2019年9月19日木曜日

Miles Davis / Rubberband (1986?)

なんと、マイルス・デイビスの幻のアルバムが発売されました。

マイルスが亡くなったのは1991年。2000年以降、ライブ音源は中心にどんどん発掘され、ついにはオフィシャルな「海賊盤」まで登場する始末。それにでも、だいたい出尽くした感があり、最近は注目度も下がってきていました。

ところが、マイルス信者の自分でも、これには驚愕。「ラバーバンド」は、1986年にマイルスが長年所属していたColumbiaからWarnerへ移籍した年。「TUTU」は新たなマイルスのスタートとして大ヒットしました。

実は、その直前に別のアルバム制作が始まっていましたが、ボツになってお蔵入りしていたという話はけっこうよく知られた話。

2001年に、幻の「ラバーバンド」音源を含むWarner集大成の4枚組CDが発売されることになり、ファンを狂喜させたのですが、発売直前で中止。でも、デモ用CDが流出し海賊盤として出回りました。

その後、縮小した形で正規盤も発売されていて、いずれにしてもだいたいその内容はすでに知られていました。ところが、今回の発売された新譜では、それらにも含まれない曲があったりして、アルバムの全貌がついに明らかになる!! とくれば、当然買わないという選択はありえない。

・・・なんですが。

予想されていた結果ともいえますが・・・

う~ん。どうしましょうか。このアルバムの扱いには困惑を隠せない。

はっきり言って、マイルスの遺した音源を甥っ子のウィルバーンが遊び倒したとでもいうか、マイルスの遺産管理人を気取って、好き勝手な編集を加えた中途半端なCDという感じです。

確かに30年以上前のマイルスの音楽は、今となっては「古臭い」かもしれませんが、ファンが求めているのはマイルスが現代に生き返ることではない。あの時マイルスがやっていた音楽そのものを、そのままの形で聴きたいというのが望みです。

とにかくこれをマイルスの作品とよぶにはあまり抵抗がある。マイルスの音を利用した、トリヴュートというにも程遠い。なんでそのままの音源で発売しないのか。いじるなら、せいぜいリマスターだけにしとけ、と言いたいところです。