2022年8月9日火曜日

俳句の勉強 20 長~い季語


短い季語があれば、反対に「何これ?!」と言いたくなるような長い季語もあったりします。そもそも俳句ではたった17文字しか使わないと言うのが基本で、必ず季語を使うとなると季語は短いにこしたことがない・・・はずなんですけどね。

例えば「愛鳥週間(あいちょうしゅうかん)」は、5月10日~16日の行事で8音の初夏の季語。上下の5文字どころか、中七にもおさまらない。使用した時点で、字余りか、句またがり確定です。「大和神幸祭り(おおやまとしんこうさい)」は、さらに多くて11文字の晩春の季語で、4月1日に行われる別名「ちゃんちゃん祭」と呼ばれる奈良のお祭りです。

4月7日、島根の「青芝垣神事(あおふしがきしんじ)」は晩春で、まだ可愛い9文字。「アスパラガス」だけなら6文字・晩春ですが、「アスパラガスの花」となると晩夏・9文字。「愛宕の千日詣(あたごのせんにちもうで)」は7月31日に京都・愛宕神社の鎮火祭で晩夏・11文字です。

もう、すでに探すのが嫌になってきましたが、だいたいは行事の名称が長いことが多い。短くしようがないというのは理解できますが、これだけ長いと俳句としては使いようが無いと言えそうです。

キリスト教関連でイースター(復活祭)がつく言葉もありますが、一番長そうなのは帽子の種類で「イースター・ボンネット」が10文字・三春です。11月23日、島根の出雲大社の神事は「出雲大社新嘗祭(いずもおおやしろにいなめさい)」は14文字・初冬。「厳島神社の年越祭(いつくしまじんじゃのとしこしさい)」は旧1月6日で15文字・新年。

「国民体育大会(こくみんたいいくたいかい)」というも、晩秋の季語ですが、12文字もあって、残りはたったの5文字。戦後に始まったものですから、比較的新しい季語と言えます。国民・体育・大会と構成するパーツがすべて4文字なので、どう使っても読んだ時のリズムが悪い。どうしても使いたい時は、「国体(こくたい)」と略するのが現実的です。

歳時記で10文字くらいを拾っていたらきりがありません。とりあえず、後は省略で、極めつけを一つ。キリスト教関連で10月7日は、「ロザリオ聖母の日」となっていますが、正確には「童貞聖マリアの聖なるロザリオの日(どうていせいまりあのせいなるろざりおのひ)」となって20文字・晩秋の季語です。実際の俳句では省略して、単に「ロザリオ」とか、「ロザリオの月」として使われています。

言葉を季語と認定する特定の機関があるわけではないので、誰かが「これは季語として使える」と思って使い、それに追従する作品がそれなりに生まれることで、次の歳時記に載せようと考える監修者がいたりする。最初に使った人、最初に載せた人は、俳句では現実的ではない言葉を季語とした責任があるはずなんですけどね。