2014年11月15日土曜日

バッハの4大宗教曲

いまさらみたいなところですが、通常J.S.バッハの4大宗教曲と呼ぶことが多く、そこに含まれるのは「マタイ受難曲」、「ヨハネ受難曲」、「ミサ曲ロ短調」、「クリスマス・オラトリオ」です。

さらに8大宗教曲と呼ぶ場合には、「マニフィカト」、「モテット」、「昇天祭オラトリオ」、「復活祭オラトリオ」が加わります。
あとは教会カンタータと世俗カンタータ、コラール集、数曲ある小ミサ曲で、ほぼすべてを網羅することになります。このあたりは、4大宗教曲に比べてかなり録音は少ない。

バッハの最高傑作としては、だいたいマタイかミサ曲のどちらかが支持されるのですが、このあたりは好みの問題。自分としては、けっこうヨハネが好きだったりします。


マタイとロ短調ミサについては、さすがに世界に知られる指揮者は一度は棒を振ってみたいと思うようで、バロックとは無縁と思えるような人の録音があったりします。

例えば、ヘルベルト・フォン・カラヤン。クラシックに興味が無い人でも、まず知らないことがないくらい有名ですが、カラヤンもマタイとロ短調ミサは録音がある。

今でもマタイの歴史的名盤としてクレンペラーやフルトヴェングラーの演奏が引き合いに出されますが、カラヤンは・・・無かった事にしようという雰囲気が強い。

モダン楽器によるバッハとしてはリヒターが断然トップに君臨していて、かなり重量級の荘厳な響きを聴かせるのですが、カラヤンも当然ベルリンフィルの分厚い管弦楽を駆使しています。

ただし、「どうだ、ここで感動しておけ」みたいな、上から目線的な・・・もっとも、それがカラヤンなんですが、バッハの世界とは相当かけ離れた演奏だということのようです。

4大宗教曲をすべて録音している指揮者や団体を探してみると・・・

まずモダン楽器を使ったものとしては、リヒター、コルボ、ヴェルナー、ミュンヒンガー、リリングくらいでしょうか。いずれも60~70年代が中心で、バッハの宗教曲を再認識するきっかけを作る意義も深い。ただし、カンタータを全曲録音しているのはリリングだけ。

古楽器による演奏は、80年代以降どんどん増えました。アーノンクール、ガーディナー、コープマン、ヘレヴェッヘ、マックス、クイケン、フェルトホーフェン、鈴木雅明などなど。カンタータも全て揃えられるのは、ガーディナー、コープマン、鈴木の3人です。

古楽器のものには、もう一つの流れがあってOVPP、つまり各パート一人というリフキン式のもの。元祖リフキンはロ短調ミサのみ、パロットはミサとヨハネ、マクリーシュはマタイのみ、バットのミサ、マタイとヨハネ。4曲とも完成させたのはクイケンの新録音だけでしょうか(クリオラは今月発売予定)。

一般のクラシック愛好家なら、マタイとロ短調ミサだけで十分で、フルトヴェングラーとリヒター、ガーディナーと鈴木くらいから選べば間違いなさそうです。

ちよっとバッハが好きという方には、BOXセットが入手しやすいリヒター、ガーディナー、ヘレヴェッヘあたりがお勧めかもしれません。かなり突っ込んで聞きたい人は・・・どこまででも、好きなだけどうぞ。