2015年6月10日水曜日

新・リウマチ気質

このブログでは、日々変化していく関節リウマチ診療に関わるトピックスも書いていますが、検索キーワードでリウマチ関連では、「リウマチ気質」が圧倒的に多くて、だんとつの一番です。

確かに「リウマチ気質」というタイトルがあるわけで、実際驚いたことにgoogleで検索すると、このブログがかなり上に出てくる。

あらためて中身を読んでみても、たいしたことは書いていない。きっと、たどりついた方は、読んでがっかりしたんじゃないでしょうか。

要約すると、不定愁訴が多く、細かいことにこだわるような性格をリウマチ気質と呼んでいることが多いのですが、実際のリウマチの患者さんは必ずしもそうではないし、もしもそうならば患者さんの不安を取りきれない医者にも責任があるということ。

今でも、感じていることには変わりはありません。リウマチという言葉がついていることで「風評被害」みたいなものを受けている患者さんも少なくないので、こういうキーワードがヒットするのでしょうか。

気質というのは、先天的な性格・感情と後天的な考え方などが、複雑に混ざった結果出てくるのだと思います。感情は脳内の神経伝達物質が関与していることがわかっており、その反応には遺伝子によって決まってきます。

つまり、関節リウマチを発症してから、急に性格が変わってしまうわけではないということ。もちろん、リウマチを発症して嬉しいはずはないので、いろいろと不安・心配が増えるのは当たり前。その分、気分がめいるのは自然のことです。

リウマチ気質をキーワードに検索する方は、患者さんだけではなく、おそらく医師やその他ほかの診療に携わる医療関係者なのかと思います。

医療関係者は、患者さんを色眼鏡でみるようなことは避けることが大切なのは当たり前。リウマチという一つの病気にこだわらず、もっと病気になった人全体の気持ちを考えることが理想です。

リウマチに限らず、なかなか治らない長期にわたる病気を発症すると、人はまず「そんなはずはない」と否定の気持ちが湧きます。続いて、「なんで自分が」と悲嘆の時期が大なり小なり来るもの。

その後に、「がんばるぞ」と立ち向かう気持ちがでてきて、それを維持していくことになります。ただし、症状の悪化があると、再び最初程ではありませんが、否定したり悲嘆にくれることがぶりかえします。

関節リウマチでは、最新の治療によって寛解と呼ばれる、ほぼ治癒に近い状態になる方が多くなりましたが、ここで注意が必要なのは、簡単に「安心」しないこと。現実には、治療を中断すると再発することが多い。

リウマチ気質は、リウマチ患者さんに特徴的なものではありませんが、医療関係者側は病気・病状によって変わる患者さんの気持ちを理解して、患者さんの治療を向かう気持ちを維持していくことが大切なんでしょうね。