2022年7月23日土曜日

俳句の勉強 10 類想・類句

青い・・・と言えば空ですかね。白いのは雪、赤いのは炎、緑なら森とか、比較的誰もが同じように想像する言葉はたくさんあります。

そのような一般的な想像にたどり着く内容で俳句を作ると、だいたい同じような内容になってしまい、あまり面白い俳句とは言われません。似たような発想を類想、類想によってできた俳句を類句と呼びます。

初心者と呼ばれる理由の一つが、類想・類句です。ここから脱却することが大事ですが、そのためには自由な想像力と、それを表現するための豊富な語彙が必要ということ。

語彙を増やすのは努力。いろいろな物を見て聞いて知ろうという探求心を培うしかありませんが、一応、類語辞典を使うことである程度は簡単に様々な表現を見つけることができます。自由な発想力は各自の素質によるところが多いとは思いますが、語彙を増やすことは発想の幅を広げることにつながりそうです。


「夏」あるいは「祭り」、合わさって「夏祭り」という季語を使うと、誰もが「花火」、「浴衣」、「縁日」などを想像するもので、類想・類句のオン・パレードになりそう。


夏祭り大輪の花咲く夜空

あえて想像通りに句を作ってみましたが、「大輪の」という表現を使えば「花」に決まっているし、「花」が「咲く」のも当たり前。「夜空」に咲く「花」とくれば「花火」しかありませんし、もうどうしようもない類想・類句です。

夏祭り音に振り向き金魚揺れ

ちょっと視点を変えて、花火を脇役にしてみました。金魚すくいをしていたら、打ち上げ花火の音に驚いて振り向いたら、持っていたお椀の中の金魚が揺れて飛び出しそうになった・・・という感じの風景です。

少しは類想・類句から脱したように思いますが、如何せん夏祭りの固定イメージを払拭するところまでは行けていません。それに「音に」の「に」は何かに向かってゆっくり動いている感じなので「音で」とした方が驚いた感じがしそうです。

今年は、とっくに梅雨明け宣言されましたが、結局またまた雨模様が続き、湿度が高い日が続きます。梅雨と言えばじめじめした、何となく嫌ぁな感じ。ですから、

窓開けて風からサウナ戻り梅雨

梅雨のはしりと違い、気温が高くなった分、湿度も高いのが戻り梅雨。夕方になって、気温が少し下がったので窓を開けてみたら、まるでぬるいサウナにいるような風が吹き込んでくるという内容。

梅雨でじめじめを絵にかいたような内容なので、おそらく類想・類句と言われそうな句になっていると思います。ただ、梅雨時を快適と思う人はまずいないので、季語に梅雨関連を選んでしまうとなかなか辛いところがあります。