだと、2月に慌てて買い足した灯油がだいぶ余ってしまうかもしれません。

菜虫化蝶ということは、蝶になる前の幼虫はいわゆる芋虫ですから、昔の人にとってもまさに綺麗な羽を広げて化けたという感じがよく出ている。

ガーデニングなどを多少は嗜むと、土を掘り返している時に何かの幼虫を掘り出してしまうことがよくあります。むむ、許可も得ずに我が家に勝手に居候しおって、などとは思いません。どちらかと言うと、つい起こしてすいませんと謝りたくなるものです。

モンシロチョウとかアゲハチョウとかだといいのですが、蛾だとちょっと残念。芋虫の中で毛が多いと毛虫と言うようですが、だいたい毛虫が蛾になることが多い。さすがに蝶が飛んでいるところを見るのは、もう少し先だと思います。

2014年3月15日土曜日

診療報酬改定講習会

昨日は、医師会の「平成26年度診療報酬改定講習会」というものがありました。2年毎の診療報酬改定、つまり保険医療の定価の改定に合わせて、それを周知徹底させるための講演会で、出席は暗黙の強制があるような無いような微妙な会。

資料が配られ、檀上に講演する方がいるのですが、中身は資料を読むだけであまりその場にいる必要が感じられない(資料を用意する努力を短時間でした講演者の方には申し訳ないのですが)。

これは、厚労省の最終決定がいつも遅い、ぎりぎりまで正式の発表がないということと、あいかわらずどう解釈していいのかわからない日本語とは思えないような、「お役所文書」の羅列が大きく影響しているんでしょうね。

ですから、結局実際の改定がされた4月以降に、山ほどの疑義解釈本が登場してきて、昨日の講演でもそちらを必ず見ましょうという説明が多かった。文章をわかりにくくして、どうにでも都合のいい方にもっていこうとするのは、日本の政治の伝統ですかね。

具体的なところでは、一般の方には初診料と再診料の値上げが一番大きな変更点。多くの3割負担の方の場合、 810円だった初診料は850円、210円だった再診料が220円になります。

これに通常いくつかの管理料とか加算とかついてくるので、もともと単独の値段ではありませんが、よけいに数十円かかるようになるというところ。薬の値段は、別に薬価というもので規定されていて、いつもだと下がる一方ですが、今回は消費税分の約3%の上乗せになっているものもかなりある。

在宅医療は、あいかわらず試行錯誤。今回も新しい項目がたくさん登場していて、介護保険とのからみで複雑でわかりにくい。ただ前回までは、できるだけ多くの医療機関を在宅医療に参入させようとしていた感じですが、今回はちょっと違う。

企業が医療に参入しやすくして、自由競争的な部分が増えていたのですが、逆にそれが不適正な医療行為を誘発したと言われています。そこで、いきなり点数を下げた項目が目立ちます。

一部の企業団体のせいで、多くの在宅に力を入れようとしてきた診療所レベルでは大打撃で、在宅を撤退しようかという話も少なくありません。いずれにしても、在宅部分は今後も高齢化社会の中で膨らんでくる部分ですから、ここにかかる医療費の抑制もどんどん増えてくるのかもしれません。

結局、全体でプラス改定ということですが、実際には消費税増税分を上乗せしただけのゼロ改定。政府は企業にベアを強要するような発言をしているのですが、医療に関してはベアはありません。

なんにしても、末端の医療機関や患者さんは出るものが増えるだけで、ますます医療環境は厳しい時代に入っていくんだろうなと思いました。

2014年3月14日金曜日

ホワイトデー

昨日は、強風の中、雨が降ったり止んだりで大変でした。いわゆる「春の嵐」というところでしょうか。気温は上昇し、だいぶ暖かでしたけど。

明けて今日はホワイトデー。自分の理解としては、2月14日のバレンタインデーに、女性が思いを込めていチョコレートを異性に送り、そしてそれに対してクッキーでお返しをする日。


実際は、今時はどちらの記念日もそれほど送る相手も送るものも厳密に決まっているわけではないようで、誰に何を送っても許されるみたいなところがありますね。

バレンタインデーは、ローマ帝国時代の話から始まります。時のローマ皇帝が、結婚の神様の日とされていた2月14日に、皇帝の意向に逆らって兵士の結婚をさせていたバレンタイン司教を処刑したということです。

キリスト教のなかでは、バレンタイン司教の話は信憑性が議論され、記念日としては取り消されたのですが、日本では50年くらい前からお菓子会社により定着しました。

まぁ、ほんとかどうかはともかく、バレンタインデーについてはそれらしい起源があるのでよしとしましょう。ただホワイトデーは、80年代から始まった完全に日本独自の企画。

いわゆる便乗商法と切り捨ててしまえばそれまでですが、日本人の「お返し」という風習をうまり取り込んだ、なかなかうまい作戦。またシャイな男性にとっても、女性に告白する機会になったりして喜ばれる。

最近は、ほぼ毎日のようになんとかデーというのがあって、自然の営みとは無関係の暦があふれかえっています。そのほとんどが、何かの売り込みに関係したものですから、もうどうでもいい感じですが、どこかでそれを楽しむゆとりはあってもいいかなと思ったりしています。

2014年3月13日木曜日

J.E.Gardiner / J.S.Bach Motets

ガーディナーにはまって、声楽付きの音楽がだいぶ聞けるようになって来ました。ガーディナーは、もともと学生時代にモンテベルディ合唱団を結成し、今に至るわけですから、古楽というより声楽が最もベースにある人です。

以前にも、モンテベルディ合唱団のアカペラのCDを紹介したことがあって、一人一人がソロで歌う事が多いオペラと違って、合唱はけっこういけるんです。

レクイエムから始まった声楽の道ですが、今回はとにかくキリスト教の音楽を理解する事を一緒にするように努力しています。やはり、キリスト教自体がある程度わからないことには、どうもとっかかりがつかめない。

それに楽曲の呼び方も複雑で、似て非なる呼称がいろいろあったりして、このあたりの整理から入らないとなんのこっちゃ状態になる。

キリスト教の基本的に典礼にそくした音楽がミサ曲。その中で、特に死者に対するものがレクイエム。カンタータは器楽伴奏付きの声楽曲全般をさしますが、特に教会で教会暦にのっとって演奏されるものが教会カンタータ。それ以外を世俗カンタータと呼びます。

カンタータには独立した器楽演奏部分が含まれるのですが、器楽が入らず、あったとしても最低限の伴奏にとどまる合唱曲をモテットというようです。

偉大なるバロックの大音楽家であるJ.S.バッハは、明らかにカンタータを中心に作曲活動をした人で、膨大なカンタータの量からするとモテットはわずかに6曲だけ。

ところが、ほぼアカペラといってもよいポリフォニーを特徴とする合唱は、こりゃそうとう難しそう。伴奏でのごまかしがききません。だいいち、途中で休んでいる時間がない。

そこんとこを、さすがの実力で聞かせてくれるのがモンテヴェルディ合唱団です。とにかくハーモニーの美しさは、おそらく世界一と言っても過言ではない。

天国から流れてくる音楽があるとしたら、まさにこんな感じなのかもと思ってしまいます。でも、ゆったりしたものだけでなく、テンポのあるものもあり、けっこう飽きません。

ポリフォニーの特徴である、いろいろな独立した旋律が複雑に絡み合うところも、濁りや崩れが無く、切れ目のぴたっとあったところはガーディナーの統率力全開で見事です。

あとは歌詞の内容まで理解できれば完璧なんですけどね。ネットで対訳が見つかるので、合わせて楽しむのが、非ドイツ語圏かつ非キリスト教徒の正しい楽しみ方かもしれません。

2014年3月12日水曜日

STAP細胞

何にでも分化できる万能細胞として、話題になった「STAP細胞」が、いろいろな批判を受けて揺れています。

自分はニュースだけでしか知らないので、最低限の事実しかわかりません。しかし、もともとニュースとしては、リーダーの若い女性に焦点を当てた色眼鏡がかかった状態と感じています。

多少なりとも学会活動というものをしたことがあるので、だいたいどういう経過で論文ができていくのかわかります。まずは学会での口頭あるいはポスター展示による発表をします。

この時点では、簡単な審査がありますが、実際はほぼエントリーすればたいてい発表できる。内容的には、間違いがあったとしても発表者側の思惑が通ってしまう。

ですから、大事なのはこのあとに文章として投稿し、論文として完成させること。通常は、発表した学会誌に発表します。しかし、相当インパクトのある内容の場合は、より権威のある学術雑誌に投稿することもあります。

今回のSTAP細胞の論文が掲載されたNATUREは、医学・科学雑誌としては、最も権威のある雑誌の一つ。この権威の度合いは、引用される回数などによって数値化されていて、たいへんはっきりとしています。

さて、文章を投稿すると、いきなりOKになることはまずありません。簡単に合格するような場合は、その雑誌はたいしたものではありません。

通常は、雑誌側で内容を吟味する担当の専門家がいて、その人たちが細かいところ - ちょっとしたてにをはに至るまで、赤ペンをいれてくるのです。また、内容的な質問も山ほど追加されて戻ってきます。

こういうやりとりを何度もしていくうちに、しだいに赤字が減ってきて、早ければ1年くらいで掲載決定となるのですが、学会発表から数年かかる事も珍しくはありません。

ですから、その内容については発表誌も責任を持つという意味があり、もともと作為的な嘘がある場合以外では、簡単に一度公開された論文を取り下げるというのは有り得ない。

発表された論文をもとに実験をやった研究者から、再現できないという批判が出ているということですが、わずか数ヶ月で簡単に再現できなくて当たり前ではないかと思います。

いつものことですが、メディアの取り上げ方にもいろいろと問題があると思うのは自分だけでしょうか。とにかく、発表者はこれから数年以上かけて追加の論文などで、自らの論文の正しさを固めていくしかありません。

2014年3月11日火曜日

桃始笑

桃始笑は七十二候で、ももはじめてさくです。二十四節気の啓蟄の次候です。

桃と始はわかるとして、笑と書いてさくと読むというのは、なかなかいい。いかにも春が来て楽しい感じがします。

ただ、今日は東日本大震災から丸3年。

被災地では、復興が進んでいると感じているという方は4割弱。ゼロからのスタートを考えると、復興が少しずつは進んでいるのでしょぅが、まだまだ問題はたくさん残されているということでしょう。

原子力発電所の問題についても、まだまだ安心ですということにはならない。今後のエネルギー問題についても、原発ゼロ派にしても、推進派にしても、まず結論ありきで討論するだけで、一向に結論が出る様子はありません。

あらためて、震災からのブログを読み返してみると、自分にとっても凄い事が起こったんだと再確認できました。今後も、ずっと忘れる事がない日として記憶したいと思います。

2014年3月10日月曜日

春闘

だいたい2月から賃上げ運動などが始まり、「春の労働者の闘い」である春闘は今が真っ盛り。ベア目指して、あちこちで熱い労使交渉が活発に行われています。

昔は、その流れで国民生活に直接影響するようなストライキがしばしば行われていました。でも、バブル崩壊以後でしょうか、とんとストライキというものにはお目にかからない。

だいたい大手製造業から始まる春闘交渉ですが、先日日産自動車がほぼ満額回答を出しました。電機会社も要求の半分とはいえ、かなり大幅なベア回答を出したところ。

このあたりはアベノミックス効果を強調する政府としては、当然の結果として胸をはるポイントになるんでしょうが、大多数の労働者が所属する中小企業ではなかなかそんなうまいことはいっていないようです。

ほんの一握りの大企業ではなく、多くの国民が実感できる経済復調はまだまだ春が遠いかもしれません。

医療の分野でも、4月から初診料・再診料が上がりますし、多くの薬の値段もおおよそ3%上がります。薬を購入するクリニックや、薬局で処方箋を出す患者さんの支払額が増えるわけです。

うちのようなリウマチクリニックには、過去に有り得ないような報酬引き下げもあって(患者さんにとっては値下げ)、さぁ4月からどうなることやら・・・

2014年3月9日日曜日

身近な春

2月の大雪のときに、雪かきをしていたら、庭の隅っこにクロッカスらしき細い葉っぱで出ていたんですね。

これは、もう10年以上前に植えたのが最初で、その後はほったらかしなんですが、毎年春になると花が咲いて、今年もがんばっているなぁと思わせてくれる。

雪の重みで、だいぶしおれた感があったのですが、今年もまた顔を出してくれたわけです。1週間くらい前には、確か葉っぱしかなかったように思っていたのですが、今日いきなり満開になっているのに気がつきました。

クロッカスの開花は短くて、すぐに花はしおれてしまいます。ちゃんと花が咲いたことに気がついてよかったです。

また、そのままほったらかしにすると思いますが、きっと来年も黄色の花を見せて、春になってきたことを実感させてくれることでしょう。

2014年3月8日土曜日

Flank Jobe

フランク・ジョーブ医師が亡くなったそうです。

一般の方は、誰、それ? と思われるかもしれませんが、整形外科医やスポーツ選手、特に野球選手には大変有名なアメリカ人でしょう。

大リーグ投手のトミー・ジョンの肘関節の靭帯再建手術を行い、投手として復活させたことから有名となり、ドジャーズではずっと医療コンサルタントとして、ずっと選手をケガから守るために尽力したということです。

そのため、数々のスポーツ選手から診察をオファーされました。日本人でも、村田兆治、荒木大輔、桑田真澄らが同様の手術を受けるために渡米しています。

80年代~90年代は、有名なスポーツ選手はことごとくジョーブの研究所に行くというのが、ある種のステータスだったと言えます。

同じ手術は日本でも、まったく問題なく行われていましたので、当時なんでわざわざアメリカまで行くのかと思ったものでした。

90年代にフランスの国際学会のオブションでディナーに参加した際、ジョーブ医師の隣席になったことがあって、話を聞いた事があるんです。

診察を希望してやってくる患者さんが多すぎて、ほとんどは自分のスタッフに治療を任せているというようなことを言っていました。特に関節鏡を使用しての侵襲性の低い手術が増えてきたので、それらは自分ではやらないようでした。

それでも、スポーツ整形外科、特に上肢外傷の分野における功績は高く評価されるもので、ひとつの時代を築いた人物として記憶されるべきだと思います。

合掌

2014年3月7日金曜日

これ何? 種。茶色だなぁ。大きいなぁ。

何の種? 柿じゃない。南瓜じゃない。

アボガド? アボガト? アポガド?

正解はアボカド。Abocado。ワニナシとも呼ばれ、くすのきの仲間。森のバターと言われるくらい脂肪酸が多いんだそうで・・・

いつもは、そのまま捨てているでっかい種なんですが、今回はちょっと芽を出させてみようかと。

実が獲れるくらいちゃんと育つには、そうとう大変かもしれませんが、観葉植物レベルなら比較的簡単らしい。

とりあえず、小さいコップの中に入れて、水に浸してみた。1週間たったが、ほとんど変化はない。まぁ、数週間はじっと待つだけなんでしょうけど。

しょせん、生活の中のちっちゃい楽しみみたいなものです。

2014年3月6日木曜日

蟄虫啓戸

二十四節気では、今日から啓蟄(けいつち)となります。

テレビのニュース、特に天気予報なんかの小ネタとして紹介されることが多い言葉なので、けっこう昔から啓蟄だけは知っていました。

春になって温かくなってきて、土の中で過していた虫が表に出てくるという意味。なんだか、とても温かいんだなぁと伝わりやすい言葉。

実際のところ、まだそこまでは春は来ていないというのが実感ですが、まぁよしとしましょう。 ただ、注意しないといけないのは、「虫」といっても昆虫ではなく、蛙とか蛇とかムカデとかが含まれての話。

そして、啓蟄の初候となるのが、蟄虫啓戸ですごもりむしとをひらくとなります。これは9月末にあった秋分の次候の蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)と対になったもの。

暦の上では、「虫」は半年間隠れていて、こういう自然の現象をいろいろと観察する事が生活のリズムの基本になっているということがよくわかります。

2014年3月5日水曜日

増税前

消費税は、確かに欧米に比べて日本は税率が低い。だからといって、もっと高くして良いという議論がされることがありますが、国によっていろいろなやり方があってもいいわけで、何も一律同じにすることはない。

とか何とか言っても、政府が決めた事で、実際のところ4月からは現行の5%から8%に増税されるのですから、もうしょうがない。

数年後には10%になることも既定事実で、どんどん個人から取れるものは取っていこうという路線はヒートアップしていくのです。

もっともお金に余裕がある人から、たくさん税金を納めてもらうというのはリーズナブルな制度。いろいろと買い物をするというのは、生活必需品もありますが、高額なものほど無いと生きていけないものは少ない。

ただ、高額所得に対しては、すでに所得税の部分で格差がついているわけで、がんばって働いてたくさん儲けても、結局税金が増えるだけというのでは、「夢をかなえる」的なモチベーションが保てないかもしれませんね。

実際のところ、それほど不満を言いたいわけではないのですが、何となくモヤモヤしてしまうのは、現政府のあからさまな大企業優遇政策。政治は金がかかるんでしょうが、たくさんお金をだしてくれそうな大企業を手厚く保護するのは、昔のやり方そのもの。

復興特別税は個人はまだまだ続きますが、企業に課せられていたものは今年から廃止になります。法人税もいろいろとゴニョゴニョ・・・・まぁね大企業が元気で、どんどん露を落としてくれればいいんでしょうけど。

ただ、いくら大企業と言っても、それはごく一握り。日本人の大多数は中小企業以下に所属していて、いまだにアベノミクスとかいうものの恩恵は実感できないままという現実。

3月のうちにいろいろと購入しようという宣伝も増えてきましたが、だからといって無駄遣いになってもしょうがない。その時に、本当に必要と思えるものを安く買えるといいんですけどね。

2014年3月4日火曜日

アカデミー賞

スディーブ・マックイーンがやった!!

・・・って、もうだいぶ前に亡くなったじゃん、と思ったら黒人がでできて、これ誰やねん? というところ。

作品賞は「それでも夜は明ける」が受賞。その監督がマックイーンで、アカデミー賞史上はじめての黒人監督の作品なんだそうな。プロデューサーは人気俳優のブラッド・ピット。

今回のアカデミー賞では、なんかレオナルド・デカプリオがついにオスカーを獲れるかどうかみたいなところが一番の話題で、どうも作品そのものについては盛り上がりに欠ける感がありました。

そう思っているのは自分だけかもしれませんが、もっともほとんどの映画を見ていないので、どうのこうのと言える立場じゃありません。

映画文化を牽引してきたのはハリウッドであることは間違いが無く、その象徴がアカデミー賞であるわけですから、その結果を尊重しないわけにはいかないわけです。

オリンピックも、昔はアマチュア・スポーツの祭典という原則があったのですが、商業化の波の中で、どんどん本質が変化しました。

アカデミー賞も、いつからでしょぅか、何か本質が変わってしまったような感じがしています。一番素晴らしい映画を選ぼうというものから、一番利益をもたらしそうな映画をより宣伝するための賞になってはいないでしょうか。

たぶん、本来そういう目的があったことは当然なんでしょうけど、昔はそれが表にはあまり出ていなかっただけなのかもしれません。

ヒッチコックは大好きな監督ですが、初アメリカ映画となった「レベッカ」は1940年の作品賞です。でも、これってそういう映画? という疑問も感じないわけではない。

これは、前年の「風とともに去りぬ」の大ヒットで、ハリウッドで飛ぶ鳥を落とす勢いだったプロデューサのセルズニックの作品。そう思うと、まぁしょうがないかというところ。こういうことは、きっと他にもいろいろありそうです。

個人的には、唯一見ていた「ゼロ・グラヴィティ」を応援していましたが、まぁ、とりあえず今回の受賞にからんだ作品はDVDなどが出てくれば、順次見ていきたい思いますけどね。


2014年3月3日月曜日

上巳の節句

3月3日は上巳の節句(じょうしのせっく)というのだそうで、通称は桃の節句とか、ひな祭りという方が馴染み深い。

年間を通して、1月7日(人日の節句)、3月3日、5月5日(端午の節句)、7月7日(七夕の節句)、9月9日(重陽の節句)という具合に五節句がある。なんでも、もともと中国で始まったもの。

暦の奇数は陽、それが重なると陰になるため、その時々の植物から生命力をもらって挽回しようと考えたらしい。そこで、その季節の旬な料理を食べて邪気を祓うという行事が、日本の宮廷や江戸幕府で定着したということです。

上巳の節句は桃の咲く頃ということで、桃の節句とも呼ばれます。今では、女の子がすくすく成長することを願うということで、一般に定着している。

陰を人形に移してしまおうという、割とむしのいい考え方から、雛人形を飾るんだそうで、人形もいい迷惑です。とりあえず、四季では春を迎えて、華やかな感じの行事があることはいいことですけどね。

2014年3月2日日曜日

J.E.Gardiner / Beethoven Missa Solemnis

こういうブログで自分の好きなものを紹介するというのは、まぁ言ってみれば自己満足の世界であって、自分のためのメモみたいなものです。

本とか映画とか、あるいは音楽の場合、すべての人が同じような環境で育ってきたわけではないですから、当然人の好みは別れるもの。とりあえず、ネットの上だけでも、他人がどんな評価をしているのか探してみたりするのですが、いろんな意見が出てきて興味深い。

最近は、クラシック音楽については、指揮者ジョン・エリオット・ガーディナーを探求中なんですが、1943年生まれですから、1945年生まれのエリック・クラプトンなども同世代。もともと合唱畑の出身で、自ら学生時代の1964年にモンテベルディ合唱団を結成しました。

1968年にはモンテヴェルディ管弦楽団を組織し、1977年に古楽器を用いるEnglish Baloque Soloists (EBS) へ改組して一躍名前が知られるようになりました。バッハの4大宗教曲の録音などで、古楽ムーブメントの中心人物の一人として認識され、1989年録音のモンテヴェルディの「聖母マリアの夕べの祈り」でレコードアカデミー賞で大賞を受賞します。

そこでバロック中心だったレパートリーを古典にまで拡大し、モーツァルトの交響曲集やビルソンのフォルテピアノと組んだピアノ協奏曲全集は名盤として評価されるようになりました。

このあたりから、モダン楽器の音に慣れていた大多数の音楽ファンから古楽器に対する否定的な意見が出始めるようです。やたらは早い、音が貧弱、余情性が少ないというような意見が見られます。自分は古楽器を特に嫌っていたわけではないのですが、とりあえず昔から名盤と呼ばれているものから手を出すしかないので、古楽器のものになかなかたどり着けなかったというところでしょうか。

ガーディナーはさらに新しい時代の音楽を演奏するのに、あらたに Orchestre Révolutionnaire et Romantique (ORR) という楽団を組織します。もともとはベルリオーズの幻想交響曲を演奏したいということからスタートした楽団ですが、1991~1994年に録音したベートーヴェンの交響曲全集では、再びレコードアカデミー大賞を受賞します。

クラシック・レコード業界の巨人、ドイツ・グラモフォンはカラヤン、ベームの次のスターとしてガーディナーに目をつけ、やたらと売り出そうとしたらしい。ウィーン・フィルとの競演盤が続々出てくるようになりますが、ウィーンフィルからはだいぶ嫌われていたという話があります。

まぁ、そりゃそうでしょう。もともと畑が違いますから。その結果なのか、長年名盤を作り続けてきたグラマフォン系のArchivと2000年についに袂を分かち、バッハの約200曲ある教会カンタータを随時演奏・録音していくというArchivでの壮大なプロジェクトも途中で頓挫してしまいます。

そこでガーディナーは、自らSDGレーベルを立ち上げました。SDGでは、こつこつとカンタータを録音し、昨年ついに完結しCD56枚の全集が完成しました。さらに、過去に録音したいくつかの作品の再録音でより高い評価を得ていたり、またブラームスのユニークが交響曲全集が話題になったりしています。

さて、元々ド派手なオーケストラが苦手だった自分としては、古楽器オーケストラは「てきぱきして、一つ一つの楽器の音の粒立ちがよく、大袈裟すぎない」ところがいい感じなのです。これはまさに、古楽器に批判的な意見の裏返し。作曲家の時代の音、つまり実際に作曲家が頭で思い描いていた音かどうかは、あまり気にしていません。

ガーディナーのベートーヴェンは、名盤となった交響曲全集のほかに、モーツァルトのレクイエムの校訂で有名なレヴィンのフォルテピアノによるピアノ協奏曲全集、ムローバと組んだヴァイオリン協奏曲、そして2つの宗教曲、唯一の歌劇「フィデリオ」があります。ちなみに面白いのは「フィデリオ」は第一稿の「レオノーレ」を収録しているところが古楽器学者らしいところ。

今回挑戦するのは、レクイエムからの流れで宗教曲。ベートーヴェンは小さめの宗教曲はいくつかありますが、まとまった大曲となると2つしかありません。それが、20歳代で作った「ハ長調ミサ曲」と生涯最後に近い作品となった「荘厳ミサ曲」です。

最初の作品は、教会典礼にそくした典型的なミサ曲と言われ、一方「荘厳ミサ曲」は、教会の枠を超えて完全に宗教に題材を得た交響曲という評価がされ、ベートーヴェンの思想的世界を具現化する最高傑作といわれています。

どちらも大変インパクトのある作品で、もともと歌曲系の苦手の自分も、レクイエムを通ってきた後では、なかなかいい曲だと思えます。キリスト教の儀式の式次第はわかりませんので、最初のミサ曲も音楽としての完成度はなかなか高いと思いました。

当初EBSとの録音と表記されていたのですが、実はORRの最初のレコーディング。ArchivがORRでは売れないという判断をして、表記を認知されていたEBSにしたそうです。自分のCDはORRに直してあるものでした。

ただ、やはりより心に響く感じが強いのは「荘厳ミサ曲」です。これは、ネットでは、グロリア~クレドの展開あたりが素晴らしいと評判。特にクレドは、他の演奏に比べて、大変早い展開なのに合唱がまったく崩れていないところがすごいらしい。ただし、最後がやや息切れしてか、物足りない終わり方という話が良く出てきます。

自分は他の人の演奏を聴いていないので、そのあたりはよくわかりませんが、実は最近再録音盤が出ていて、これがめっぽう評判が高い。宗教曲のような苦手なジャンルをあまり深追いするのは勇気がいるところではありますが、最初の録音よりも圧倒的に良く、過去の名盤をついに越える作品とか言う人もいるくらいなので、ちょっと聴いてみたいかんじがしています。

何にしても、こういう不得意なジャンルほど、ネットの評価とかはいろいろと検索してしまうもので、それに乗せられるとがっかりすることもあることは覚悟の上で、今日も検索欄に入力しています。

2014年3月1日土曜日

草木萌動

3月です。春です。・・・今年も、あと308日。

さて七十二候では、今日から草木萌動、そうもくめばえいずると読み、いかにも春めいた暦となります。

昨日はだいぶ気温が上がって、雪もだいたい消えてしまいました。真っ白の世界が、だんだん色彩が戻ってきて、気がつくと梅が開花していました。

あ~、春だなぁ~、とポケ~としたいところ・・・ですが、いやいやそんなにのんびりはしていられません。

年度末となって、いろいろとバタバタすることが、これから多くなりますからね。