2021年3月1日月曜日

蜘蛛の巣を払う女 (2018)

ハリウッドが手掛けるリスベット・サランデルの第2弾。監督はフェア・アルバデス。そして、今回のリスベットを演じるのはクレア・フォイ、ミカエル・ブルムクヴィストはスヴェリル・グドナソンです。前作監督のデヴィッド・フィンチャーは、製作総指揮ということで直接はタッチしていません。

原作はオリジナルを書いたスティーグ・ラーソンのプロットを引き継いだデヴィッド・ラーゲルクランツによる「ミレニアム」の新・三部作から取られました。ハリウッドはオリジナルの第2部・第3部をすっ飛ばして、いきなり第4部を映画化したということ。

この作品では、リスベットが自らの過酷な過去の因縁に端を発する巨悪と対峙するサスペンスですが、アクション・シーンがふんだんに盛り込まれ、今まで以上にエンターテイメント性を重視した作りになりました。もはや、リスベットが主役の探偵で、ブルムクヴィストはワトソン役かそれ以下かもしれません。

リスベットは、女性を食い物にする連中を潰す義賊のような行為を繰り返していました。そんな中、バルデス博士は、自分が開発した世界中の核兵器に容易にアクセスできるプログラムをアメリカの国家安全保障局(NSA)からハッキングして取り返すことをリスベットに依頼してきます。

ハッキングに成功した途端に、アパートに侵入してきた何者かによってプログラムは奪われ、アパートも爆破されます。スウェーデン公安警察の女性副局長のグラーネは、バルデスを保護しハッキング犯としてリスベットを指名手配します。さらにNSAのニーダムも、リスベットがハッキングしたことを突き止めストックホルムにやってきました。

謎の犯人たちは、バルデスを襲撃し駆け付けたリスベットを薬物で意識を失わせ犯人に仕立て上げようとします。実はこの犯罪集団は、リスベットの双子の妹、カミラの手の者たちでした。

カミラは父親ザラチェンコの後を継いで犯罪組織「スパイダー」の冷酷なリーダーになっていて、世界中の核兵器を自由にできるプログラムを狙っていたのです。リスベットはブルムクヴィストに連絡を取り、協力を要請します。

リスベットの格闘シーンはふんだんに登場し、得意のバイクだけでなくカーチェイスも披露します。スピーディな展開は、さすがアメリカ製アクション映画という感じ。

ただし、リスベットとカミラの愛憎ストーリーについてはちょっとわかりにくい。ハリウッド版「ドラゴン・タトゥーの女」では、リスベットの過去についてはあっさりとした説明だけで、12才の時に父親を焼き役殺そうとしたため、ずっと精神病院に入れられていたくらいしか語られていません。

ここでは、もともと父親と姉妹は一緒に住んでいて、父親からの性的虐待の対象になりそうになったため、リスベットだけが逃亡したような話になっています。それから16年間、カミラはずっと父親の玩具にされていたらしい。

もともとのストーリーでは、リスベットと母親が街中に住んでいて、父親は時々通って来ることになっている。そのたびに母親に暴力をふるうことに耐えきれずに、リスベットは父親を殺そうとしたわけです。

ハリエット失踪事件から1年後に、父親ザラチェンコと対決し、父親は病院で公安特務機関の手によって射殺されました。この時、リスベットは23か24才くらいで、ブルムクヴィストがこの映画で3年間リスベットを見かけなかったようですから、ここでは年齢は26か27才。なんとなく、年齢の経過が少しおかしいような感じ。

それはともかく、前ハリウッド作よりは屈折した心理は影を潜め、天才ハッカーとしてのリスベットはわかりやすくなっていて、アクションもこなすキャラクターとしてはルーニー・マーラ版からのキャラ変というところが、どうもこの映画の評判がイマイチな所に関係しているらしい。

しかし、スウェーデン版、前ハリウッド版、そして今作とみていくと、三者三様それぞれのリスベットはアリだと思います。どうせ原作者が変わったわけですから、まったく同じではかえってつまらない。ぞれぞれを尊重して楽しめればいいんじゃないでしょうか。