2022年5月19日木曜日

甘味の話


パティシエの方など、デザート(イタリア料理ではドルチェ)を作る人には、甘味は重要な味覚です。ただ、一般のイタリア料理では自然の素材の中の甘味は重視されますが、わざわざ甘味料を使うことはめったに無い。

甘味を出すのは、ほとんどの場合タマネギとトマトじゃないでしょうか。タマネギは野菜としては、意外に炭水化物を多く含みます。100gあたりに8.8gが炭水化物です。それらはブドウ糖、果糖、ショ糖などで。いわゆる糖度で表すと9~10度くらいあります。

タマネギを炒めるなどして加熱すると甘くなることは知られていますが、これは加熱によって辛み成分である硫黄化合物が揮発・分解して減り、もとからの糖分が凝縮するために甘さが目立つようになるのです。ですから、正しくは「甘くなる」ではなくて「辛くなくなる」ということ。

トマトに含まれる炭水化物は、100gあたり3.89gで、糖度は5度程度。ただし、フルーツトマトと呼ばれる、甘味を強く栽培したものは8度以上で、中には12度くらいのものもあります。

ちなみに、糖度は大雑把な理解としては100ccの水に砂糖1gを溶かした甘さが1度となり、リンゴは12~17度、バナナは20度程度です。ほとんどの野菜は3度程度ですが、トウモロコシは15度、なんとニンニクは40度近くあります。

一般的に使われる白い砂糖は上白糖ですが、料理がしっとりとした仕上がりになりやすく焼き色が付きやすいのが特徴。欧米では、サラサラとした顆粒状のグラニュー糖がよく使用され、菓子作りにも好まれます。

その他の自然成分を売り物にしているキビ砂糖、てんさい糖、黒糖などがありますが、様々なミネラル分が多くなり、多少やさしい甘さになります。ただし精製度が低いだけで、砂糖として健康上の影響は上白糖と大差ありません。

食事と共に楽しむワインも、もともとの原料はブドウですから、当然糖分は含まれています。ブドウの糖度はおおよそ20度。糖度が少ないと分解して発生するアルコールが減り汚染リスクが高くなり、糖度が高すぎてもアルコールが増えすぎて風味が損なわれます。

イタリア・ワインで、最も甘口とされるDolce(ドルチェ)では残存糖分は50g/L以上とされていて、辛口とされるSecco(セッコ)でも17~32g/Lです。12g/L以下になったものがBrut(ブルット)と呼ばれます。辛口と言っても、それなりの糖分が含まれているので、何にしても飲みすぎには注意が必要ということですね。