2020年2月1日土曜日

Giuseppe Sinopoli PO / Mahler Complete Symphonies (1985-1996)

イタリア人のジュゼッペ・シノーポリ(1946-2001)は、何が有名って、1911年のフェーリクス・モットル、1968年のヨーゼフ・カイルベルトに続く史上3人目・・・

2001年4月20日、「アイーダ」を指揮している最中に心筋梗塞を起こし倒れ、指揮台の上で演奏中に亡くなるという衝撃的な結末を迎えています。

DGの廉価版ボックスが長らく出回っていたので、かなり以前からその存在を知っていたのですが、濃い顎鬚、おしゃれな帽子とメガネ、左上を見ているポーズなど、クラシックにしてはかっこつけた指揮者だなぁと思っていました。

実際、主要しているCDはR.シュトラウスの「ナクソス島のアリアドネ」だけでした。これは、A.S.フォン・オッターが登場するからという理由。実は、シノーポリの最後のレコーディングだというのを知ったのは最近の事。

シノーポリは、元々は心理学・脳科学を勉強していた人で、指揮者デヴューは1975年でちょっと遅め。1992年からシュターツカペレ・ドレスデンの常任指揮者を亡くなるまで勤めました。音楽解釈にも、精神医学的な背景を取り入れるインテリとして特異な評価を受けていたらしい。

フィルハーモニア管弦楽団とマーラー交響曲全集を完成させており、一定のファンがいますが、交響曲だけの全集より、歌曲含みのボックスが現在も入手しやすい。それ以外のマーラー物はシュターツカペレ・ドレスデンとのライブが数曲残されています。

1985年 交響曲第5番
1985年 交響曲第2番、さすらう若人の歌 (ブリギッタ・ファスベンダー、ロザリンド・プロウライト)
1986年 交響曲第6番
1987年 交響曲第10番 (アダージォのみ)
1989年 交響曲第1番
1990年 交響曲第8番、嘆きの歌
1991年 交響曲第4番 (エディタ・グルベローヴァ)
1992年 交響曲第7番、亡き子をしのぶ歌 (ブリン・ターフェル)
1993年 交響曲第9番
1994年 交響曲第3番 (ハンナ・シュバルツ)
1996年 大地の歌

ちなみに「嘆きの歌」は3部構成の東京でのライブで、オーケストラはシュターツカペレ・ドレスデンです。

全体を通して、もちろん悪いわけではなく、何となく明解な演奏と言う印象なんですが、テンポの揺れが多いように感じました。ときどき、自分の期待よりも、次の音の出が遅くなったり速かったりする感じ。

全体でみればややゆっくり目なのかもしれませんが、このあたりは好き嫌いがはっきり分かれるところかもしれません。クレンペラーに鍛えられたオーケストラは、当然それなりの実力です。