2021年12月1日水曜日

バイオハザード V リトリビューション (2012)

SF映画としても、ホラー映画としても、あるいはアクション、スリラー、サスペンスなど、あらゆる要素をごった煮にしたような「バイオハザード」シリーズですが、今回は5作目。サブタイトルは「報復 (retribution)」です。

冒頭海の中に漂うアリス(ミラ・ジョヴォヴィッチ)が、浮かび上がって逆再生で船に戻り、襲ってきたジル(シエンナ・ギロリー)が率いるアンブレラの舞台もオスプレイに戻る・・・とアリスによるあらすじの始まり始まり。これで7分間使っちゃう。でもってさっきの逆再生の場面がが今度は順再生されて、海に沈むアリスが目を覚ますと・・・

何か普通のアメリカの家庭で目を覚ます主婦アリス。夫の名はトッドですが、何とIIIで自ら犠牲にしたはずのカルロス(オデッド・フェール)じゃないですか。しかも、ベッキーという聴力障害のある娘がいる。幸せな朝の日常だったのに、急にゾンビが現れ襲って来るのです。しかも、ゆっくりじゃなく全力疾走です。表に出たところ、通りかかった車を運転していたのはIで死んだはずのアリスの仲間の特殊部隊隊員のレイン(ミシェル・ロドリゲス)。再び家に逃げ込みますが、ついにゾンビ化したカルロスが・・・

再び目を覚ますアリス。そこはアンブレラ社の拘束室で、ジルが金属音による拷問をしながら、何故裏切った? 誰に頼まれている? と執拗に問い詰めますが、何故かセキュリティ・システムが停止し、再起動までの隙にアリスは逃亡します。外に出ると、そこは東京。JPOP GIRL(中島美嘉)が近づいてきて、襲い掛かって来る。お気の毒なことに中島さんアリスに撃ち殺されちゃいます。

そこへ宿敵ウェスカーの部下エイダ・ウォン(リー・ビンビン)が現れ、アリスを救うためにセキュリティを停止したといい、モニターにウェスカー(ショーン・ロバーツ)が映し出されます。ここはアンブレラ社のロシア極東の海中にある模擬的な街を再現した実験施設だと説明します。地上からの救出チームと合流するためアリスとエイダは疑似ラクーシティに入り、そこで実験用に使われ死んでいるアリスクローンを発見します。さらに隠れていたベッキーはアリスを母親だと思って抱きついてきました。

ジルの部隊にはワン(Iで登場した特殊部隊隊長)、レイン、カルロスらのクローンもいて、執拗にアリスたちを追い詰めます。救援チームもほとんどが倒されますが、アリスはジルとの直接対決でジルをコントロールしていたスカラベを取り除き、ベッキーをつれてウェスカーの送ったヘリコプターに乗って脱出しました。

ウェスカーはホワイトハウスのアメリカ大統領執務室に陣取り、レット・クイーンがアンブレラ社を牛耳って人類を絶滅させようとしているので、アリスが最後の望みだと説明し彼女の超能力を復活させました。でもって、エンドクレジットの長い10分間でおしまい。

つまり96分の映画で、初めの約10分と最後の10分間はほとんどいらない部分なので、正味76分という上げ底映画。過去の登場人物をクローンとして大量復活させたり、急に悪役ウェスカーが死んでないどころか対レッド・クイーンの総大将みたいな感じという具合で、もうやりたい放題。

死んでも死んでも何度でも出てくるのは、クローンもゾンビと同じということ。もう、こういう企画だとストーリーとしては有っても無くてもかまわなくて、ただただモンスターをひたすらやっつけてますみたいな話になってしまいました。

これで興行成績だけは良いというのが困る。はっきり言えば、こんな雑な映画がうけるのは、ひとえに原作のビデオゲームがそれなりに人気を保っているからとしか理由は想像できません。とりあえず、あと一つだけあるんで終わりは見えてますからいいんですけどね。