2014年12月3日水曜日

リウマチはレントゲン不要

関節リウマチというと、かつては手足の変形を起こして、日常的なさまざまな障害を引き起こす代表的な病気でした。

・・・でした、と過去形なのは、2003年の生物学的製剤と呼ばれる革新的な薬の登場以来、骨破壊抑制効果が各種のテストで実証され、実際に使用している現場でも実感できるようになったからです。

その結果、骨変化を確認できる代表的な検査であるレントゲン写真の必要性は、ずいぶんと減ったと思います。

早期発見・早期治療が、ずいぶんと滲透してきたせいか、症状が出現してから来院するまでの期間が短縮されました。早ければ早いほど、骨変化はありませんから、当然レントゲン検査では異常がないことが多い。

治療を開始しても、外見での変形が進まないので、あまりレントゲンを確認する必要性が感じられない事が多い。

かわって重要性が増したのが、超音波検査とMRI検査です。何故かと言うと、軟部組織の評価ができるからです。リウマチで早期から認められる変化は、軟部組織である関節内の滑膜の炎症です。

MRIは、大きな装置が必要で、各診療施設が単独で持つのは難しい。その点、超音波検査の機器は手軽で、自分も利用しています。患者さんへの侵襲も無いので、大変有益な道具だと言えます。

じゃあ、レントゲン検査はもういらないのかというと、そうではありません。以前より、薬による肺の問題などが多くなっているので、胸部レントゲン検査は重要性が増しました。

関節のレントゲンは、薬の効果がなかなか出ない患者さんが一定の割合で存在する以上、どうしても必要なときがあります。ですから、手術などの外科的な治療が完全に必要なくなることは、現状ではありません。

治療方法の変化は、診断学にも大きな影響を及ぼしたわけ、今後も日進月歩の医学の世界ですから、今やっていることも古臭いといわれることも、そう遠からずやってくるかもしれません。