2015年3月15日日曜日

復活節前第3主日


今日もカンタータは無し。

教会では、音楽は自粛して、イエスの受難に向けての静かな暝想を行うべき時期ですから、いたしかたがない。

この1年間のあいだ、主としてジョン・エリオット・ガーディナー指揮、イングリッシュ・バロック・ソロイスト、モンテヴェルディ合唱団による、カンタータ全集を毎週聴いてきました。

もともとは、アルヒーフから発売された、1999年のクリスマスに始まり、2000年のクリスマスまで毎週続いた「カンタータ巡礼」というタイトルの、全曲演奏会の記録です。

アルヒーフは何故か、4枚を発売した時点で企画は頓挫。ガーディナーは残りの録音を、自主レーベルSDGを立ち上げて、継続して発売しました。

寄付などによって、2013年までに28セットによって、ついに全集が完結し、2014年はじめにアルヒーフでの発売分も含めたボックスが発売されたわけです。

内容については、今さら言う必要は無いと思いますが、このブログでも該当するCDのジャケット写真を載せてきましたが、これが大変に印象的で、一見するとバロック音楽、ましてや教会音楽とはまったく関係性を見出せないもの。

すべてが、人々の顔のアップ。しかも、ほとんどは欧米とは関係ない、アラブ、アジアの人々ばかりの顔でしめられています。この写真を撮影したのは、スティーブ・マカリーという写真家です。

マカリーはアメリカ人で、現在65歳、報道写真家として世界中に認められた人です。有名な写真家集団Magnum Photoに参加していて、アフガニスタン戦争の写真でロバート・キャパ賞を受賞しています。

特に「アフガンの少女」として知られる写真は、ナショナル・ジオクラフィック誌の表紙を飾り、 近代で最も有名な報道写真の一枚といわれています。

主として、戦争などの悲惨さに無理やり巻き込まれていく、こどもや年寄りなどの非力な人々の写真を通して非常に鮮烈なメッセージを引き出しています。ガーディナーの希望で、これらの写真が訴えかけるものと、音楽の普遍性を表すものとして使用されています。