2017年5月16日火曜日

Hyperion Schubert Complete Songs


もう、シューベルトのリートにはまった場合は、現段階では行きつくところはここしかないと思えるのがHyperionが発売した"Complete Songs"と題されたシリーズ。

1987年から2005年まで、20年弱をかけて完成した、おそらく現在考えられうるすべてのシューベルトの歌物を集めきったもので、"Complete"の名にふさわしい内容です。

分売されてきたものは毎回登場する歌手が異なり、一定のテーマに従って収録されています。登場する歌手の数は60名ほどで、あっと驚く有名人も多数参加しています。

ベイカー、アーメリング、オジェー、ファスベンダー、ハンプソン、M.プライス、アレン、ポップ、シュライアー、ロット、マティス、プレガルディエン、シェーファー、ボストリッジ、ゲルネ、リポヴシェク・・・

この数十年の間、この世界で活躍する歌手はほぼ全員含まれていると言っても過言ではない感じ。フィッシャーディスカウも、ボストリッジの歌う「美しき水車小屋の娘」の詩の朗読で参加するというオマケまでついています。

現在は巨大ボックス・セットとしてまとめられており、こちらはD番号順に整理されて収録し、付属する分厚い解説書と合わせて、「シューベルト歌曲大辞典」と呼べる構成になっている。

もう一つ驚くことは、これらのピアノ伴奏を一貫して行ったのがグレアム・ジョンソンで、全体の統一感を作る大きな要因になっています。

ただ、弱点はあります。どうしても、大勢の歌手の中には力量のの差が明らかにわかる者も含まれてしまうところ。まぁ、これだけの大作・労作ですから、多少のところはしょうがない。

フィッシャーディスカウとムーアが一貫して作り上げたDGの「全集」があれば、基本的には十分だとは思いますが、よりマニアックなコレクションが欲しい方、バラエティに富んだいろいろな声で聴きたい方、とにかく一つ購入して終わりにしたい方・・・等々にお勧めしたいセットです。