2022年8月11日木曜日

俳句の勉強 21 類句脱出法

凡人の凡人たる所以は、見つけた俳句のタネから、誰もが当然想像するものしか思い浮かばないことが大きな理由。そうやってできた凡人句は類想・類句と呼ばれ、何とかこの深い深い沼から脱出しようともがくことになります。

お笑い芸人である村上健志は、もともと短歌をたしなみ、「ブレバト」出演で俳句をはじめ、短期間でその実力を認められました。彼のおすすめする俳句の作り方は、類想・類句を脱出するための有用なヒントになりそうなので紹介します。


例えば「運動会」という季語が兼題にだされたら、普通は「紅白」、「綱引き」、「リレー」、「お弁当」などを想像します。ここで俳句を作ると「運動会親も本気の綱引きか」とか、「運動会家族で楽しくお弁当」みたいな句が量産されることになる。

村上さんのおすすめは、連想した言葉からさらに次の連想を広げていくというもの。「リレー」が気になったら、そこから第2段階の連想をするわけで、「バトン」、「たすき」、「応援」、「リボン」何かが出てきそう。

そして、さらに深く連想広げます。「バトン」が気になったので、ここから「筒」、「落とす」、「バトンケース」・・・あっ、これ面白いかもというのが見つかるまで連想ゲームをしていくというもの。

村上さんは「バトンケース」が面白いと思った。そこで「からっぽのバトンケース」を想像し、空っぽなのは使っているからで、練習なのか、本番なのか・・・さらに想像を膨らませて、空いたケースをちゃっかり利用してしまうカマキリの映像を重ねていました。

リレーバトン空のケースにいぼむしり 村上健志

「いぼりむし」は蟷螂(かまきり)のことで秋の季語。確かに運動会をテーマに、独自の発想力が生きた句になっています。これまでの連想の流れを知っていると、中身も理解できます。ただし、「プレバト」番組内では、夏井先生に以下のように査定されてしまいました。

リレー練習バトンケースにいぼむしり 村上健志 (推敲 夏井いつき)

「空の」はいらない。使っていれば空になっているのは当然で、リレーの様子を練習なら練習とはっきり書くことで、最初の情景がより明確に映像化できると評されています。

この連想の連鎖をする方法は、確かに面白い。三段階以上考えれば、個人個人の思い出などにたどりついてオリジナリティのある発想に飛ばすことができるかもしれません。連想力を鍛えるのも、俳句作りでは重要な勉強だということですね。