2022年5月25日水曜日

ドルチェの話


ドルチェ(dolce)は「甘い」という意味で、ワインに使う場合は甘口を指します。イタリアのコース料理では、メイン・ディッシュ(secondo piatto)の後に登場するデザートがあり、これらを単にドルチェと呼んでいます。

どうも自分がデザート的な物にはあまり興味が無いので、こればっかりは頑張っていろいろ作ってみようと思わない・・・のですが、まぁ、いろいろ見ていくとこれなら簡単に作れそうだと思ったのでトライしてみました。

・・・というのが、パンナコッタ(Panna cotta)。それは何のこった? というダジャレがあったように思いますが、「調理したクリーム」という意味。日高シェフもドルチェの王道として紹介してます

日高シェフは全部生クリームで作っていましたが、さすがに全部はしんどいので半分牛乳で作りました。バニラ・ビーンズは無いので、バニラ・エッセンスで代用。レモンの皮で香りを付けますが、これもレモン果汁を使いました。

生クリーム200mlと牛乳200mlを沸騰させないように火にかけます。バニラ・エッセンスをちょちょいと入れ、レモン果汁大さじ1杯くらい。そしてグラニュー糖を72gなんですが、実はその通り作ったらかなり甘い。50gくらいで十分かなと思いました。

温まったらゼラチン・パウダーを4.4g・・・なんですが、これもそのままだと本当にゼリーになってしまうので、3gくらいがとろんとした感じで丁度良いと思いました。容器に入れて冷蔵庫で数時間冷やすと出来上がりです。今回は苺をグラニュー糖で煮たソースをかけてあります。ミントの葉を飾れば完璧。

ドルチェとしては、たぶん最も有名なのがティラミス(Tiramisu)でしょう。かつて、空前のティラミス・ブームというのがありましたが、実はあんまり食べたことが無い。日高シェフのティラミスの紹介を見ると、材料も多いし手間もかかるしすぐにはできないのでとても作る気になりませんでした。ごめんなさい。

ジェラート(gelato)という言葉も良く知られていますが、「凍った」という意味で、まさにアイスクリームのこと。他にも手の込んだものがいろいろあるようですが、一方で単純なフルーツだけというのも珍しくない。自分で用意するならこれが簡単でお勧めです。


2022年5月24日火曜日

ナポリタン


イタリア人からすれば、究極のなんのこっちゃイタリアンが「ナポリタン」ではないでしょうか。

日本では、昭和の時代から最もよく知られた洋食として認知され、自分もこどものときから今に至るまで大好きなスパゲッティのメニューの一つです。スパゲッティと言えばイタリアの食材ですから、当然ナポリタンは何の疑問も無くイタリア料理と思っていました。ところが、実はこれは日本独自のものであり、イタリアにはこのようなパスタの食べ方はありません。

しかし、歴史的にも人気があるので、いろいろなイタリア料理の日本人シェフ達も無視するわけにはいかず、それぞれがこうすればもっと美味しくなる「究極のナポリタンのレシピ」を公開していたりします。

ただ、やはり自分としてはこどもの時に、デパートの最上階の洋食レストランなどで食べた、ごくごく普通のケチャップまみれのナポリタンが食べたくなる。YouTubeのファビオ飯で紹介されているものは、こだわりの作り方ながら納得のシンプルなもので、美味しいケチャップが手に入ったので(・・・ってか、実はこれもファビオ飯を参考に手作り)、早速真似してみました。

スパゲッティは太目のものが適しています。今回は2.0mmです。茹で時間は9分となっていますが、珍しくボイル・オーバー、つまり1分ほど茹で過ぎにします。時間になったら、ザルにあげて冷ます。ここからして、もうイタリア料理のパスタの基本から大きく外れたありえない扱い方です。

これは、ひとえにパスタの麺にもちもちした感触を出すためで、洋食屋さんでは冷蔵庫で一晩寝かせて翌日に調理するくらいのことをしたりします。

具材は王道のスライスしたタマネギ、ソーセージ、マッシュルーム、ピーマン。オリーブ・オイルでソーセージから炒め、次にタマネギ、そしてマッシュルームという具合に順番に入れ、最後のピーマンに軽く火が通ったら、ケチャップをたっぷりと合わせて冷めたパスタを投入します。

市販のケチャップの場合は、少し煮詰めて酸を飛ばしてからパスタを入れますが、自家製ケチャップで酸はきつくなく濃厚なのでその工程は飛ばします。スパゲッティにケチャップが絡んだら、混ぜずにそのまま強火で1~2分放置。これは麺を焼くという工程で、ナポリタンの独特の美味しさの秘訣ですが、これもイタリア人からすればありえない調理法です。

つまり、ナポリタンは麺はスパゲッティで、ソースがケチャップの「焼きそば」ということ。デュラム小麦の硬質のアルデンテが知られる以前は、日本のスパゲッティの麺は柔らかいもっちりとした食感が普通だったんですよね。最後にバターを少々入れ、溶けて全体に混ぜたら出来上がりです。

実はドリアを創作したのと同じ頃に、横浜ホテルニューグランドで「スパゲチ ナポリテーイン」として始まったらしい。戦後に進駐軍と共にケチャップ文化が入って来たことで、急速に洋食レストランや一般家庭に広まったと考えられています。

確かに、本家のパスタとは一味も二味も違うかもしれませんが、これはこれでめちゃくちゃ美味しいことには変わりありません。タバスコとかをちょっとかけて食べるのがスタンダードです。

2022年5月23日月曜日

ケチャップ


イタリア人からすれば、なんのこっちゃイタリアンの調味料が「ケチャップ」です。

ケチャップ ketchup は、もともと東アジア由来の魚醤(例:ナンプラー)とかの呼び名だったようですが、それがヨーロッパに渡りトマト・ベースのものが作られ、さらにアメリカでは世界のケチャップの半分を消費するまでになったらしい。

トマト・ソースのバリエーションなので、イタリア料理関連で使うイメージがありますが、似たような味になるソースを使うことはあっても、イタリア料理でケチャップをそのまんまに使うというのは極めて珍しいのだろうと想像します。

日本ではいわゆる洋食レストランの定番で多用され、オムレツにはほぼ必ずかけてあるし、チキン・ライスの味の決め手もケチャップです。もちろん、一番知られているのはナポリタン・スパゲッティですよね。

さて、何かの料理をしていて最後の味付けにケチャップを使おうと冷蔵庫を開けたら・・・ありゃりゃりゃ、ケチャップが無いじゃん、という経験は誰しもあるもの。そんな時、材料さえあれば自家製で簡単に作れます。

必要な物、何と言ってもトマト缶。普通は1個に400gで、できれば裏ごししてあるものが便利。タマネギ、普通サイズの物1個。ローリエの葉、2~3枚。シナモン・スティック、1本で、無ければシナモン・パウダーで可。ナツメグ、クローブ少々。ワイン・ビネガー、50mlくらい。そして、塩、胡椒、砂糖です。お好みでニンニク。生トマトを使う場合は、できるだけ完熟したものを用意し、水分が多いのでしっかり煮詰めましょう。

鍋にオリーブ・オイルを入れて、薄めにスライスしたタマネギに軽く塩を振って弱火で炒めます。続けてスパイス類と砂糖を入れて、全体になじませたら、ワイン・ビネガーを入れ強火にして酸を飛ばします。シナモン・パウダーの場合は、けっこうたくさん入れても大丈夫です。

次にトマト缶の中身を鍋に入れ、30分程度弱火で煮込みます。ここで味を見て、塩・砂糖を追加して味を微調整。そして、ローリエ、シナモン・スティックは取り出します(大事!!)。ブレンダーがある場合は、鍋の中で玉ねぎを完全に粉砕してしまいます。無い場合は、ざるなどを使って潰しながら裏ごしします。生トマトから作っているなら、種と皮を取りの除くために、必ず裏ごしをします。

お~、普通にケチャップの味だ、と感激します。しかも、塩味・酸味は自分の好みに仕上げることができるので、いろいろな料理への応用が効きやすい。保存は市販品のように長期間というのは難しいので(冷蔵庫でせいぜい1週間)、冷めたらジップロックのような袋に入れて冷凍がお勧め。必要な時に必要な分量を割って溶かして使いましょう。

2022年5月22日日曜日

ポーク・ピカタ


イタリア人からすれば、なんのこっちゃイタリアンの一つが「ポーク・ピカタ」です。

日本の洋食屋の定番の一つですが、これはイタリア語ではピッカータと呼ばれている料理の日本独自バージョン。オリジナルのピカタは、小麦粉をまぶした仔牛のエスカロップ(薄切りを叩いてさらに延ばしたもの)をバター焼きにしてレモン・ソースで食べるというもの(Piccata al limone)。

どこでどうなったのか、日本では仔牛が豚になり、アメリカではチキンになって、しかも卵を使った衣がつく料理に変貌しました。

簡単に言うとパン粉の衣が無く、揚げずに焼いたカツという感じ。当然、その分調理は楽になって、食べてもカロリーは少なめなのが嬉しいというところ。

普通は薄めのロース肉とかがよく使われるように思いますが、今回は挽肉を使いました(ちょっと別の料理用に挽肉買い過ぎてたので・・・)。

ハンバーグよりは薄くしたいので、塩・胡椒を振ってよく練って平たく延ばしたら、後は手の上で作業。表面に薄力粉を振ってなじませ、といた卵をぺちゃぺちゃと塗ります。

後はフライパンで焼くだけ。強火にすると、卵の皮が焦げてしまうので、ゆっくりと弱火~中火で焼き上げていく感じです。

まぁ、普通に夕飯のおかず風でOKですが、和製洋食ということを考えるとケチャップなんかをかけてもいい感じです・・・が、今回は冷蔵庫にケチャップを切らしていたのでパス。

2022年5月21日土曜日

海老ドリア


イタリア人からすれば、なんのこっちゃイタリアンの一つが「海老ドリア」です。

実は、海老ドリアは日本の純国産の洋食屋定番メニュー。ドリア(doria)は、ピラフ(バター・ライス)の上に、ホワイト・ソース(ベシャメル・ソース)を乗せてオーブンで焼いたもの。戦前に横浜ホテル・ニュー・グランドが発祥とされているというのは有名な話で、別名をライス・グラタンといいます。

イタリア人が主食たるパスタの一つマカロニで作るなら、日本では主食の米で作るというのは、自然な成り行きなのかなと思います。ネットで探すと、少なくとも現在はイタリアにもライス・グラタンがあるみたいですが、日本のドリアのようにソースと米が分離していません。

海老ドリアを、あえてイタリア語にすると「Riso gratinati con gamberi (海老入り米のグラタン)」というところでしょうか。

作り方は簡単。まず、バター・ライス作り。フライパンに適量のバターを焦がさないように溶かし、みじん切りタマネギを入れて炒め、続いて食べたいだけご飯を混ぜて、塩と胡椒で味付けします。ここに、ピーマンでもニンジンでも、あるいはマッシュルームとか、ベーコンなど好きなものを入れてもOK。できたら耐熱容器を移しておきます。

ホワイトソース作りは、溶かしたバターで小麦粉をゆっくり炒め、牛乳を入れてよく混ぜるというのが基本の作り方。バターと薄力粉と牛乳の割合は1:1:10です。無塩バターの場合は、追加で塩を少々入れます。

フライパンでムキエビ(冷凍もの可)とみじん切りタマネギをバターで炒め、ホワイト・ソースを加えてひと煮立したら火を止め、パルミジャーノレッジャーノ・チーズを適量振り入れよく混ぜる。これをバター・ライスの上にかけて、さらに上からパルミジャーノレッジャーノ・チーズを好きなだけ振りかけます。

オーブンで200゚cで10分程度焼いて、表面に焦げ目がついたら完成です。オーブンが面倒ならトースターでもOKですし、バーナーで表面だけ炙って焦がすというのも時短法としてはあり。

まぁ、ちょっと懐かしいような感じもして、普通に美味しい。残り物のご飯があって、バターライスにするのさえ面倒くさい時は、ホワイトソースで全体を和えてしまうという究極の方法もあったりします。

2022年5月20日金曜日

アスパラガスとトマトのスープ・スパゲッティ


イタリア人からすれば、なんのこっちゃイタリアンの一つが「スープ・スパゲッティ」です。

本場イタリアにも、スープの中にパスタを入れるというレシピはあることはあるのですが、それはほぼショート・パスタであって、スパゲッティのようなロング・パスタはソースを絡めてフォークで食べる物というのが常識。

どこでどうなったのか、そのいわれはよくわかりませんが、何故か日本では、スープの中にスパゲッティが浮いているというメニューがけっこう普通に存在します。

これって、日本人に馴染み深いラーメンのことを考えれば、いかにもありそうな違和感のない料理かもしれません。うどんとラーメンとパスタは、多少の違いはあってもほぼ小麦を練った麺というところでは一緒です。

けっこう昔からあって、自分もよく利用したアサリ・コンソメのレトルトは結構美味しい。ただ、少しだけ不満なのは、比較的サラっとしたスープなので麺にからまないというところ。つまり、スパゲッティとスープが分離した状態で食べている感じです。

さて、一度スープ・スパゲッティを作ってみようかと思い立って、どんな味にするか考えてみた結果はこれ。ラーメンみたいにスープたっぷりすぎてもどうかと思い、少な目のスープで、ある程度濃厚さがあってパスタにもからみやすいものにしてみました。

題して「Zuppa di asparagi e pomodoro con spaghetti (スパゲッティ入りのアスパラガスとトマトのスープ)」という感じでしょうか。

フライパンにオリーブ・オイルにニンニクみじん切り、香りがったったらスライスしたタマネギとマッシュルーム、そしてアスパラガスを入れて炒めます。塩胡椒でだいたいの味を決めたら、ここでトマト・ソース入れてもいいんですが、フレッシュ感が好きなので生トマトみじん切りを入れてしばらく煮ます。

ここでスープのベースになる大事な「調味料」がソフリット。タマネギ・ニンジン・セロリの香味野菜三兄弟のみじん切りを、ペースト状になるまで炒めて冷凍しておいたもの。好きなだけ入れればいいんですが、今回は一人前で大さじ1程度の目安で使いました。

スパゲッティはある程度ほぐれたら、すぐにフライパンに移し、かなり多めの茹で汁も加えて、スープの中で茹で上げていく感じ。スープと麺が分離した感じにならないように、しっかりとパスタにスープを吸わせるのが目的。今回は8分茹での1.7mmに対して、5分くらいで移しています。

お皿というよりは、深めのボールに移してフォークとスプーンでいただきます。旨味の出る野菜ばかりを使用しているので、下手なコンソメの素とか入れるより、超絶に美味しい出汁が出ています。麺をしっかり煮たことと、煮崩れたトマトのトロミ感もあって、スパゲッティにスープがしっかりとまとわりつく感じに出来上がりました。

ただし、わざわざスープ化するメリットは「??」というところで、ダメとまでは言いませんが、積極的に普及するとも思えないというのが正直な感想でしょうか。


2022年5月19日木曜日

甘味の話


パティシエの方など、デザート(イタリア料理ではドルチェ)を作る人には、甘味は重要な味覚です。ただ、一般のイタリア料理では自然の素材の中の甘味は重視されますが、わざわざ甘味料を使うことはめったに無い。

甘味を出すのは、ほとんどの場合タマネギとトマトじゃないでしょうか。タマネギは野菜としては、意外に炭水化物を多く含みます。100gあたりに8.8gが炭水化物です。それらはブドウ糖、果糖、ショ糖などで。いわゆる糖度で表すと9~10度くらいあります。

タマネギを炒めるなどして加熱すると甘くなることは知られていますが、これは加熱によって辛み成分である硫黄化合物が揮発・分解して減り、もとからの糖分が凝縮するために甘さが目立つようになるのです。ですから、正しくは「甘くなる」ではなくて「辛くなくなる」ということ。

トマトに含まれる炭水化物は、100gあたり3.89gで、糖度は5度程度。ただし、フルーツトマトと呼ばれる、甘味を強く栽培したものは8度以上で、中には12度くらいのものもあります。

ちなみに、糖度は大雑把な理解としては100ccの水に砂糖1gを溶かした甘さが1度となり、リンゴは12~17度、バナナは20度程度です。ほとんどの野菜は3度程度ですが、トウモロコシは15度、なんとニンニクは40度近くあります。

一般的に使われる白い砂糖は上白糖ですが、料理がしっとりとした仕上がりになりやすく焼き色が付きやすいのが特徴。欧米では、サラサラとした顆粒状のグラニュー糖がよく使用され、菓子作りにも好まれます。

その他の自然成分を売り物にしているキビ砂糖、てんさい糖、黒糖などがありますが、様々なミネラル分が多くなり、多少やさしい甘さになります。ただし精製度が低いだけで、砂糖として健康上の影響は上白糖と大差ありません。

食事と共に楽しむワインも、もともとの原料はブドウですから、当然糖分は含まれています。ブドウの糖度はおおよそ20度。糖度が少ないと分解して発生するアルコールが減り汚染リスクが高くなり、糖度が高すぎてもアルコールが増えすぎて風味が損なわれます。

イタリア・ワインで、最も甘口とされるDolce(ドルチェ)では残存糖分は50g/L以上とされていて、辛口とされるSecco(セッコ)でも17~32g/Lです。12g/L以下になったものがBrut(ブルット)と呼ばれます。辛口と言っても、それなりの糖分が含まれているので、何にしても飲みすぎには注意が必要ということですね。

2022年5月18日水曜日

ソフリット


ソフリットsoffritto そのものは料理というよりは、イタリア料理で多用される調味料みたいなもの。基本的には、香味野菜と呼ばれる玉ねぎ cipolla、ニンジン carota、セロリ sedano を細かくみじん切り(アッシェ)にしたものをじっくりと炒めたもの。

それぞれの野菜の量はだいたい3:2:1といわれ、これは普通のサイズの玉ねぎ1個、中くらいのニンジン1本、普通のセロリの茎だけの部分で2/3程度に相当します。

西欧の食文化には共通の物が多々ありますが、フランス料理でソフリットに似ているのはミルポワ mirepoix です。ミルポワの方がみじん切りの切り方は大きめ(コンカッセ)で、野菜の比率は2:1:1です。スペインではソフリト sofrito と呼ばれ、トマトも入れたりします。

野菜の持つ甘味や旨味を凝縮させることが目的で、これがいろいろな料理の味のベースとして使われます。例えばボロネーゼ・ソースでは、これにひき肉を加えて煮込みます。スープやリゾットにも使われたりして、レストランでは大量に仕込んで大活躍するのだそうです。

フライパンにオリーブオイルを入れ、切った野菜を入れて炒めていきます。最初に少量の塩を振ることが大事で、この塩の浸透圧の作用により野菜の水分が抜けやすくなります。中火で数分すると、フライパンに水分がたくさんたまって来るのがわかります。

ある程度の水分が蒸発したら、さらにオリーブオイルを追加します。そもそもソフリットという言葉は「揚げる」という意味があり、炒めるというよりは野菜を揚げ焼きにするというのが正しい。

さらに数分すると、次第に周りに脂が溜まって来て、いかにも揚げているという感じになります。この間、野菜を焦がさないように適宜かき混ぜながらなので、あまり手を離すことができません。大量に作るレストランではオーブンを使うこともあるようです。


火を入れて30分以上たつと、全体が飴色のペースト状になってきます。最初のボリュームの半分以下になったら出来上がりで、野菜を切るところからだと1時間近くかかります。どんな料理に使うかによっては、さらに火を入れ続ける場合もあるそうです。

時間があるときに作っておいて冷凍しておき、必要な時に必要な量だけ取り出して使いますので、イタリア料理にはまった人は是非用意しておきたいものです。

2022年5月17日火曜日

コテキーノとズッキーニのパスタ


せっかく作ったイタリア(モデナ)のソーセージ、コテキーノなので、そのまま食べてもいいんですが、何か料理に応用したい・・・と思ってレシピを探すと、ほとんど本場で定番のレンズ豆と合わせて食べるものばかり。

レンズ豆は日本のスーパーで普通に売っているものではないし、そもそも豆料理って日本人的にはやや馴染みが少ない。レシピは、香味野菜三兄弟の玉ねぎ、ニンジン、セロリのみじん切りを炒めてレンズ豆と一緒に煮こむというのが基本。

日高シェフのYouTubeチャンネルでは、パテだけ使う簡易サルシッシャがしばしば登場しています。サルシッシャはソーセージに限らず腸詰という意味ですが、生ソーセージの中身をばらして料理に使うというところから、そもそもケーシングの必要が無いということのようです。

どちらにせよ、コテキーノは登場していないのですが、テキストのほうにサルシッシャを使ったパスタが紹介されていたので、それを応用してみました。

題して、Spagetti con cotechino e zucchine。

鍋で湯を沸かし始めます。塩は1%で入れます。沸いてきたらパスタを入れますが、今回使用しているのはヴォイエロの1.9mmで指定茹で時間は10分間です。

パスタを茹で始めたら、フライパンにオリーブオイル、ニンニクみじん切りを入れ火をつけ香りが立ってきたら、コテキーノのスライスを入れて炒めます。マッシュルームも使いました。だいたい炒まったら、生クリームを50mlくらい入れて火を止めます。

茹で始めて7分たったら、スライスしたズッキーニを鍋に投入して一緒に火を通します。そして8分たったところで、指定時間より早くにパスタとズッキーニをフライパンに移し、茹で汁も少し加えて、フライパンの中で茹で上げていきます。

味を見て足りなければ塩を追加して火を止め、パルミジャーノレッジャーノ・チーズをお好みの量振りかけ、よく混ぜ合わせたら完成です。

生クリームは肉の臭みを和らげてくれるので、パッンチェッタなどを使う時も相性が良い組み合わせです。ズッキーニも軽く茹でた柔らかい食感が、コテキーノのほとほどの固さと調和しました。今回の自家製コテキーノは塩味が弱かったので、このようなレシピでは丁度良い感じです。

2022年5月16日月曜日

コテキーノ


コテキーノ Cotechino は、イタリア、特にモデナの地域でポピュラーなソーセージの名称。

モデナはボローニャのすぐ近くですから、我々が何となく知っている物としては「ボローニャ・ソーセージ」に近いのかもしれません(細かい製法は厳格に区別化されています)。

本来は、当然ケーシング(羊の腸)の中に詰めて作るわけですが、特に豚の足の中身をくり抜いて皮だけ残した筒にパテ(ソーセージの中身)を詰め込んだザンポーネというものも人気だそうです。

特徴は、直径が太目でスライスがコインに似ていることから、同じく縁起物のレンズ豆と一緒に年越しの料理として定番らしい。普通に温めるだけの完成品として売られているので、本場のネットを探しても、コテキーノそのものを作るという情報はあまりありません。

日本でも、ソーセージそのものを一から作るというのは、どちらかというとマニア向けで、キャンプなどにはまったお父さんの趣味みたいな扱い方をよくされています。こどもが小さいときにはキャンプによく行ったので、自分もその口の一人。

実際、やってみるとパテを作るのはいいんですが、一番大変なのは羊の腸とか人工物のケーシングの中に詰める作業。けっこう力仕事で、空気が入ったりしてうまくいかないことが多いし、ボイルすると破裂したりもよくしました。

YouTuber料理人のChef Ropiaさんが、ケーシング抜きの簡単な方法を紹介しているのを見つけたので、これならできそうと思って早速あるもので試してみました。

豚ひき肉 400gくらい。塩 2gくらい。黒胡椒は自分が好きなのでたっぷり。セージ多めで、ナツメグ、オレガノを少々。Ropiaさんは、他にニンニク、バジル、赤ワインなども入れています。赤ワインは開いて余っているのが無かったので省略。砂糖を少し加えるレシピも散見します。

まずはパテ作り。とにかく大事なのは温めてはいけないということ。手の温もりさえも注意が必要というところ。冬のキャンプで作るのはいいんですが、屋内で作るときは大きいボールに氷を入れて、その中の小さなボールの中で作ります。

材料を全部入れて、とにかく捏ねる、捏ねる、捏ねる・・・5分くらいやっていると粘り気が出てきてOKになります。フードプロセッサーを使うのもありですが、回転の熱もバカにならないらしいし、そもそも後片付けが大変。冷たくて手がしんどいのですが、ここはグッと我慢のしどころ。

さて、これを成形するわけですが、ケーシングのかわりに、Ropiaさんは広げたラップの上に薄切りにしたパンチェッタを並べていましたが、一般家庭では手に入りにくい大きさなので無理(薄めのベーコンを勧めています)。

そこで、生ハムを使いました。今回はスーパーで普通に売っているもので、100g入りを全部少しずつ重なるように並べて丁度良い感じ。ラップごと、ぐるりとパテを包むようにして両端をしっかりと輪ゴムで止めます。

続いて、ビニール袋の中に密閉し、お湯の中で加熱します。ここで大事なのが温度。約70゚cをキープすること。そんなことを言われてもと思うかもしれませんが、沸騰した高温だと挽肉がバラバラ、ボソボソ、旨味が出てしまったカスカスの味になってしまいます。鍋の底に小さい気泡ができるけど、湧き上がってくる気配がないくらいがだいたい70゚cです。

加熱する時間は、直径3cmくらいなら1時間。今回は太くなって5cmくらいあるので、2時間くらい加熱しました。こんなもんだろうと信じて時間になったら引き上げて、中身を出し表面の水分を拭きとったら冷蔵庫でしばらく寝かせて出来上がりです。

生ハムはきれいに表面を覆っていて、剥がれる感じがありませんでした。断面も・・・お~、いい感じの色加減です。食べてみると、まさしく(胡椒のきいた)ボローニャ・ソーセージの味。ただ塩気は少な目。生ハムが塩辛いので少な目にしたんですが、倍の4gくらいは入れてもよかったかもというところ。

よけいなものが入らない、(塩気も少ない)体に優しいコテキーノが完成しました。これもまた絶好のワインのお供になりますね。

2022年5月15日日曜日

ポルペッテ・アレ・パターテ


ポルペッテ・アレ・パターテ(Polpette alle patate)は、「じゃがいもでミートボール」という意味。まぁ、自分たちが知っている一番近い料理はコロッケかもしれない。

まず、じゃがいもを茹でます。ただし、毎度のことながら、じゃがいもを茹でるというのはけっこう大変。そこで、ビニール袋にじゃがいもと水を少々入れて、デンシレンジでチンしてしまうという時短技を使います。

やり過ぎると、じゃがいもが縮まって固くなってしまうので注意。大きめのじゃがいも一個だと、500Wで5分くらいでしょうか。芯まで熱くなるので、安直ですが効果的な方法です。

大きめのじゃがいも1個をチンしたら、皮をむいて潰しますが、多少の塊は残ってもOKです。そこに混ぜていくのが、じゃがいもと同じくらいの量の牛挽肉、割りほぐした卵1個分、パルミジャーノレッジャーノ・チーズ10gくらい、お好みの量のイタリアンパセリのみじん切り。

さらに味付けに使うのが、いわゆるみじん切りにしたボローニャ・ソーセージ。量が足りなければ塩を多少追加して、胡椒を振ったら全部をよく混ぜ合わせます。見た目は牛挽肉多めのコロッケの中身というところ。

ミートボールですから、直径数cmくらいの団子状に丸めたら、周りにパン粉をまぶしてフライパンで焼いていきます。何度か焼く面を変えて、全体がキツネ色になったら出来上がりです。この量でだいたい10個分くらいになります。

衣をつけて揚げるわけではないので、比較的簡単に仕上がるところが嬉しい。チーズとイタリアンパセリの香りが加わって、普通のコロッケよりもイタリア感がましましです。一口サイズなので、ちょっとしたワインのお供にも合うし、普通にご飯のおかずでも大丈夫です。

2022年5月14日土曜日

銀鮭のムニエル


ムニエル(meunière)は、フランス料理の魚の切り身の調理法で、小麦粉をまぶした後にバターでじっくり焼き、レモンを入れたバター・ソースをかけて食すのが基本。同じように焼くのですが、高温でいじらずに短時間で火を入れるのはソテー。炙り焼きする時に、ゆっくりじっくりがローストで、短時間に焦げ目をつけるのがグリル。

ムニエルはもともと「粉屋のおかみさん」という意味から来ていて、鮭を使う場合はSaumon à la meunière (粉屋のおかみさん風の鮭)ですが、イタリア語なら salmone alla mugnaia となって、イタリア感を出すためにちょっとアレンジします。

ちなみに・・・ここでクイズ、その1。魚には赤身と白身がありますが、鮭はどっち?

正解は白身です。ネットを調べてもらえば詳しく説明されています。

クイズ、その2。一般に手に入るサーモンは、主にアトランティック・サーモン、ノルウェイ・サーモン、トラウト・サーモン、あるいは銀鮭です。鮭は海水魚、それとも淡水魚?

正解は、基本的にサーモンは淡水魚。基本的に栄養を摂取しやすい海で成長し、産卵のために川に戻る。トラウト・サーモンは、正しくはサーモンではなく、ニジマスのこと。

さて、それではレシピです。今回は皮付の生の銀鮭で、全体に塩胡椒を振ります。塩鮭の場合はできるだけ塩辛さの弱い物で塩を振らずに使いましょう。薄力粉を全体に均等にまぶしておきます。

フレンチならたっぷりのバターを使って、アローゼ(上からスプーンなどで油をかけながら火を入れる調理法)しながら、ゆっくり焼いていくのですが、バターを焦がしてしまうと美味しさが半減するので、まずはオリーブオイルで焼き始めるのが素人的にはおすすめ。

冷たい状態から、少しずつ熱くして弱火~中火で調理するのがポイント。また皮の下の脂が臭みにつながりやすいので、最初に皮面をしっかりパリっとなるまで焼くことが大事。ある程度火が入ったらバターを追加して焼き上げます。

さて鮭を取り出したフライパンに、生クリーム少々、切ったトマト、イタリアンパセリのみじん切りを入れて温めます(白赤緑のイタリアン・カラーです)。鮭に小麦粉をまぶしたので、自然とトロミが出て美味しいイタリアンなソースになります。

皿にアスパラガス、ほうれん草などを付け合わせにして鮭を置き、ソースをかけてお召し上がりください。

2022年5月13日金曜日

旨味の話


味覚には基本の、塩味・甘味・酸味・苦味・旨味の五味があります。これらは、人が生物として生きていくことに必要な機能と考えられていて、塩味はミネラル、甘味はエネルギー、旨味はタンパク質をそれぞれ摂取するための判断材料となります。一方、酸味は腐敗物、苦味は有毒物を摂取しないための機能になります。

これらを舌にある味蕾と呼ばれる器官(7000個くらいあると言われています)で感じ取り、脳に信号を送って生命維持に役立てているのですが、危険信号になる酸味や苦味も「美味しさ」のための一手段として活用していくのが料理という「科学」の基本命題と言えそうです。

あれ? 他にも辛味とか渋味とかあるでしょ? というのは、当然の疑問。辛味は温度を感じる神経受容体を刺激するもの。渋味は口腔粘膜のたんぱく質を縮ませることによって感じるものとされ、味蕾で感じているわけではありません。従って、生理学的な味覚からははずれて補助味と呼ばれています。

旨味は、20世紀初めに東京大学教授、池田菊苗によって、昆布出汁から発見されたグルタミン酸が歴史上最初です。続いて、和食の基本の味となる、鰹ぶしや椎茸からも旨味物質が日本から判明してきました。

西洋では、硬水が普及している関係で旨味を抽出する料理文化が根付いておらず、塩味・甘味・酸味などの複合的な感覚と考えられていました。科学的に旨味の受容体が発見されたのは、実は2000年のことで、やっと独立した概念として世界中で認知されたのは比較的最近のこと。

旨味となる物質は、アミノ酸・核酸関連物質・有機酸の3つに大別されます。アミノ酸と核酸関連物質は、和食で特に重視されています。

代表的な旨味成分としては、アミノ酸では、L-グルタミン酸ナトリウム(昆布)があり、実はイタリア料理で多用されるチーズやトマトにも含まれています。アスパラガスにはL-アスパラギン酸が含まれています。

核酸関連物質としては、鰹節に含まれるイノシン酸があり、他の肉や魚も持っているもので、熟成によって増加します。椎茸のグアニル酸も、干すことによって増加します。有機酸としては貝に含まれるコハク酸があり、日本酒にも入っています。

イタリア料理では、旨味の存在を認識していなかったにも関わらず、自然と旨味成分の多い食材を組み合わせることが備わっていたということが言えそうです。トマトソースの魚介料理にマッシュルームを入れてパルミジャーノレッジャーノ・チーズをかけるなんて、旨味のレッド・カーペットです。

1908年に池田によってグルタミン酸が発見されると、その翌年には調味料として発売され、それが「味の素」になりました。いわゆる化学調味料の先駆けですが、当初は石油由来物質から製造していたため、70年代に健康への影響が議論されました。以後、安全性の高い製法に変更され、適切な量では問題ないことがわかっています。

ただし、塩の場合は過剰だと人は塩辛くて食べれないという反応を示しますが、旨味は過剰に摂取すると感覚は飽和した状態になり、さらに増やしても実感できなくなり、健康へも影響するので注意が必要です。

2022年5月12日木曜日

イタリア風イカ飯


皆大好きイカ飯は、イカの胴体にもち米を詰めてだし汁で煮たもの。イタリアにも同じような料理があって、Calamari ripieni と呼ばれています。Calamariはイカ、そしてripieniは・・・なんと、ぬいぐるみのこと。確かにそんな感じです。

日高シェフが紹介しているのは、パン粉をメインに詰めてトマトソースで煮込むもの。ただ、パン粉を詰めるというのは、日本人的にはピンと来ない。どうせなら米の方がしっくりきますので、まさにイタリア版のイカ飯(Calamari ripieni alla "IKAMESHI")にしてみました。

まずは詰め物、つまりピラフなんですが、これを作ります。玉ねぎ、にんじん、セロリ(ブイヨン・セット)とマッシュルーム、ニンニクを細かくみじん切りにして炒めます。塩胡椒で味付けしますが、最後にソースもかけるので、薄めの塩味で十分です。野菜がしんなりしたら、洗った生のお米を入れて、一緒に炒めてオイルをなじませます。

注意するのは米の量。標準的なスルメイカの大きさで一杯に1/2合程度で、たくさん入れすぎない。詰めようと思えばもっと入るのですが、加熱するとイカはかなり縮まり、米は膨らみますので、このくらいは詰め込めると思う半分くらいにしておくことが大事。

イカは内臓を取り出して、軟骨も丁寧に取り除きます。米を少なくするなら、ゲソは細かく切ってピラフに混ぜてもOKです。スプーンで生ピラフを丁寧に詰めていきますが、先端部に入りにくいので割り箸のような細い棒があった方が良いかもしれません。

最後に入り口を爪楊枝でとめておきます。あと、破裂防止と煮込む時のスープが入り込むように、爪楊枝で胴体にたくさん穴をあけておくことを忘れてはいけません。

イタリア料理では、調理したジャガイモやエビなども詰めたりするようですが、たいていはその後はフライパンで焼くか、オーブンで火を入れます。今回は米が煮えないといけないので、日高シェフのレシピのように、トマトスープで煮込んでいきます。

フライパンにイカがひたひたになるくらい水を入れ、普通のトマトなら2個、ミニトマトなら10個くらいを小口に切ったもの、そして固形コンソメスープの素1個、ローリエの葉を2枚を入れて蓋をして中火で10分煮ます。イカの上下をひっくり返して、さらに後10分煮る。イカがパンパンに膨れていて、長さが2/3くらいに縮んでいればOKです。


イカを取り出して、余熱で中の米を蒸らす感じにして休ませておきます。その間に煮汁に少々ワインを追加して、煮詰めていくと自家製イカ風味のケチャップが出来上がります。イカを輪切りにして、ケチャップ・ソースをかけて大変美味しく頂きました。