「水曜どうでしょう」のレギュラー放送は2002年9月に終了していますが、その後は不定期に特番が作られていました。この企画もその一つです。
原作は「水曜どうでしょう」ディレクターの嬉野雅道、演出は同じく藤村忠寿、脚本は嬉野・藤村と社員の四宮康雅が担当し、戦国時代を舞台にしたファンタジー活劇となっています。出演はTEAM NACS 5人とCreative Office Cueタレント、そしてヒロインには三輪ひとみを招いています。三輪ひとみは、ナックスとの関りがある三輪明日美の姉。
下総の鷲頭領は隣国の騙し討ちの策略により滅ぼされ、13歳の世継ぎ小十郎は3歳の妹・綾姫を連れて城から脱出します。父は小十郎に名刀・備前長船を授け、「ひとを斬ってはならぬ。この刀は大切なものを守るために使え」と言い遺したのです。逃亡の途中で、隣国の組頭・弥七に発見されますが、弥七は「人間らしく生きろ」と言って彼らを逃がします。そして、小十郎は綾姫のために水を取りに川に降りた一瞬の隙に、綾姫は姿を消してしまったのでした。
小十郎は綾姫を探す旅を続け、髪の毛がぼさぼさになりまるで蟹のように見えたため、いつしか蟹頭十郎太(大泉洋)と名乗る浪人者になり13年が経とうとしていました。蟹頭十郎太は、人々が平穏に暮らす神州の地にいました。通りすがりの安藤源八(音尾琢真)と野盗を捕らえますが、源八は刀を抜かない十郎太を不思議に思います。
領主の神州無二斎(森崎博之)には、先妻の間の子・桜姫(三輪ひとみ)、そして後妻の築山(宮崎奈緒美)との間に赤子の千代丸がいました。桜姫が明日で16歳になるため、婿取りの儀を行なうことなっていました。その夜、十郎太は不思議な法師に出会い、「城にかかっている不気味な雲が災いをもたらす」と告げられます。母が亡くなってから10年間、白龍神社への毎日の参拝を欠かすことが無い桜姫は、長い参道で急に気を失ったところを源八に助けられます。
婿取りの儀では、最後の二人に残った十郎太と源八が翌日に真剣勝負をすることになり、二人は城の天守閣に泊まることになりました。話をしているうちに、源八が安藤弥七の息子であることがわかり、弥七は小十郎と綾姫を逃がした罪で打ち首になっていたのでした。十郎太も本名を名乗り、妹を探していることを告白します。
その頃、最近家臣になった黒龍丸(安田顕)は、千代丸がいながらどこの馬の骨ともわからぬものに城をわたそうという無二斎を殺してしまえと築山に迫っていました。そして、自分は桜姫を殺すため寝所に忍び込みます。築山は無二斎に毒を飲ませようとしますが、どうしてもできず自害してしまいます。そして、侍女(小橋亜樹)の知らせて十郎太と源八は桜姫を救出します。
母親から実の子ではないことを聞いていた桜姫は、初めて十郎太の手を握ってお互いに兄妹であることを感じ取ります。しかし黒龍丸が襲ってきたため、源八に桜姫をたくし十郎太はついに備前長船を抜くのです。死闘を制した十郎太は、新たな探し物を見つけるために旅立っていくのでした。
ストーリーとしてはあまりひねりが無い。誰もが想像する内容であり、ありきたりのものです。基本的には「水曜どうでしょう」などの番組のファンのために、番組に絡んだ小ネタをいろいろ挟んで喜んでもらうための芝居だと思います。
感心したのは、冒頭、物語のベースになる兄妹が別れ別れになるまでを、ほぼ大泉洋の講談調の一人語りで見せ切るところ。約20分続くこの場面は、芝居人・大泉の真骨頂が発揮されています。また音尾琢真の舞台での演技力の高さは、出演者の中でも群を抜いていることがよくわかります。
メイキングで初日前日のゲネプロ後に、終わり方がよくないとかなりの部分を削除しているようです。たしかに黒龍丸との闘いが最後の盛り上がる場面なので、その後は付け足しみたいなところがあるのかもしれません。しかし、そのためなのか、決戦中の台詞とかがあまり生きていないように感じます。直前の変更は混乱だけで、あまり良い作戦ではなかったのかもしれません。
また、ナックス・メンバーのギャグに頼り過ぎていて、大泉洋のけっこうな尺を使う物まねコーナーなどは冗漫ですし、やたらと出てくる音尾琢真の「魚顔」ネタもしつこすぎてうるさい感じ。テレビの専門家が、そのまま舞台の演出家として優れているとは言えないということでしょうか。
感心したのは、冒頭、物語のベースになる兄妹が別れ別れになるまでを、ほぼ大泉洋の講談調の一人語りで見せ切るところ。約20分続くこの場面は、芝居人・大泉の真骨頂が発揮されています。また音尾琢真の舞台での演技力の高さは、出演者の中でも群を抜いていることがよくわかります。
メイキングで初日前日のゲネプロ後に、終わり方がよくないとかなりの部分を削除しているようです。たしかに黒龍丸との闘いが最後の盛り上がる場面なので、その後は付け足しみたいなところがあるのかもしれません。しかし、そのためなのか、決戦中の台詞とかがあまり生きていないように感じます。直前の変更は混乱だけで、あまり良い作戦ではなかったのかもしれません。
また、ナックス・メンバーのギャグに頼り過ぎていて、大泉洋のけっこうな尺を使う物まねコーナーなどは冗漫ですし、やたらと出てくる音尾琢真の「魚顔」ネタもしつこすぎてうるさい感じ。テレビの専門家が、そのまま舞台の演出家として優れているとは言えないということでしょうか。