クリニックの夏季臨時休診のお知らせ
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2021年4月19日月曜日

パットン大戦車軍団 (1970)

この映画は邦題からすると、いかにも第二次世界大戦で名を轟かせたアメリカのパットン将軍を中心とした戦争映画と想像しますが、原題は「Patton」だけであり、パットン将軍の一代記、人間像を描くことを主眼とするものです。


監督は「猿の惑星」などのフランクリン・J・シャフナー。この映画ではアカデミー作品賞・監督賞・主演男優賞・脚本賞他7部門で受賞しました。ちなみに主役のパットンを演じたジョージ・C・スコットは、主演男優賞を辞退したことでも有名です。

映画開始早々、大星条旗をバックにジョージ・スミス・パットン・ジュニアが演説を行います。これはノルマンディ上陸直前に兵士たちに行った有名なスピーチで、実際の半分くらいに短縮していますが、6分間にわたる長いものでパットンの戦争に対する考え方のすべてが出し尽くされています。

1942年11月、パットン少将はモロッコに連合国軍として上陸(トーチ作戦)。映画は、実質的にはパットンがモロッコから勲章を授与されるところから始まります。ここで、最初のパットンの言葉は「私の楽しみはドイツと戦うことです」であり、結局これがすべて。

翌年3月、チュニジアのカセリーヌ峠でイギリス人の司令官が大敗した後を受けて、中将に昇進し司令官になり、旧知のブラッドレー少将(カール・マルデン)を副司令官に指名し緩んでいた軍を叩き直します。着任早々、兵営地のあちこちを視察し、厳しい戒律を決めていきます。病院では、「戦争神経衰弱」の患者を追い出し、ここは勇者だけが治療を受ける場所だと言い放ちます。

古代ローマ時代の戦場だった場所では、パットンは2000年前の戦いに思いを馳せ、生まれる前から軍人であった自分の信条を吐露します。指令部を空襲されると、外に飛び出し拳銃一つで相手に発砲する。しかし、戦死者の墓地では墓泥棒にあわないように見張りをつけさせ、勇者に対しての敬意は忘れません。

5月までに北アフリカのドイツ・イタリア軍を一掃し、いよいよイタリア本土への足掛かりとなるシチリア島攻略が開始されますが、イギリスのモンゴメリー将軍に花を持たせるため、自分が援護側に下がることに不満を持ちます。パットンは、命令を無視して島の北東端、イタリア本土の鼻先につながるメッシーナをモンゴメリーを出し抜いて先に確保してしまいました。この時に盟友ブラッドレーは、パットンに「あなたは意地で兵士を命の危険にさらしている。私は任務だから戦うが、あなたは戦うのが好きなだけだ」と非難します。

また、野戦病院では負傷兵には手厚くしますが、砲弾の恐怖に神経がすり減ってしまった兵士に対して「臆病者。俺が撃ち殺そうか」と言って追い出したことが事件になります。総司令官アイゼンハワーから公式に謝罪を求められ、1944年の新年早々に司令官の地位も失います。

いよいよフランス上陸作戦がせまっていましたが、連合国軍はパットンの実力を恐れるドイツ軍に、パットンがカレーに上陸するという偽の情報を流します。囮として何もできない忍耐の時期を耐えて、上陸後に大将に昇進したブラッドレーについに前線に呼び戻されたパットンは、師団を任されフランス国内を快進撃するのでした。

そして、また冬が訪れ、かの有名なバルジの戦い。ヒットラーの血迷ったとしか言いようがない、真冬の反抗作戦は連合国軍は予想をしていなかったため、虚を突かれ苦戦を強いられますが、ドイツ軍も補給が無く悪天候で思ったような進撃ができません。しかしパットンは積極的な対応で切り抜け、連合国軍の勝利の糸口を作ります。

そして、ドイツの敗戦。パットンの情報を収集していたドイツ士官は、資料を焼却処分しながら、「戦争が終わればあんたも終わりだ。偉大なる時代遅れだ」と、パットンの写真に向かっていうのです。あいかわらず政治的に利口に立ち回れないパットンは、引退同然の閑職に追いやられて映画は終わります。

実際には、パットンは1945年12月に不慮の交通事故により頚髄損傷を受傷し急逝しました。まさに戦争だけが生きている証のような人生だったと言えます。映画で綴られたエピソードは、ほぼ事実と言えますが、それでもパットンの人間性に焦点を据えた劇的なドラマに仕立て上げたのは、脚本を書いたフランシス・フォード・コッポラの力量が大きいと思います。

当然、まさに戦争屋としか言いようがないパットンの考え方は、今時共感できるものではありませんが、戦時下においては実際に戦闘に駆り出される兵士たちには頼もしい上司であったことは間違いない。少なくとも、口先だけうまいことをいうような人物ではなく、何事にも本音で相対したところが一人の人間として魅力的なのだと思います。

戦闘映画では無いので実際の戦争シーンはわずか。戦争映画としてみると、少しがっかりするかもしれませんが、第二次世界大戦を駆け抜けた一人の軍人のドラマとしては大変興味深く、3時間近い長尺ですが意外と退屈しない作品になっています。