2020年12月8日火曜日

インディ・ジョーンズ/最後の聖戦 (1989)

1984年の「魔宮の伝説」以来5年ぶりのスティーブン・スピルバー娯楽作品は、再び「インディ・ジョーズ」シリーズの第3弾になりました。

元々「007」シリーズのような映画を作りたくて始まったわけですが、今回は、何と初代ジェームス・ボンド役のショーン・コネリーが登場。インディの父親ヘンリー・ジョーンズになって、ハリソン・フォードの「ジュニア」と共に冒険をする展開です。

父親のヘンリーも考古学者で、インディが子供の頃から「キリストの聖杯」をライフ・ワークにして家庭を顧みなかったため、息子のインディとも疎遠になっている関係。

聖櫃の冒険から2年後の設定。インディの関係する博物館のスポンサーであるドノバンは、先発隊の隊長が行方不明になったためインディに聖杯を探すように依頼してくる。行方不明になったのはヘンリーだと告げられ、インディは断れなくなります。

今回は、冒険に旅立つ立派な根拠があり、父親の救出と共に父子の関係修復という重要なテーマが示されました。これに伴って、インディのいろいろな逸話も披露されることになり、シリーズのファンとしては捨ててはおけない内容です。

ドノバンを演じているのはジュリアン・グローヴァーで、「007/ユア・アイズ・オンリー」で味方のふりをして実は黒幕だった人物。インディがヘンリー捜索に協力するヒロインは、エルザ・シュナイダー博士で、演じるのは「007/美しき獲物たち」でやはり敵側のボンドガールを演じたアリソン・ドゥーディです。

全体的には一つの場面が比較的簡単にまとめられていて、スピーディな展開と言えなくもないのですが、どちらかというと展開の仕方は雑という印象です。聖杯を欲しがっているのが聖櫃の時のようにナチスなんですが、必ずしも他の組織でいいくらいの扱いです。

でも、前作で不評だった誇張されたギャグや悪趣味なシーンは影を潜め、また極端な特殊効果もあまり使われていません。とは言え、全体的に肉体的アクションと、親子ならではのクスっと笑わせるポイントが散りばめられて、ほどよく楽しめる出来になりました。

冒頭は、インディの若き日の逸話からスタート。盗掘屋と闘って、ムチを使うことになった話。大量のヘビがいる箱に落ちて、以来ヘビが苦手になった話。盗掘屋からガッツを認められて、トレードマークになる帽子をもらう話などが紹介されます。

実はコネリーとフォードは年齢差は12才しかなく、この映画の時点でコネリーは59才、フォードは47才でした。どちらもアクション・スターとしては、ちょっと無理がある年齢。ヘンリーは比較的呑気な学者肌の人物として描かれ、コネリーは大好きな役柄だったと後に述懐しています。

そして、最後にインディの本名は「ヘンリー・ジョーンズJr」であることが明かされ、インディは飼っていた犬の名前だったというのも痛快でした。

文芸大作を2つ続けたスピルバーグとしては、箸休めみたいなところがある作品ですが、さすがに手慣れたシリーズで、本人も楽しんで監督をしたんだろうと思います。