2016年10月30日日曜日

SIGMAレンズ

Nikon D750 1/50 F4 50mm ISO1400

SIGMAレンズは、おそらく現在のレンズ・メーカーとしては、世界トップクラスという評価をしても問題ない純日本光学メーカーです。

一眼レフカメラでは、本体とともに重要なのがレンズ。レンズを交換することで、さまざまな写真が撮れることが最大の魅力です。

世界の一眼レフカメラのシェアの多くが、日本のメーカーであるCanonとNikonで占められており、この分野では、日本は超先進国であり、それぞれのメーカーは多くの純正のレンズを用意しています。

コンパクト・カメラが登場、さらにデジタル時代が到来し、そして誰もがカメラ付きの携帯電話を所持するようになって、一眼レフカメラは「高価なもの」となりました。

装着するレンズは、ボディよりもさらに高額であることは普通にあることですから、プロフェッショナルのカメラマンはともかく、素人が何本ものレンズを持ち歩くというのは簡単なことではありません。

そこにサードパーティと呼ばれる会社が入り込む余地があり、純正品よりもより安いものを提供するわけですが、そこそこ名前が知られている日本のレンズ・ブランドとしては、TAMRON、TOKINA、そしてSIGMAが挙げられます。

ただし、サードパーティ製となると「安かろう悪かろう」というイメージがつきまとい、実際画質的な部分が犠牲になってコストダウンしていることは否定できません。

TAMRONやTOKINAと比べると、SIGMAは当初から「安い」だけではなく、純正にはラインナップされていないようなレンズを開発してきたメーカーだと思います。

ですから、純正では撮れないような面白い写真目当てに、コアなファンが生まれる土壌を作ってきたわけで、おそらくSIGMA自身にもそれなりのプライドを持たせてきたのではないでしょうか。

しかし、この何年かでSIGMAは、単なるサードパーティという立場を自ら大きく変えてきました。

それはまず、自社ブランドの一眼レフカメラの発売が端的に表しています。明らかに、巨大な先進国である2社に対する宣戦布告のようなもので、ただ先進国にぶら下がっているだけではなく、自らがオリジナルのメーカーとして競争に混ざっていく決意の意思表明ととれます。

そして、レンズのシリーズを再編成し、一般人が使いやすいズームを中心として比較的コストパフォーマンスの良いContemporary、プロも注目する「重さ・大きさ」を犠牲にしても高画質を目指す単焦点や広角などのArt、さらに機動性を重視しハードユースにも耐えられる堅牢さを目指す望遠中心のSportという3つのラインにすべてのレンズを統合しようとしています。

特にArtラインは、すでに純正よりも優れているという評価は多く聞かれ、世界のプロフェッショナルからは注目される度合いは年々高まっています。

今までの製品を順次新しいラインとしてリニューアルを行っていますが、その大多数がより大口径になり高画質化をはかっているわけで、当然重さも1kgは当たり前という感じです。

見た目のデザインも黒を基調として、派手な金色のリングなどを排してよりシックな高級感をだすようになり、価格もサードパーティのそれではなくなっています。

これらの野心的な企業戦略は歓迎されるべきものではありますが、ユーザー側からすると意見が分かれるところ。

つまり、アマチュアレベルからすると、そこまでの高画質にはこだわっていないので、取り回しのよい軽いレンズで価格も手頃な物が欲しいという考え方が当然あります。ハイアマチュア~プロフェッショナルからすれば、純正にはないラインナップでより高性能なレンズは大変魅力的です。

すでにある程度獲得しているSIGMAファンのユーザー(例えば自分)がいますので、そういう顧客を切り捨てていくことは無いとは思いますし、そもそもCanon、Nikonのマウントの生産を打ち切ることはできないでしょうから、サードパーティという立場は維持していくとは間違いない。

今のところ、ArtラインやSportsラインの充実に力を注いでいる感じで、高級化ばかりが目立つ感はありますが、Contemporaryラインは数がほとんどなく、コストパフォーマンスを期待するラインナップは大きく出遅れているといわざるを得ません。

そういういろいろな意味で、今後もSIGMAには大きな期待を寄せているということです。