2018年6月11日月曜日

レンズ沼2018 (10) レンズ選択のまとめ


一眼レフカメラ用の交換レンズは、純正、サードパーティーを問わず、各社とも似た様なラインナップが用意されています。

基本的には王道の各種焦点距離の単焦点レンズと、一定の焦点距離の幅をカバーできるズームレンズに分かれます。実用面を考えるとズームレンズはとても便利ですから、プロでもアマチュアでも広角側、標準域、望遠側の三本のズームレンズは持っている。

そして、明るいレンズは正義という鉄則から、ズーム全域でf2.8を保証する組み合わせを、麻雀の役満になぞらえて「大三元レンズ」と呼んでいます。

当然、そのパフォーマンスは圧倒的に高く、ちゃんと使い方を理解している人が使えば最高ランクの写真が撮れることは間違いありません。

ニコンの場合だと、
AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED
AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR
AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8 ED VR
という組み合わせですが、何しろ明るい大口径ズームですから、3本で3.5kgくらいの重量になり、カメラ本体と合わせれば5kgをふだん持ち歩くのはかなりしんどい話。

しかも値段が凄い。新品価格だと3本で100万円。中古でも60~70万円は覚悟しないといけません。それだけお金をかける腕が自分にはあるのかと疑問に思うのは当然ですが、ある程度知ってくると、より良いものが欲しくなるのがレンズ沼です。

小三元レンズと呼ばれる組み合わせもあって、
AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR
AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VR
AF-S NIKKOR 70-200mm f/4G ED VR
という組み合わせ。こちらはf4通しで、明るさはちょっと落ちる。そのかわり重量は2.5kg、値段も70万円でお財布にも少しは優しくなります。

ただ、少しわかってくると焦点距離全域にわたって写真を撮ることはなく、自分の好みの焦点距離というのはだいたい決まってくるものです。コレクションとして揃えることの達成感はありますが、それを使いこなすのかというと別問題です。

今のところ、これらのレンズは1本も所有していませんが、自分のレンズ沼のはまり具合を点検してみると、今のところはいずれも必要性はほとんど無いと言えそうです。

つまり、日常的にはいわゆる「物撮り」で、動きのないものが被写体。これは50mm前後の単焦点、あるいは105mmマクロが一番使いやすい。

そしてお散歩撮影では、圧倒的に高倍率ズームの出番。自分的には望遠200mmでは物足りません。ここは300mmは最低欲しいところです。

そして、旅行などで普段見ない広大な景色を見た時は広角ズーム、あるいは超望遠ズームを使いたくなる。

つまり、大三元、小三元のいずれも広角ズーム以外はあまり興味が湧いてこない。単焦点と高倍率ズームで十分に間に合ってしまいます。

大三元広角ズームであるAF-S 14-24mm f/2.8は、「神レンズ」と呼ばれ、キャノン・ユーザーからも垂涎の的になっていて、確かに興味はありますが、大枚はたいて清水の舞台から飛び降りる気持ちにならない。


というのは、SIGMAなら広角端12mmからあるんですよね。f4ですが、風景撮影(星空ではない)にはそれほどの明るさは求めませんし、そもそもこの広角の2mmの差が大きい。

風景の撮影ではNDフィルターとか、PLフィルターを使いたい場合が多々ありますが、前玉レンズが突出している関係で直接のフィルターの装着ができないというのも困りものです。

ですからどうせ広角端はがまんするなら、小三元のAF-S 16-35mm f/4がフィルター装着可能で、しかも手振れ補正もあって手持ち撮影メインの場合は使いやすいと思います。さらに、AF-S NIKKOR 18-35mm f/3.5-4.5G EDという広角ズームがあって、この三本の広角ズームでたくさんの人が購入するまで同じように悩むんですよね。

AF-S 18-35mm f/3.5-4.5は、広角端がさらに減ってしまいますが、こっちもフィルター装着可能で、値段も安く、しかも写りの評価が高い。何よりも一番の魅力は軽いことです。970gの大三元、680gの小三元に対して、385gという軽さは旅先では別の意味で正義です。

ただし、広角も18mmまで来ると、だいぶ面白みはなくなってきますよね。広角は、見た目の感じは、焦点距離が少なくなるほど急に変化が強くなります。18mmだと高倍率ズームの広角端24mmとの違いはだいぶ少なくなりますね。

結局、一番大事なのは、自分がどういう被写体を撮影したいのかということ。間違っていたら御免ですが、小さいお子さんをお持ちの方なら、運動会やレジャーでは機動性がある高倍率ズームが一番活躍するでしょうし、家では明るく撮れる標準単焦点も必要。

鉄道ファンなら、一番は超望遠でしょう。バード・ウォッチングなら、超望遠だけでなく、強力な手振れ補正、カメラ本体の連写性能なども大事な要素です。モデルさんの撮影会に積極的に出かける方は、標準から中望遠くらいの明るい単焦点。

登山などで美しい風景写真を撮りたい方は、荷物を絞りに絞って、まさに大三元、小三元のようなズーム・レンズ・セットですべてをこなすというのが理想だと思います。

ただし、何となくカメラを手にしてしまった一番最初は・・・まだ撮りたいものがはっきりしていないわけで、しばしば最初からレンズがセットになっているカメラボディを購入してしまう方も多いはず。

これを入門用として推薦する人もいれば、どうせ使わなくなって無駄になるからレンズセットはやめた方がいいと言う人もいます。少なくとも、よほどへんちくりんなレンズは付いていませんし、確かにレンズを単独で買うよりはかなりお得です。

最近はスマホでも、一頃のコンデジクラスの写真は撮れてしまうので、一眼レフカメラらしさを楽しむには少なくとも明るい単焦点は一つはあった方がいいと思います。そして、もう一本として、いろいろと使える高倍率ズーム。

結局、自分もいまだにそのパターンで、後は状況によって多少特徴的なレンズで遊んでいるという状況です(だから、いつまでも初心者なのかも)。レンズの性能はいろいろと言われていますが、プロでないなら、そして大きく印刷したいとか思わないなら、ぶっちゃけどれを使ってもそこそこ撮れるから商品として売られているわけです。

コレクターとして高級志向に走れば、もうお金はいくらあっても足りない世界です。安さ重視という方向性もありです。少しずつ自分の撮りたいものをはっきりさせながら、長く楽しむようにしたいと思います。