2022年1月5日水曜日

ジャック・リーチャー Never Go Back (2016)

トム・クルーズ制作・主演で、元陸軍憲兵隊捜査官で今は一匹狼の流れ者のジャック・リーチャーの活躍する映画の第2弾。原作の小説「ジャック・リーチャー・シリーズ」はたくさんの作品がありますが、トム・クルーズとはいえさすがにイーサン・ハントとの掛け持ちはきついのか、今後は参加しないと表明しています。

今回の監督は「恋に落ちたシェークスピア(1998)」のエドワード・ズウィックで、脚本も手掛けました。トム・クルーズとは「ラスト・サムライ(2003)」で旧知の仲。また前作の監督をしたクリストファー・マッカリーは製作に名を連ねています。

さて、今回は昔からの知り合いだった憲兵隊の女性士官、ターナー少佐(コビー・スマルダーズ)が、スパイ容疑て逮捕されたことが始まり。リーチャーはターナーの弁護をすることになったモアクロフト大佐に面会しますが、身に覚えのないサマンサという娘の養育費不払いの訴えがあると告げられます。さらに、その直後から軍事会社のパラソース社の尾行が付くのでした。

さらにモアトロフトは何者かによってリーチャーに何か話したと疑われ殺され、リーチャーはその容疑者としてモーガン大佐によって逮捕されます。軍刑務所に収容されたリーチャーは、バラソース社の殺し屋が基地内にいることを知り、ターナーと共に脱走しました。

バラソース社はアフガン撤退時の多くの武器の行方不明に関係があるらしく、それを調べていたターナーらを闇に葬ろうとし、モーガンの一味でした。何故かサマンサにも暗殺者が迫っており、リーチャー、ターナー、そしてサマンサはバラソース社の本社のある、そして暗殺者たちが待ち構えているニューオリンズに向かうのでした。

前作に比べると、相手がかなりの大物。リーチャーは大がかりな陰謀に立ち向かい、女性とは言え現役憲兵隊のパートナーと共に謎を解明していきます。ターナーにもそれなりの見せ場が用意されていて、クルーズのアクションも前作よりも多めになった感じがします。

一匹狼のはずが仲間と共同作戦というのは、ジャック・リーチャーのキャラとしては異質な設定かもしれません。また、もしかしたらサマンサは本当に自分の娘かもしれないという思いから、ついつい「お父さん」的な行動・言動がでてしまうのも、キャラ変に通じます。

そういう意味では、原作シリーズを良く知るファン、あるいは前作を高評価した人ほど、この2作目は不評だったのかもしれません。しかし、ただの男女が無実を晴らすための逃避行というのなら、ありふれたものになっていたかもしれませんが、そこに女の子が入り込むだけで物語の次元が増えることは間違いない。

ヒッチコックの映画は、自然に犯罪に巻き込まれる幾多のパターンの教科書。一方、この映画では元軍人とは言え民間人のリーチャーが、簡単に巻き込まれすぎというか、自分から飛び込んでしまう。そこんとこは目をつぶったとして、容易に軍の内部の情報に近づくのはやりすぎかと。でも、それを可能にするのは現役憲兵隊のターナーの存在ということ。

その後テレビ・シリーズとして「ジャック・リーチャー」が復活していて、こちらは原作通りの大男が登場しているらしい。クルーズとしては、もうやらないということらしいのですが、イーサン・ハントより実年齢で無理が少ないこっちのキャラの方が続けやすいんじゃないかと思ってしまいました。