2008年8月31日日曜日

世界を極める若者

世界でがんばっている日本人の若者がここにもいました。

テニスの全米オープンの男子シングルス3回戦で若干18歳の錦織圭選手が、昨年のベスト4のスペインのダビド・フェレールをフルセットで破り、ベスト16に入りました。全米で日本男子の4回戦進出は71年ぶりだそうです。

自分が大学生でテニス部で汗を流していたのは、コナーズがおちてきて、ボルグ=マッケンローの時代。日本では神和住純くらいしかスターはいませんでした。

早くから渡米して最初から世界を土俵に修行してきた錦織選手は、まだまだ18歳(うちのこの同じ!!)。これからしばらくは活躍が続きそうですね。応援してます、がんばってください。

夏の終わり - 妄想キャンプ

8月も今日でおしまいですが、天気は夏であったことを思い出しかのように晴れわたりましたね。蝉の鳴き声も復活しましたが、先週はどこに隠れていたんでしょうか。

正直に言うと、汗っかきの自分は夏は得意ではありません。毎年、ここが過ぎればだんだん涼しくなってくるという一念で乗り切るのです。ですから、逆に春はだんだん暑くなってくると思うと憂鬱になってしまうのでした。

こどもが小さいときには親の都合で夏のレジャーを決めていれば良かったんですが、しだいに学校の用事などが増えてきて、あまり家族で出かけることも少なくなりました。その一番はキャンプ。

もちろんサバイバルではなく、車でいろいろ快適グッズを持っていくオートキャンプです。涼しくなって、キャンプ場も静かになる9月か10月くらいが一番いい季節のように思います。

残念ながら、今はなかなか休みが作れないので、キャンプ道具も仕舞いっぱなし。いい加減手入れくらいはしないといけないと思いつつも、その時間すら作れません。

そこでヴァーチャルでちょっとやってみますか。って、ようするに仮想手入れ実行準備作戦ですね。

まずは、ガソリンを使うもの。最初にそろえた道具はガス式だったんですが、やはりポンピングして圧縮して使うホワイトガソリンの方が燃費もよく火力も強いし、燃料も手に入れやすい。そもそもキャンプらしいじゃないですか。

まずはツーバーナー・ストーブです。Colemanのハイオクも使えるタイプ。ばらして錆をとります。ジェネレーターをチェックしてつまりが無いか確認火をつけてみましょう。おー、しばらく使わなくても安定した火がつくじゃないですか(ということを期待している)。

続いてランタン。同じくColemanのノーススター。これはクラシックランタンに比べ大光量なので、これ一つで机周りは十分に明るいのですが、吹き出しの音がかなりうるさいのが欠点。さすがにマントルは壊れているので、新しいのを装着して周りを燃やしておきます。このあたりがとっても楽しいところ。

あとはテント類を開いて乾かしておきましょう。その間に近所のホームセンターに行って、炭と電池などを揃えてきます。炭は普通の楢炭と備長炭を両方。火付きは楢ですが、火持ちはなんといっても備長炭。焼き物をするならこれ以上の炭はありません。練り物の炭はよく燃えますが、すぐに燃え尽きてしまうので使いません。

あー、いかんいかん、だんだんむなしくなってきた。やっぱり、本当に準備してキャンプにいかないとだめですね。今年はまだ無理ですけど、来年こそはキャンプを復活させたいと思います。

さぁ、明日から9月だぞっと!!

2008年8月30日土曜日

Instruments

あすなろ工具店の仕事道具の一部・・・ちゃいます。整形外科にとっては必需品の一部です。

整形外科の手術では、のこぎり、とんかち、釘、ねじ、ドライバー、錐、ノミ、ヤスリ、ラジオペンチ、針金などなど・・・を使います。はっきり言って大工道具は大切な手術機械の一部なのです。

さすがに、クリニックでは大々的に手術をするわけにはいきませんので、使う道具といえば、このくらい。とはいえ、大事な商売道具ですから、おろそかにはできません。

実はここは写っていませんが、骨にワイヤーを刺すための電動ドライバーもあるんです。ちょっとした骨折の時に、皮膚を切らずにワイヤーを刺して固定するためのものです。レントゲンの透視をしながら行いますが、その気になればかなりの骨折の治療ができるんです。

開業するときに欲しいと思ったんですが、200万円くらいかかりそうなのであきらめました。そしたら、メーカーの方が中古品を探してきてくれて、1/10くらいの値段で手に入れました。

外科医にとって道具は本当に大切なもので、使う目的をしっかり考えて適切な道具を選んで使うことが手術のうまいへたに出てくるものです。

時に手術機械を投げる医者がいたりしますが、道具を大切にできないものは手術の失敗をすぐに道具のせいにするものです。

また一方、必ずしも使いたい道具があるとは限りません。そういうときに、臨機応変に別の道具を使えることも重要。研修医の頃に、どんな条件でも、きちっと結果を出すことを随分と教育されました。

飛行機ぶ~ん

飛行機が空を飛んでいた。

別に珍しい光景ではないけど、カメラを向けてシャッターを切ってみた。

そしたら、肉眼では黒い点でしかない飛行機がちゃんと飛行機に見えた。

たしかに誰かが操縦しているのが感じられた。

一生懸命操舵して上昇していく飛行機。

どこに向かっているのかなぁ。

2008年8月29日金曜日

整形外科へのお誘い

ちょっと、そこの研修医の方。まだ、何科の医者になるか迷っているの?
だったら、ちょっと読んでいってよ。

まぁ、もっとも親が医者で、同じ科に進むっていうのは、いいようでよくないよね。自分もそうだったから、何となくわかるよ。親を見ていると、その科のいいところも悪いところも見えちゃうからね。

親を超えるのはこどもに課せられた期待だから、同じ土俵で勝負しにくいところもあるんだよね。でも、自分が親になって見ると、自分ががんばっているのはこどものためなんだよね。こどもが同じ道に進んでくれれば、嬉しくないわけがない。

親が医者じゃないなら、自分がやりたいことをやればいいわけで、話は簡単。でもね、やりたいことを何十年も先まで見通せる人はいないんだよね。いろいろな医者に何でその科を選んだの、という理由を聞いてみると、意外とたいした理由じゃないことが多いんだよ。

何を隠そう、自分もたまたま友人に付き合って整形外科の教授室にいっただけなんだよね。そしたら、友人がこいつも整形外科に入りますって勝手に紹介しちゃったわけ。

やりたいことっていうのは、後から出てくるんだよ。どんな科でも、だんだんわかってくると、やりたいことが必ず見つかるもんで、最初からあまり気張って考えてもしょうがないかな。

でもって、整形外科なんだけど。いいよ、整形外科は。まず、外科系ということ。内科に比べて軽く見られがちだけどね、でも患者さんを本当に治すのは医者だからね。

内科の先生には怒られてしまうかもしれないけど、正しい薬を選択するのは医者の能力だけど、薬が効くかどうかは患者さんしだいだよ。

その点、手術というのは医者の個人の能力。特に整形外科では、ばらばらになった骨をきちっとまとめて、患者さんがちゃんと社会復帰できれば、それは医者の力だと大威張りできるんだよ。

もちろん、うまくいかないのも医者の能力であることがあるわけだから、そこんところの責任をしっかりと背負っていく覚悟は必要だよね。患者さんは50点を望んでいるわけじゃなくて、いつでも100点満点を期待しているのはどの科も同じ。

救急は最近は忙しくて大変だと嫌われているようだけど、若いときにがむしゃらにやらなくてどうするの。外傷が来れば、整形外科と脳神経外科と腹部外科が活躍するんだよ。

血だらけのけが人を助けるのは戦場のような場合があるけど、そういうのを経験しないで医者になれると思ったら大間違い。そういうところでトレーニングしておかないと、本当に後で困ると思うよ。

もちろん、それだけじゃない。リウマチという病気があるけど、内科でみるのか整形外科でみるのか医者も患者さんも悩むんだよね。治療は薬が主体だし、最近は副作用をしっかり見ていかないと危険な薬をどんどん使うから、内科的な部分が多くなってきた。

でも、勉強すればいくらでも知識は増やせるんだ。でも、リウマチの治療ではリハビリテーションや装具が大事。それにいざとなったら、手術も大事な治療方法なんだよね。

手術は実技だからね、知識だけではできない。やはり、経験が無いと無理だと思うよ。自分が整形外科医だから言うわけじゃないけど、ちゃんと勉強して薬を使いこなす手術もできる医者がリウマチでは必要なんだよね。

それに高齢化社会になって、老化現象でのいろいろな手足腰の痛みを減らして生活能力を維持するのも、整形外科の大事な仕事だよね。

でも、逆に赤ちゃんだって診るんだよ。先天性の問題も少なくない。こどもの怪我や障害だっていろいろあるし、整形外科は全年齢が対象になるんだよ。その気になれば、本当にいろいろな患者さんがいてやることは山ほどあるんだ。

ただ、開業するときは注意が必要かも。というのは、整形外科の患者さんの診療報酬は高くない。一人あたりの診療費を患者単価というけど、内科なら4000円~5000円、だけど整形外科は2000円~3000円だから、内科の倍の患者さんがこないと経営上はつらい。

さらにね、診療所のスペースも、内科なら30坪もあれば十分だけど、整形外科は最低でも50坪くらいないとできない。一般的には内科なら1日に30~40人の患者さんがくれば経営は大丈夫といわれているけど、整形外科は80~100人は必要なんだよね。

まぁ、うちなんてやっと60人だから、いまだに必死に当直のバイトしているわけだけど。まあ、それはいいとしても、とにかく今の医療事情では先が見えないから、何科で開業しても大変だよね。

まぁ、少なくとも自分の医者としての最終形態だけはある程度考えておいたほうがいいんじゃないかな。

とことん大学のようなところに残って、研究をがんばって多くの患者さんを治すための治療法を開発していくのか、あるいは市中病院や自分の診療所を持って目の前の一人一人の患者さんを治していくのか。コンピュータでいえば、プログラマーかアプリケーション・ユーザーかみたいなところかな。

まぁ、整形外科は絶対面白いから、是非考えてみてよ。

2008年8月28日木曜日

Beer


自分はいわゆる「飲んべえ」ではありません。ビールで十分。

発泡酒なんて水みたいと思っていましたか、いつの間にか発泡酒で十分。第3のビールなんてくだらんと思っていたのに、今ではリキュール類でもok。たまに「ビール」を飲むと、むしろ濃いなぁなどとぼやいてしまう始末です。

先日のMM21のホテルでのビールは久しぶりに旨いと思いました。ものはアサヒのスーパードライの瓶でした。何でしょうかね。冷え加減ですかね。それとも、この注ぎ方による泡立ちのせいでしょうか。

注いでくれる方が、またうまいんですよ。ほどほどに泡ができて、おちついても数cmちょうど残っているんですね。何事にもコツってものがあるんですね。

2008年8月27日水曜日

今夜はリウマチの勉強

今夜は勉強。それも、聖マリアンナ医科大学のリウマチ内科の山田秀裕先生を独り占めです。

実は東京女子医科大学の膠原病リウマチ痛風センターの第1回OB & OG会なんです。会の名称はまだ正式には決めていないので、とりあえずですが、日本の名だたる先生を招いてどんどん勉強してやろうという、かなり無理のある企画です。

その第1回にわざわざ山田先生に出席していただいたのというわけです。知る人ぞ知る先生なので、これは本当に贅沢な会なんです。おかげで、いろいろと勉強できました。

生物学的製剤の知らなかった注意点。自分でやっていたことを点検する良い機会でした。ちょっと事情があって、二人急に出れなくなってしまいましたが、岸根公園の菊池整形外科の持田先生(美人でしょう)、北新横浜整形外科の渡辺先生と3人でたっぷり山田先生と話ができました。

えっ? 昨日と格好が同じ? よく見てください。
昨夜はワイシャツ、今夜はポロシャツだもんね。

Four Bloggers

Woody Harman Orchestraの名曲に、Four Brothersというがあります。管楽器4人が次々とアドリブを繰り出してくる大変楽しい曲。後にManhattan Transferが、そのアドリブに歌詞をつけて歌ったのも大好き。

そこで、話はいきなり変わるわけですが、日本には何十万人と医者がいるでしょう。その中で、神奈川県には、横浜市にはと絞っていきます。さらに都筑区ではたぶん200人くらいいる。

さらにブログを書いているのは何人もいますが、その中で毎日書いている(除休診日)のはこの4人(リクエストにより写真修正あり)。Four Bloggersです。それぞれの特徴は、Dr.Flickerが今朝のブログで紹介しています。

昨日の夜はこの4人で四方山話に花を咲かせてきたわけで、その内容はDr.Mあざみ野棒屋先生のブログをご覧ください。

今朝は寝坊をしてしまいました。年を取ったなぁ~。

2008年8月26日火曜日

夜景ならミナトミライ

ここはどこ? すぐにわかる人は・・・普通です。

ミナトミライです。観覧車です。都筑区のではありません。

今夜は、こんな景色が見えるところで楽しい会食。

木がつく方林がつく方と、そして松がつく方。自分だけ木がつきません。でも、あすなろですから。木がついていますから。木つながりということで許してください。

楽しい会食の模様はそれぞれのブログできっと話題がでますから、ほかもチェックしてみてください。

飲酒ブログは短めをもってよしとする、というわけでおやすみなさい。

暑い、暑いと思っていたら急に涼しくなってきて、夜などもだいぶ寝やすくなりました。でも、今週は天気がいまいちで、むしむしした感じは相変わらず。

それでも季節は確実に歩を進めていて、よーく周りを見てみると秋の気配が見つかったりします。

栗拾いというと、幼稚園の時だったか、小学生の時だったかやったことがあるけれど、ずいぶんと忘れていたことかなと思います。

自分は栗ご飯とモンブランはあまり好きではないのですが、いわゆる天津甘栗は大好き。昔、渋谷駅のハチ公口、スクランブル交差点を渡ったところに薬屋さんがあって、その店先で大きな丸い釜を回して作っていました。

最近の袋にパックされたものは、なんかちょっと違うという感じですよね。あー、食べたくなってきた。

2008年8月25日月曜日

2012年ロンドンに向けて

北京オリンピック、閉幕しました。

自分は、最近のオリンピックの開幕式はショートしての要素が多すぎて、派手すぎて好きではありません。

一方、閉幕式では選手がばらばらにフィールドを埋めて、みんなで戦ってわかり合って称え合うという感じが単純にいいなぁ、と思うわけです(ベッカムはいいけど、なんでジミー・ペイジ?)。

今回は中国国内の政治問題が絡んだりして、いろいろ心配されましたが、とりあえず会期中は中国の面子が潰れるような事件・事故もなく、本当によかったですね。

でも、世界中の目が北京に集まっている間に、グルジアやパキスタンの問題が出てきたり、スペインでは大きな飛行機事故が起きたり、世界では様々なことが進行しています。

今回の大会で良い成績、悪い成績、予想外の成績などいろいろな結果を日本にもたらしましたが、選手の皆さん、そしてこれからオリンピックに夢を持つ若者は2012年のロンドンに向けてスタートです。

4年後にも、いろいろな楽しみを期待しています。

2008年8月24日日曜日

Eric Clapton / 461 Ocean Boulvard

1974年です。もう34年も前のアルバム。1944年生まれのクラプトンは当時30歳。こっちは高校生。ばりばりのロック少年。

クラプトンは仲良しだったジョージ・ハリソンの奥さんパティと不倫関係になって、いとしのレイラを発表。しかし、その後は私生活はクスリ漬けでドロドロ。

でもって、カリフォルニアで再起一発、起死回生のアルバムとして復活したのがこれ。さらにワールド・ツアーを敢行し、初来日もはたしました。

コンサートではチャップリンのスマイルをアコースティック・ギターで歌うという、意外な始まり。でも、これがまた良かったんですよね。日本公演の模様は残っていませんが、この復活ツアーの音源は部分的にはこれまでにも発表されていました。

数年前にこのアルバムのスペシャル・エディション2枚組CDが発売され、当時アルバムには収録されなかったスタジオ録音数曲とともに、もう1枚のCDは当時のライブが丸々収録されたんです。もう。これだけで買い。あの初来日のステージが脳裏に蘇ります。

アルバムはレゲエを大胆に取り入れ、とにかく歌うこと、ギターを弾くことがこんなに楽しいということを、万人に語りかけた傑作となりました。今でも、たまに無性に聞きたくなるんですよね。

医療崩壊へのシナリオ

小泉政権のもと「改革」という名前の元、いろいろな変革が行われたらしい。報道されいろいろな討論が行われたものもあれば、ほとんど知られていないものもあるわけです。

国民の生活に密接に関係するはずの医療は、郵政と道路という2大問題の陰に隠れてしまった代表的な問題でした。そして医療改革は、まさに医療崩壊へのシナリオだったといえます。

国の方針の基本は、高齢者が増えて医療費が増大し国民の負担が増えるという理由で、医療費を極限まで抑制するというものです。そして、もう一つ、医療問題が起こる原因となる医師のモラルや大学を中心とした縦社会を修正するために、研修医システムの再構築でした。

そもそもの変革のスタートは、2000年の介護保険制度の導入からと言えるかもしれません。高齢者医療費を削減するために、高齢者の医療費に含まれていた「介護・在宅」の部分を切り離し、医療費から独立させることで見かけ上は医療費を減らすことになったのです。

介護・在宅は高齢化社会では絶対に必要なものですが、ここですでに郵政問題の時のような論法が展開されていました。介護保険制度に反対するものは高齢者の介護にも反対するのだな、というような問題をすりかえてしまうような議論が行われていました。

そして、結局きちんとした制度ができていないのに見切り発進でスタート。様々な混乱の中から、それでも現場では何とか仕事をしてきました。

しかし、医療と介護を別枠にすることには、根本的な無理があります。医療が必要なときに介入することが大変難しくなってしまいました。それでも、やっと形が整ってくると、当然金がかかる。介護保険の肥大化(というか、実効化)が問題になり、政府は今度は介護保険の削減に走り出しています。

医療費の削減は、いまさら言うまでもありません。批判を恐れずはっきり言えば、もともと国が決めている診療報酬は、まじめに医療を行うほど赤字になっていくような額です。各医療機関は、いわゆる「企業努力」によって何とか経営を保っていたのです。

国民が期待する高度の医療を行うほど赤字になっていくわけで、そのしわ寄せは医療機関で働く者にかかってきていました。「人のために」働くという大義名分のもとに、自分も労働法などとは無縁の世界で成長してきました。

しかし、どんどん削減された診療報酬の中ではもはや経営は成り立ちません。「医療崩壊」のはじまりです。さまざまな医療機関が倒産し始め、悲鳴を上げ始めましたが、これまで政府はむしろ医療費が減ることを歓迎するかのように削減を続けています。

研修医システムの改革は、さらに医療崩壊を加速させる要因にあげることができます。表面的には「使える医師を増やし、研修医の人権を尊重する」ためですが、すでに確立されていた大学の封建的な縦社会が完全に崩れてしまいました。

もちろん最良の社会とは言えませんが、あまりに急速な秩序の崩壊によりまともな対応がとれない大学がほとんどでした。医学部は最新の医療知識を集約して普及させる、そこから育った人材が地域医療を支えていくという流れは妥当だと思います。

新研修医システムの結果、大学病院での厳しい労働が嫌われ大学で研修しようという若者は激減。大学からの派遣に頼っていた一般病院は医師確保ができなくなり、入院ベッドを削減、科を閉鎖、そして病院自体も倒産まで追い込まれているのです。

特に医師や病院が少ない地方では深刻です。さらに医師のサラリーマン化も始まっており、もはやリスクを背負うことはありません。

そこへ2002年の慈恵医大青戸病院事件と東京女子医科大学人工心肺事件、2006年の福島大野病院事件、さらにHIV問題や肝炎問題など様々な医療に関するnegativeなニュースが世間を賑わしたことが、追い打ちをかけました。

もちろん、医師の側も問題があるわけですから、このような政策を単純に批判するわけにはいきません。しかし、昨年からだめ押しのように後期高齢者医療制度がスタート。さらに今年からは体全体をみるための基本検診にかわりメタボリック症候群だけに絞った特定検診という具合に、まだまだ「医療崩壊」を続けるつもりのようです。そしてますます増えるのは「萎縮医療」というのが現実です。

この1週間に、大野病院事件の判決、西濃運輸保険組合解散、さらにちょっと縁がある千葉県銚子市の市立病院閉鎖というニュースが立て続けにありました。

さらに、本日は厚生労働大臣が研修医制度の見直しを発表、そして介護の有資格者の就職を国が援護するという話まで出てきました(ただし低賃金で重労働だから資格を取っても仕事に就かないわけで、介護報酬を引き下げるばかりの現実では・・・)。

まずは国民の生活を安定させることが政府の基本的な仕事であるならば、今の日本の政治家はどこを向いているのでしょうか? 少しは何かがおかしいということに気づき始めたのでしょうか? 間に合うといいのですが。

この手の話題は書くことは、初めてではありませんし、見方はいろいろあり何を正論とするかは価値観の違いも大きく影響します。少し自分の考え方を整理しておきたくて書きました。

2008年8月23日土曜日

Let's 医師会 8月

今月はお盆休みを取るところが多く、医師会も小休止。毎週の会議も先週と今週は休みでした。そんなわけで、あまり話題はありません。

今月やったことは、近くの大学病院との連携協議。自分は防災担当なので、南関東の大地震が起きたときの実効力のある救急医療活動をいかに地域に提供するかが課題です。

ちょこちょこ地震が起きるたびに、びくびくしてしまいます。というのも、横浜市と横浜市医師会は阪神大震災の直後にあわてて協定を結び、医療教護拠点での活動を約束していますが、実際問題として医師や看護師が集まってくるのかはなはだ心許ない実情があるのです。

その理由はDr.Mのように自宅で診療所を開設している医師は少なく、自分のようにビル診療をしている医師が多いため、地震が起こってもすぐに活動に入れるわけではありません。

医師には専門がある程度あるわけですから、救急医療に慣れている者もいれば、そうでない者もいます。

自分は開業してからも、大学などでの手術を続けていたり、幸か不幸か当直のバイトを続けている関係で、それなりに知識と経験を維持しているつもりですが、そんなのは特殊な方ではないかと思います。

また医療救護拠点のハードウェアについても、十分に整備されているとはいえません。そこで、基幹病院との連携協議や、区役所との協議が定期的に行われて、実質的な意見交換をしているわけです。

一般の方は、救急医療と災害医療とが違うということを意外とご存じないと思います。災害医療は、怪我人すべてを助けるものではありません。簡単に言えば、助からない人を選別して助かる人だけを治療するのが災害医療です。

一度に多くの怪我人が発生した場合、すべての怪我人を順番に治療していっては膨大な時間がかかり、助かる人も助からないという事態になります。

ですから、大きな病院はいかに軽傷者を入れないようにできるかが最大の課題になるのです。これは、表面的には冷たい感じがするかもしれませんが、きわめて合理的な考え方だと言わざるを得ません。

そこで、大事なのが医師会の仕事です。自分たちは、大きな病院に転送すべき怪我人を迅速に選別することと、大きな病院での治療の対象からはずれた怪我人への対応をする必要が出てくるのです。

幸い、都筑区・青葉区付近は地盤が安定しており、街も新しいため比較的被害は大きくならないとの予想があります。阪神大震災並の震災が来ても火事さえ起こらなければ、死者は100人未満との予想です。

しかし東側の地域、特に東京湾沿いの地域はかなりの被害が予想されていますので、これらの地域からの怪我人などへの対処も考えておかなければいけません。地震は明日起こるかもしれません。