2014年10月27日月曜日

足底装具

人間は、残念ながら年を取る・・・つまり老化していくわけで、肉体も物理的に劣化していくことは避けられないのです。

と、まぁ、いきなり悲観的な見方をするのもなんですが、こればかりはどうしようもない。とりあえず、足の話なんですが、いくつかの骨が組み合わさって形ができている。足が老化すると・・・たいていの人が扁平足になっていくわけです。

元々は、縦のアーチ、横のアーチと呼ばれている立体的な構造をしています。ところが、骨と骨の連結部分の靭帯が緩んだり、底で強く緊張して骨を引っ張っている足底腱膜が伸びてしまうことで、3次元的な構造が2次元に近づいてくる。

縦が潰れて来ると「扁平足」と呼んで、土踏まずの隙間が無くなって来ます。横が潰れると、「開張足」と呼び、横に広がっただんびろの幅広の足になります。

両者を合わせまとめて扁平足と呼んでいるわけですが、どちらの場合も一度なってくると元に戻す事は容易ではありません。

タオルギャザーという運動法がありまして、床に広げたタオルを指の力でたぐりよせる運動は、足の中の小さい筋肉を強くして、全体を立体的に引っ張る力になるのでお勧め・・・ですが、実際には地味な運動ですから、なかなか効果があがらない。

そこで、誰しも考えるのが中敷の調整をして縦横のアーチを修正する事。よく靴屋さんが、それなりに考えてくれるのですが、当然の事ですが靴屋さんは医療行為を行う事はできませんから、あくまでも予防のためという範囲。

足の裏の痛みが強くなってきたり、外反拇趾がひどくなると、それはもはや靴屋さんでは無理。そこで足底板という治療用の中敷をオーダーメイドしようということになります。

足底板を作るのは装具士という資格を持った人で、医師の依頼と指導のものとで行う医療行為です。今までにも、たくさんの装具士さんを見てきましたが、さすがに技術職ですからセンスが必要。

センスのない装具士さんにかかると、もう痛みは変わらないどころか、むしろ痛みが増して使い物にならないことも珍しくありません。装具士が専門職でも、やはり医者の方でも関わっていかないといいものが作れない事もあります。

うちのクリニックに来てもらっている装具士さんとは、もう20年くらいの付き合いです。お互いに、どんな物を要求しているのか「つーかー」なので、任せるところは任せて、問題なときははっきりと言い合いできる。こういうところも、自分の目に見えない財産の一つなのかもしれません。