2022年9月30日金曜日

俳句の勉強 44 月百句 #61~#74


さすがに苦しくなってきました、月百句チャレンジ。

メジャーどころの月に関係する季語はだいたい使い尽くしたので、残りはほとんど聞いたことがないような言葉ばかりです。たださえ、語彙不足・知識不足のところに輪をかけて想像力そさえ湧いてこない。

作句のペースもだいぶ落ちましたが、最初に決めた立冬までという〆切は余裕でクリアできそうなので一安心。それじゃ、いきますか。

#61 沈魚月も傾く艶やかさ

季語は、月が沈もうとしている情景の意味で「月傾く」です。「沈魚(しずみうお)」は水底に棲む魚ということですが、「沈魚落雁」という四文字熟語があり、泳ぎが得意なはずの魚が沈んでしまい空を飛ぶ雁が落ちてしまうくらいの絶世の美人という意味になります。ここでは雁の代わりに月に傾いてもらいました。

#62 叢雲に白にじみたる薄月夜

「薄月」は雲に遮られて光を弱めた月の季語です。そのまんまのの句で面白味はないですね。

#63 記に薄く月読の悲喜不知なりき

季語は「月読(つくよみ)」で、天照大神の弟。単に「記」と言えば「古事記」のこと。古事記や日本書紀では、天照大神やもう一人の弟、須佐之男命についてはたくさんエピソードがありますが、月読命についてはほとんど記載がありません。

#64 居酒屋は月夜烏の庵かな

「月夜烏」は夜通し浮かれている人という意味を持った季語で、これもそのまんまの句。いくらでも類句はありそうです。

#65 幻月や酔ふて箸おく夢心地

「月の暈」と同じような、大気中の水分の影響で月が二重にみえるのを「幻月」と呼び季語になっています。月が二重に見えるようじゃ飲みすぎだと反省しているんだかいないんだか・・・

#66 万年の魅惑の光姮娥かな

月が入っていないのですが、「姮娥(こうが)」が月関連季語になります。中国の故事で、仙女の姮娥が不老不死の薬を飲んで月に逃げてカエルになったという話からきていて、俳句では月の別称として使われます。

#67 杵持つや疲れ知らずの月兎

「月の××」という季語は、文字数が中途半端に多くてとても使いにくい。開き直って、字余りにするか中七を埋め尽くすような作りになってしまいます。省ける物なら「の」を抜いてしまいます。「月の兎」はそんな季語の一つですが、まさに月の模様が兎が餅をついているように見えるということ。これは類想類句以外があったらお目にかかりたいくらいのものです。

#68 ひもすがら月の鼠は常ならむ

「月の鼠」も使いにくい季語。内容も難しくて、仏教の話です。虎に追われ井戸の中に木の根を伝って隠れたら、井戸の底には毒蛇がいて、根を二匹の鼠がかじろうとしていました。虎を罪業、鼠を昼と夜(時が過行く)、毒蛇を地獄に例えているそうです。

#69 月の桂倒れ地の果て現る

「月の桂」も中国古事に由来する季語で、月にはえている500丈、約1500mの高さがある桂の木のこと。切っても切っても生えてくるらしく、この木を切る人のことも季語で「桂男」といいます。

#70 盃の光箸立ての割り箸

「盃の光」は、月という言葉がはいっていませんが、盃に注がれた日本酒に反射する光が月に見たてられた季語。箸立てにたくさん突っ込んである割り箸が芒の代わりというところでしょうか。

#71 月の雪積もることなく路濡らし

「月の雪」は月光に照らされキラキラしている様子を雪に例えたもの。こういうのは、イメージが被りやすく、なかなか発想が飛ばないので面白いものになりません。

#72 灯に映える月の氷を踏んでみる

「月の氷」も雪とほとんど同じことをいいます。あー、面白くない。

#73 泣かれても月鏡に手は届かざる

「月鏡」は満月のこと。これは小林一茶の有名な「名月をとってくれろと泣く子かな」への相聞句です・・・ってかっこいいけど、ざっくばらんに言えばパロディ。実際は月を手に取れるわけがない。

#74 カメラ越し月の顔fオーバー

「月の顔」は月の光のことで、顔と書いて「かんばせ」と読みます。アルファベットを使うという意欲作・・・というか、月を撮影しようとするとけっこう明るいもので、スマホなんかじゃ露出(f)がオーバーしてしまいます。マニュアルで露出とシャッター速度を調整できないと無理。