2018年4月22日日曜日

J.Vermeulen & V.Peeters / Schubert Works for 4 Hands Vol.5 (2018)


クラシック音楽の中で、大作曲家と呼ばれる人のもの、つまり後世にしっかり受け継がれているものは、当たり前ですが素晴らしい。

中には、あまり聞いたことがない作曲家をマニアックに漁っていくというのもありますが、大作曲家の物でも楽しみ方はいろいろあるものです。

特にシューベルトは最初はとっつきにくいところもありますが、一度はまるともう抜け出ることができない魅力があって、いろいろと聞きたくなる。

シューベルトのピアノ・ソナタは、かなり頑張って集めましたので、はっきり云って、ちょっと詳しい方なら垂涎のコレクションになっているかもしれません。

ソロだけでなく、シューベルトのピアノ曲では、四手の物もけっこうたくさんあって、バカにできない。ただ、発売されているものは多いとは言えません。

いや、たくさんあるんですけど、ほとんどが一部の有名曲だけの演奏集なんです。もちろん、普通はそれで足りるわけですが、たいていまったく名前を聞いたことがない二人のピアニストの演奏か、逆に超有名人の組み合わせです。

まったく知らないピアニストというのは、ちょっと購入するには勇気がいる。有名人の場合は、オールスターズみたいな商売的な意図があって、企画としてやってみましたみたいなものが多くて、内容的にはあまりぱっとしない。

Tal & Groethuysen のCD7枚の全集は、シューベルトの四手では最初に気に入ったセット。モーツァルトで知られるようになった彼らにとっても、ユニットとしての地位を完成させた作品です。

もちろん、常設ユニットならではの緊密感は最高級で、今でも評価は落ちることはありません。ただし、モダン・ピアノの演奏ならという条件付きです。

現在の形のピアノが作られるようになったのは、1820年代以後のことで、完成したのは1870年代です。当然、1797年生まれで1828年に早世したシューベルトは、現在ではフォルテピアノ、あるいはハンマークラーヴィアと呼ばれる鍵盤楽器を使用していました。

作曲家の生きていた時代の楽器を使用して、当時の演奏法にこだわることは、以前は自分はあまり気にしていませんでしたが、いろいろ聞いているとモダン楽器を否定はしませんが、古楽器も無視してはいけないと思うようになりました。

シューベルトのピアノ曲をフォルテピアノで演奏するピアニストは何人かいますが、四手となるとぐっと数が少なくなります。

ジャン・バーミューレン(Jan Vermeulen)は、今や古楽関係では有名人の一人で、フォルテピアノによるシューベルト・ソナタ全集も完成させています。そして現在進行形なのが、四手作品集です。

相棒に選ばれたのは、教え子でバーミューレンとは15年以上の親交があるペータースという女性。2014年から年に1枚のペースでCD全7枚の計画で、最近5枚目が発売されました。

モダンピアノと比べると、どうしても響きがすくなく音量も少ないフォルテピアノですが、そのひなびた味わいが癖になります。Tal & Groethuysenに劣らず、さすがにお互いを知り尽くしているペアによる演奏ですから、とても気持ちよく聞くことができます。

Amazonで探し出すのにかなり苦労しますが、残り2枚も楽しみです。