阿川佐和子の小説が原作のTBSのスペシャル・ドラマ。脚本
は「Dr.コトー診療所」などの吉田紀子、演出は吉田秋生です。
桂木麻子(長澤まさみ)は、何となく生きてきて、やっと就職した小さな出版社が倒産して無職になってしまいました。取材先の料理教室の山本涼子(秋野暢子)には、生きていくことの大変さを知らないと指摘された麻子は、これを機会に一人住まいをする決心をします。
麻子が選んだのは、屋上が皆で使える共用スペースになっているアパートで、早速隣の猪熊マキ(坂井真紀)と仲良くなります。元社長の岡村実 (近藤芳正)は、麻子に後輩の工藤俊太郎(吉田栄作)の広告会社への再就職を世話します。
そこへ、親友で半年前に結婚した片岡由香(芦名星)が突然やって来て、麻子のアパートに居候し始めるのです。麻子とは対照的に、何事にも積極的な由香でしたが、結婚に失敗したのです。しかし、奔放な由香の生活態度に、麻子は少しずつイラ立ちを覚えるのです。
麻子の両親が持ってきた見合いの話で出会った田中幸二(加藤晴彦)は、自分には恋人がいるのでこの話を断ってほしいといいだします。工藤は麻子の仕事ぶりをしだいに信頼するだけでなく、好意を抱くようになります。また田中も、恋人に逃げられたと連絡してきます。
独り暮らしを始めた女性が、見かけ上は自由を手に入れたはずなのに、少しずつ自分を束縛することが増えていく。特に目的がなかった生活がだんだん窮屈になっていくことで、むしろ自分が何をしたいのかがはっきりと見えてくるという内容を適度なユーモアを交えつつ描いている作品ということだと思います。
テレビドラマですから、さすがにあまり派手派手な演出はありませんが、逆に会話劇として面白さが見えてきます。すでに人気が高まっていた長澤まさみとしては、演技者として開眼した時期の作品の一つということもできそうで、ファンの方は必見です(
現在TVerで公開中)。