2025年9月16日火曜日

おかしなふたり (2006)

北海道の学生演劇集団だったTEAM NACSは、2004年の「LOOSER」で初めて東京公演を成功させ、大手芸能プロダクションであるAMUSEと契約し全国へ進出することになります。道内の活動は引き続きCreative Office CUEの元で行いましたが、2005年の「COMPOSER」ではついに全国ツアーをおこなうまでになったのです。

そして北海道テレビのバラエティ専門みたいだったテレビ出演も、2005年「救命病棟24時 Season3 (フジテレビ)」に大泉洋がレギュラー出演したのを皮切りに、戸次重幸は「1リットルの涙 (フジテレビ)」、安田顕や音尾琢真もNHKのドラマに出演ができました。2006年に放送されたこの作品は、新春スペシャルとして放送されたもので、大泉洋にとっては初めての主演ドラマとなり、森崎博之のドラマデビューにもなりました。

桜木直(大泉洋)は、学生の頃からイベント会社が大成功し結婚したものの、その後事業は行き詰まり妻はこどもを連れて去ってしまう。今では無職のまま、訳アリの人生を送る人ばかりが入居している復活荘という古いアパートで暮らしていました。

復活荘の住人は、他には男に触れるとアレルギーを起こして倒れてしまう元ホステスの奈津子(木村多江)、女性下着コレクターでブラジャーの歴史を本にしたい三田村(手塚とおる)、人生に役に立ちそうもないたくさんの資格を取ることだけが生きがいの笹山(大杉連)でした。

元妻(高岡早紀)が海外出張のため、しかたがなく直に8歳になる息子のの直史(広田亮平)は1か月間預けられることになります。直は直史と会うのは離婚以来、5年ぶりで、いいところを見せようと見栄を張りますが、賢い直史には簡単にばれてしまうのです。

しかし、直史のおかげで、下着泥棒と間違われた三田村を救ったり、復活荘の取り壊し計画を中止させたりできました。直は父親として5年分のこどもにしたかったことをできるだけ実行しようとしますが空回りの連続で、直史は「お父さん」とは呼んでくれません。

とりあえず前向きになった直を見ていて、復活荘の住人たちも少しずつ自分を変えようと考え始めるのでした。でも、直は父子の絆を取り戻せぬまま、約束の1か月がもうじき終わろうとしていました。

脚本は京都で演劇集団を主宰する土田英生。監督はすでに「ロング・バケーション」や「古畑任三郎」などで認められていた鈴木雅之で、土田の本や大泉の演技を生かすために、会話主体に長めのシーンを多用して舞台に近づけた演出を行っています。

森崎の出演シーンは高級レストランのウエイター役でほんのチョイ役でしたが、大泉が広告塔になってメンバーの仕事の幅がだんだん大きくなっていることが素直に嬉しかったようです。

ちなみに大泉にとっては「救命病棟24時」のプロデューサーだった中島久美子との再タッグの仕事であり、これを契機に2009年に中島と結婚していますから、そこそこ思い出深い仕事になったのではないでしょぅか。