2022年8月13日土曜日

俳句の勉強 22 芒で四苦

俳句を作るとき、あらかじめ出されるテーマのことを「兼題」といいます。集まって俳句を楽しむ句会で、その場で出されてすぐ作句するためのテーマは「席題」です。題は季語が用いられることもあれば、それ以外の事もあります。「プレバト」では、写真を兼題として見せて俳句に仕立てる方式です。

無料で投句出来る松山市の「俳句ポスト365」で、次に出される予告された兼題は「芒(すすき)」です。〆切まで1か月間以上、考える時間はたっぷり・・・なんですが、これまた難しいテーマを出してきました。


何が難しいって、ススキですよ、すすき。普通に考えて、連想することと言えば、仙石原の見事なすすき原とお月見くらい。そこらにたくさん生えていて秋らしいのですが、普段は雑草とまでは言わないにしても、それほど注意を払う存在ではありません。

月見から連想するのは、十五夜、兎、団子などで、類想の域を出ることができません。村上式連想法を活用したくても、ほとんど言葉が出てこないので、すすきをキーワードにネットを探し回ってみました。

そこで知ったのは、茅葺屋根に使うのがすすきなんですね。ただ残念ながら、茅葺の家は遠目に見たことはあっても中に入ったことが無いので、そこからの連想の広がりができません。

もう一つ見つけたのが「すすきみみずく」という、すすきの藁で作った人形。東京の雑司ヶ谷の郷土玩具で、鬼子母神の参詣土産としてけっこう有名らしい。鬼子母神(きしもじん、あるいはきしぼじん)は千人いる自分の子を育てるため、近辺のこどもさらって贄にしていたところ、釈迦に諭され改心し安産の守り神となったお方。

すすきみみずくの由来は、母親の薬を買うお金が無い娘が鬼子母神に祈ったところ、すすきでみみずくの人形を作って売りなさいと告げられ、無事に薬を買うことが出来たということらしい。

これは面白いと思ったものの、鬼子母神で5文字、すすきみみずくで7文字。あと5文字しか使えない。そもそもすすきみみずくは全部で玩具の名前ですから、芒という季語としては弱すぎるというか無理がある。残りに季語を別に入れたら、それでお終いになってしまいます。

そこで、何とか文字数を削れないかとじたばたするわけですが、鬼子母神は別名は訶梨帝母(かりていも)で、同じ5文字。いっそのこと神をとっちゃうしかない。鬼子母とすれば3文字でいける。

すすきみみづくは固有名詞みたいなものなので難しいのですが、いろいろ調べてみたら耳木菟(みみずく)の古い言い方で「木菟(つく)」というのがありました。すすきみみずくを芒木菟とすれば5文字。合わせて4文字節約できます。

鬼子母神が芒木菟を授けたよ、というストーリーができそうなので、これに最適な秋の季語を探すことにします。芒にかけて「月」が絡むといい感じで、「盆の月」なんていいかなと思ったんですが、これは仲秋の名月の1か月前。ちょっと早すぎる。

仲秋の名月、十五夜の前日の夜のことを「待宵(まつよい)」というのだそうで、これなら明日は月見と楽しみにしている様子がでてきて、きつねみみずくで良い事があるようにと願う気持ちとも合いそうです。

待宵に鬼子母授けし芒木菟

何か、良くないですか? 自己満足的にはOKですが、「待宵や」の方がいいかもとか、やはり無理矢理言葉を省略したのは大丈夫なのかとか不安は残る。まぁ、最終候補の一つとして残しておきたいと思います。