2018年8月18日土曜日

日常から (8) Wrought Mist

f/8 1/15sec ISO-50 180mm

二子玉川は、モダンな街として「マダム」たちに好まれています。街のおしゃれ感を醸し出す細工は随所にみられるのですが、極めつけはこれかなと。

建物沿いにサンシェードがつけられ、暑い日差しを弱めています。緑もまぁまぁ涼し気でリゾート風。そして、霧が出て・・・って、街中でこんなことはありえません。

この霧は人工的なもので、上にパイプが通してあり、細かい水を噴出して作っているんですね。この区画だけではありますが、なかなか手の込んだ仕掛けで、この酷暑の中では通行する人をホッとさせます。

この写真でのソール・ライター視点は、たぶん赤。比較的色彩の少ない景色の中で、歩いている女性の赤い服がワンポイントの色を加えてくれました。

ソール・ライターのカラー写真では、直接に人を写しているものはあまりない。写っている人は、あくまでも景色を作る要素の一つみたいな感じで、そのかわりひときわ目立つ色彩・・・特に赤色がしばしば視線を固定するのに使われます。

霧をできるだけ多く写真の中に広げたかったので、シャッター速度をかなり長めにしています。その分、ぶれも大きいのですが、人物を無理なくぼかしてくれました。

タイトルは都会での人工的な「作られた霧 (Wrought Mist)」という感じです。

2018年8月17日金曜日

日常から (7) Lattice Sky

f/11 1/80sec ISO-100 52mm

単なる商業ビルの壁面です。1階分が3~4分割されたような、細かい窓で構成されています。半分くらいには、あまりセンスがあるとは思えない木目調のシートが張ってあるようですが、シートのないところは綺麗に青空が反射していました。

青空を格子で区切ったように見たところが面白いと思い、写真に収めてみました。これ以上広角だと、周囲の余分なものが入ってくるし、できるだけたくさんの格子を入れたいので望遠にしてもダメ。やはりこういう時は、ズームで画角を自由にできるのは便利です。

現像作業は、下から見上げているので、上に向かって狭まっていく格子の歪みを修正しています。また、できるだけ普通の青空に見えるように明暗と色調を調整しました。

ソール・ライター風視点としては、被写体を直接ではなく何かを通して見るというところでしょうか。ライターの写真の特徴の一つに、隙間やガラス窓越に見る視点があります。ある種のフィルター効果によって、見えている物を和らげたり、逆に強調したりするということだと思います。

当たり前に広がって注目することもない青空ですが、格子に区切られパズルのように抜けて見えないところがあって、そこに隠れたものを想像するのも楽しいのではないでしょうか。

2018年8月16日木曜日

日常から (6) Blinking

f/8 1/160sec ISO-60 300mm

実は、最近の投稿の流れというと・・・先月、たまプラーザの写真室、AT WORK STUDIOの松岡伸一先生に写真の個人レッスンをお願いしたんですが、当然ながらそも「どんな写真をとりたいのか」という話から始まったわけです。

絶景を撮りに行くわけでもなく、モデル撮影会に出かけるわけでもない。基本は、カメラを持ち歩くだけはして、自分の行動範囲内でのお散歩カメラ、つまりスナップ写真が主たるもの。

そこで、松岡先生が「だったら、こんなのはどう」ということで、教えてもらった写真家の中で、たぶん一番自分の感性に近くて共感できる写真かなと思えたのがソール・ライターだったんです。

でもって、恐れ多くも、ソール・ライターの写真を意識した「日常シリーズ」を続けてきたわけ。とても真似ができるわけでもないのですが、何となくということでお許しを。

渋谷ほどで大きくはありませんが、最近じゃあまり見なくなったスクランブル交差点です。横断歩道の模様の交差だけでも画になる感じなんですが、当然緑の歩行者マークが点滅し始めても渡る人は必ずいるものです。

ですから、タイトルは信号機の点滅ということで「点滅 (Blinking)」です。実際は、ほぼ赤に変わっているから急いでいるわけですけどね。ここに、小さなドラマがあったりしますよね。

何回か信号が変わるのを見ながら、一番ちょうどいい感じだったのがこれ。他人が写真に写る場合、それが被写体の主たるものでなければOKなのですが、明らかに意識的に撮影している場合は個人を特定できない(顔が写らない)ことが求められます。

ですから、そもそもソール・ライターのように撮りたいと思っても、SNSや、このようなブログに使うというのなら現代では簡単にはいきません。カメラを隠して撮影しているわけではありませんので(だいたい一眼レフは隠せません)、盗撮とかいわれる筋合いはありませんけどね。

2018年8月15日水曜日

現像ソフトで星をくっきり

f/3.5 2sec ISO-10000 28mm

これは無料の物も、有料の物もたくさんあって、どれを使うかというのは悩みどころです。現在の自分の様に、NIkonのカメラにNikkorレンズしか使用しないという場合は、ニコンのHPから無料ソフトウェアをダウンロードして使用するのが一番無難。

・・・のはずなんですが、ニコンのRAWファイル全体を管理するためソフトウェアが使いずらいことこの上ない。今どきの広い画面に対して文字が小さすぎて、老眼にはとてもしんどいものがある。

現像ソフトウェアも悪くはないのですが、やたらと細かい操作ができることは確かなんですが、痒いところに手が届かないもどかしさがある。カメラ・レンズを知り抜いている人にはいいのかもしれませんが、もう少しお手軽さもあってもいいと思います。

となると、サードパーティのものに頼ることになるわけですが、実は10年前に最初のデジタル一眼レフ(Sonyでした)を購入した時も、純正ソフトでは無理という事で、Capture Oneというソフトウェアを、けっこうな値段を出して購入しました。

正直、よくわかっている人でないと使いこなせないような高級ソフトで、ほとんど宝の持ち腐れ。しかも、別のPCに再インストールできない仕様だったので、ほとんど使えず終了してしまいました。

結局、RAWファイルの方がいいのはわかっていても、いろいろと扱いやすいJPEGだけで撮った写真をいじることで落ち着いてしまったという経緯があります。10年前は、選択肢もほとんど無かったのですが、その後AdobeのLightroomが登場し、今ではけっこういろいろなものが手頃な価格で使えるようになりました。

当然、Lightroomはデフォルトの地位を獲得しているという状況で、普通に考えればLightroomを使えば、ネットでの情報量もたくさんありますし問題はない・・・んですが、どうしても今のAdobeの月額課金制に納得いかない。

LightroomとPhotoshopの二つが使えて毎月980円ですから、一見安いようですが、年間で1万2千円、何もしないとずっと取られ続けるんですよね。カメラを毎年買い替えるとか、新しく発売になったレンズをどんどん購入していくとかなら、新しい機器に対応するためにそれもありかもです。

ただ、マニュアル的な操作でデジタル現像をするなら、いちいち新製品に対応してなくてもあまり問題はありません。買い切りのソフトウェアは、Lightroomを意識してかだいたい1万円~1万5千円くらいの価格設定で、新製品への対応はしてくれます。

そこで、ほとんどが一定期間試用することができるので、自分の使い勝手に合うのかどうか試してみました。いろいろありますが、現実的な候補として2つ。一つは日本製のSilkypixで、もう一つは海外のDxO Photolabです。

Lightroomは確かに使いやすいし、プロでもアマチュアでも必要な機能がうまくこなれているんだと思います。他のソフトは、気の毒なことにどうしてもLighroomと比較してという感じになりやすい。ただ、住めば都、どんなソフトも使い慣れれば、基本的に出きることはそう大差はありません。

Silkypixは悪くはありませんが、かなり細かい調整項目があって、逆にわかりにくい。DxOは、自分にはちょうどいい感じですが、現在DxOという会社自体が破産?という噂があるようで不安。

いずれも、現像操作はこんなもんでしょうというところですが、デジタル一眼レフから大量に発生したRAWファイルの管理というところでは、Lightroomにはだいぶ差をつけられている感じでしょうか。

現像作業だけでいうなら、実はもう一つ選択肢があって、何とフリーウェアでそれなりに新製品にも対応しているというのがRaw Therapeeという超優れもの。日本語にもほぼ対応できています。無料というが大きな魅力なんですが、インターフェースがやや使いずらいことと、かなり出きる項目がマニアックでわかりにくいところが難点でしょうか。

さて、でもって上の写真なんですが、「満点の星」とか「星降る夜」なんて歌の歌詞に出てきそうな状況は、小さい時に確か日光あたりで見た記憶はあるものの、ほとんど都会で生活しているとまったくの無縁です。

今夜も星は数えるくらいしか見えていないと思いつつも、何気なく夜空に向けてシャッターを切ってみて驚きました。カメラのセンサー感度の向上のおかげなんでしょうけど、肉眼で見えていたよりも何十倍もの星が写りました。


これは、現像操作前の写真。さすがにシャッターを2秒間開くというのは手持ちは辛いわけで、物干し台にしっかり腕を固定しての撮影です。

元の画像に白黒を強調して、彩度を上げて、ノイズを減らしつつ、シャープをかけたものがトップのものですが、だいぶ見やすくなったと思います。

夜でも地上の光が多いし、そもそも近視で乱視の老眼では、空を見上げてもボケボケで星はまったく見えません。カメラのおかげでちょっと感動しました。

2018年8月14日火曜日

日常から (5) Bus Stop

f/14 1/15sec ISO-100 92mm

クリニックのあるビルの下はバス・ターミナルですから、ベランダから下を覗くと、バス待ちの行列が見れます。

ほとんどのバスが始発ですから、座れて安心なんですが、横濱市営地下鉄のグリーンラインが開業してからは、かなり本数が少なくなってしまい、お年寄りはかなり困っている。

だからというわけでもないのでしょうけど、この日は行列は男性サラリーマンばかりで、服装も白黒ばかり・・・あれっ? 赤い人がいる。白黒の中に女性が一人混ざっていました。

これだけ暑いと、ただバスを待っているだけでも大変ですよね。ご苦労様です。

写真的には、一見すると白黒写真。やはり、ワンポイントの色がさすと違いますね。ただ、相変わらず、あわててカメラを向けるので設定がひどい。

たまたま手振れがあまり目立たないからいいようなものの、1/15secはないですね。絞りを開けて、シャッター速度は1/100secくらいにするべきでした。

タイトルは「Bus Stop (バス停)」です。

2018年8月13日月曜日

日常から (4) Scrap

f/4 1/640sec ISO-100 50mm

写真を白黒にすると日常の何でもない光景が、急にアートっぽくなる・・・というのは、勘違いなんですが、でも、勘違いしたくなるところがあります。

ただの廃車が置いてあるだけの場所の写真なんですが、色彩があると、妙に生々しい感じがしますが、白黒にしてしまうと、捨てられゴミと化した文明の利器の哀しい末路みたいな・・・

無機質な鉄くずみたなものなので、あえてコントラストは強めにして、白黒の差を多めにしてみました。シャープな感じで、ディテールはよりはっきりしたと思います。

タイトルは「Scrap (廃車)」です。街撮りスナップアートらしい・・・いや、やはり、勘違いだな。

2018年8月12日日曜日

日常から (3) Red Rain Shoes

f/5.6 1/100sec ISO-800 122mm

ふっと窓越しに見えた光景に、ピピっと来るものがあった時はシャッター・チャンスです。

この時は、お母さんに手を引かれて歩く女の子の赤い長靴が鮮やかでした。やはり、赤い色というのは、ワンポイントとして目立つ色なんですね。

ちょうど前に出た足がまっすぐなところが、こどもっぽく楽し気に歩いている感じがして微笑ましく、これからどこへ行くのかなと想像したくなります。

左端のぼけて入った窓枠は、写した状況がわかるのでそのまま。右端は建物で区切られ、2本の街灯や街路樹のいずれも動かない物ですが、縦方向へ視線を誘導します。

一方、人の動きは横方向。縦横のバランスを考えて、正方形にトリミングしてみました。あわててカメラを構えたので、設定でISOが高すぎで露出オーバー気味でしたので、かなり調整しています。

タイトルは・・・う~ん、「Red Rain Shoes (真っ赤な長靴)」ですかね。

2018年8月11日土曜日

日常から (2) Puddle

f/5 1/100sec ISO-400 85mm

今年は台風の当たり年になるかもという話が、天気予報でよく出てきます。数日前に来た台風はぎりぎり関東地方に上陸はしませんでしたが、それなりの風雨でしたね。

雨が降ると水たまりができますが、いわゆる水鏡で、そこに映っているものに注目してみるのも面白い。

写している地面のタイルと水たまりは同じ距離にあるのに、水たまりに映った木にフォーカスを合わせると、被写界深度の効果が出てボケてくるんですね。

この場合は、前ボケと呼ぶのか、後ボケと呼べばいいのか、どっちなんだろう。たいしたことではありませんけど、光のマジックみたいな感じ。

写真のタイトルは、そのものすばりで「Puddle (水たまり)」でいかがでしょうか。

2018年8月10日金曜日

日常から (1) To and From

f/20 1/30sec ISO-100 85mm

特別な光景を撮影できる場所に出かけていく努力をするわけではなく、モデルさんの撮影会に参加する勇気は無い。それでも、頑張って有名な撮影スポットに足を運んでは見たけど、結局「きれいな写真」は撮れても、誰が撮っても同じような写真でつまらない。

何とも贅沢な悩みを抱えていることかと、自分でもバカみたいと思うんですが、いろいろ「いい写真」ってどんなものかと考えても、結局答えは人それぞれ。アマチュアは自分が気に入ればそれで良しみたいなところで、あんまのとんがってもしょうがない。

National Geographicという、有名なアメリカの雑誌がありまして、とにかく目を見張る写真の宝庫です。息を飲むような絶景、まさに驚きの瞬間が見事に捉えられていて、素晴らしい写真の数々を集めた単行本をいくつか持っています。

ただし、どう考えてもナショジオのような写真が撮れるはずもなく、ただ見て楽しむだけです。基本的に街歩きフォトがメインの自分としては、お手本にすることすらできないので、もっと普通っぽい写真の方が、現実的な興味が湧いてくる。

そこで、そこらにいくらでも転がっている日常の中から、面白そうな瞬間を探して見ることにしてみます。

今回の写真は、説明の必要はないただの道路の写真ですけど・・・でも、本当は上下にちょうど車がきっちり入る瞬間を狙っていたんですが、なかなかそうは問屋が卸さない。これが精一杯でした。

シャッター速度はゆっくりにして、車の動きを出してますが、アクセントの赤いポール・・・ちょっと彩度を上げてますけど、動きの無さとの対比が面白いかなと。

ですから、写真のタイトルは「To and From (行きと帰り)」とでもしましょうか。激しい色の赤が止まっていて、冷静さを・・・まぁ、あんまり、無理やり意味づけるのは止めておきましょう。

2018年8月9日木曜日

お気に入りの写真家

f/5.6 1/125sec ISO-320 300mm

あーだ、こーだと写真の事を書き続けていますが、「じゃあ、好きな写真家は誰?」と質問されたら、実は返す答えが見つからない・・・

音楽が好き、というなら、好きな演奏家がいるもんです。読書が趣味、というなら、気に入った作家がいる。これは、あくまでも作る側と鑑賞する側がある程度はっきりと分離されているということ。

でも、自分で楽器を扱ったり、なんらかの小説を書いてみたりしても、だいたいお手本にするようなお気に入りはたいていあるものです。

写真の場合は、撮るだけなら簡単で、今どきスマートホンなどでお手軽に楽しむことができてしまいます。写真家に注目するよりも、さっさと自分で撮影する方が早いのか、それほどこだわる人が少ないのか・・・

とりあえず日本人で有名な写真家を思い出そうとしてみると、池波正太郎、秋山庄太郎、立木義浩、篠山紀信、浅井慎平、野村誠一、荒木経惟、蜷川実花・・・せいぜいこのくらい。

だいたいメディアへの露出が多い方か、女優さんとかアイドルの写真集を出版した方ばかり。もちろん、これらの方々は「巨匠」と呼ぶのにふさわしいのだろうと思いますが、写真の歴史上忘れてはいけない大家と呼べる写真家はもっといるはず。

写真がうまくなるために、カメラやレンズの扱いに慣れることはもちろんですが、もっと有名な写真家の撮影した作品を鑑賞して、見る目を養うということも大事ですね。

ところが、写真に関連した書籍というと、もう大多数がハウツー本であり、それもごく初心者向けのものばかりで、どれをとっても書いてあることはほぼ一緒。カメラを初めて手に取った時に、一冊持っていれば十分です。

一人一人の写真家の作品を見るためには、個々の作品集を購入しないとほとんど見ることができないし、これがまたけっこう高価なので手を出しにくい。写真の良し悪しは、プリントの精緻さに大きく左右されるため、値が張るのはやむをえないのかもしれません。

でも、ネットなどで「ちょっといいな」と思う写真を見つけた場合には、その写真家のホームーページを探してみるのはおススメです。他の作品も見ることができますから、どのような写真を撮るのかわかります。

気に入った写真家が見つかったら、門前の小僧になって、下手は上手の始めと思って真似をしてみるというのもありかなと。

2018年8月8日水曜日

「いい写真」って何だろう (7) ディテール

f/7.1 1/100sec ISO-100 140mm

まぁ、いろいろと考えも、写真にまっとうな意味付けをするなんて10年早い。そもそも、写真を撮る技術そのものがちゃんとしていないと、何を語っても机上の空論みたいなもの。

例えば、フリージャズと呼ばれる、何か音程とかリズムとか無視して無茶苦茶に音をだしているだけみたいな音の洪水みたいなねのがありますが、ベートーヴェンをちゃんと弾ける山下洋輔がやるのと、楽典を何も知らないド素人がただピアノを叩くのとは根本からして違います。

どんなことでも、確かな基本を身に付けた上で、応用として初めて個性の上乗せが成り立つものです。基本の裏打ちが無いものは、「素晴らしい感性」などと褒められる場合が有りますが、それは偶然であり、奇跡みたいなもの。

この写真は、撮る前に意図したものをかなり忠実に再現できたので自分としては満足度が高いもの。カメラの設定も無理が無い。暗い屋内から、明るい戸外にカメラを向けているので、逆光気味の光。絞って光量を下げた分、フォーカスが締まりました。

古民家の軒先にぶら下がった風鈴に、がっつりとピントが決まっています。三分割法の構図で風鈴の立体感が浮き出ている感じがします。茅葺屋根の端が写ることで、どういう場所かも想像できる。背景もきれいにボケて、主題である風鈴を目立たせることに成功したと思います。

以前の様にオート中心の設定でシャッターを切っていたら、たぶんこういう写真は撮れない。マニュアルの撮影だからこそです。こういう場合に、「ディテールがうまく再現された」という言い方をします。

Detail とは、細部とか詳細という意味ですが、写真では被写体の細部がきっちりと写り質感が再現できている状態の事。つまり、ピントがしっかり合っていて、白飛びせず、黒潰れもしていないベストな状態です。

絞りは開くほど入ってくる光が多く、f値が小さいほど高価で良いレンズとされます。でも、光量が多い分、被写界深度は浅くなりボケやすいのですが、ピントは合わせにくくなる。絞りを絞っていくと、ピントは合いやすくなりますが、そのかわりシャッター速度を長めにするためにぶれが生じやすくなる。結局、マニュアルでの設定のバランスの問題ということ。

明るい写真のほうが見やすいことがおおいのですが、白飛びしたところは画像のシグナルが無いので、あとで現像で修正というのは難しい。黒潰れのほうが、まだ調整が可能な場合があります。

また、現像ソフトには「シャープ」というメニューがありますが、安易に使うとノイズが目立ってしまうだけです。「アンシャープマスク」は、色の違いや、その濃さの差が大きいところをくっきりさせて輪郭を無理なく際立たせるもの。よりエッジの検出を細かく設定できるのが「スマートシャープ」です。

現像作業では、これらの機能を利用して多少の補正は可能ですが、最初の写真がだめならどうやってもダメはダメ。ですから「いい写真」と呼べる写真を撮るためには、使用するカメラやレンズの特性をしっかりと理解して、撮影の基本テクニックを身に付けることは大切だろうと思います。

2018年8月7日火曜日

「いい写真」って何だろう (6) モーメント

f/4 1/250sec ISO-200 120mm

「決定的瞬間」ということばがありますが、実はこれは写真好きなら知らぬはずがない、フランスの巨匠アンリ・カルティエ=ブレッソンの1952年の写真集のタイトルから使われるようになったそうです。

写真は基本的に現実のある瞬間(moment)を記録するものですから、誰もがはっとして注目したくなるようなある瞬間をうまく切り取眼事ができれば、それも「いい写真」の一つとして成立しそうです。

特に報道写真などではその傾向は強く、ロバート・キャパによる「崩れ落ちる兵士(1936)」、ジョン・ローゼンタールによる「硫黄島の星条旗(1945)」などは、写真に興味が無い人でも「決定的写真」として知られていると思います。

さすがに、決定的とまで言えるほどのシャッター・チャンスは簡単には訪れることはありませんが、おっと思う瞬間はけっこうあるものです。

上の写真はたいした写真ではありませんが、たまたま目の前をセミが飛んでいき、「何処に行くのかな」と思って目で追いかけていったら、よその家の玄関の扉の横にとまりました。それが玄関灯と対称な位置だったので、思わずカメラをむけてみたというもの。

スタジオ・ワークや、ポートレイト撮影を中心にカメラを使う場合は、「瞬間」は撮影者が自ら用意するわけですが、それ以外では写真に残したくなる「瞬間」にたまたま遭遇するか、「瞬間」が訪れることを予想してじっと待つしかありません。

偶然で遭遇するのはチャンスをいかに逃さないようにするしかありませんが、偶然を呼び込むためには何かを予想して観察する目が必要です。そこを歩いている人をじっとファインダーの中で追っかけていくと、次の瞬間転ぶかもしれませんからね。


2018年8月6日月曜日

「いい写真」って何だろう (5) フォーマット

f/2.8 1/3sec ISO-100 70mm

写真のフォーマットというのは、写真の形のこと。今ではデジタル一眼レフカメラが主流で、35mmフルサイズという規格が最も標準的なフォーマットとされています。

これは、もともと一般的だったロールフィルムの一枚の大きさに由来するわけで、一コマの長辺が36mm(35じゃない!!)、短辺が24mmの3:2の比率を踏襲しています。APS-Cサイズでは、長辺が24mm、短辺が16mmで、それぞれの辺の長さはフルサイズの2/3。

人の視野は横に長いので、横長に撮影する写真は見た目に近い自然な光景です。横長の場合は水平を強く意識する必要があります。よく言われることですが、写真では水平・垂直を崩さないというのは鉄則とされ、歪んでいる写真は見ていて落ち着きません。

一方、縦長に使うこともできる。例えば、東京スカイツリーを横長で撮影すると、かなり両側によけいな景色が入り込んでしまいます。余計なものが写るほど主題がぼけてしまい、何を写したい写真なのかよくわからなくなってしまいます。

縦に長いものは縦長に写す方が自然というもの。ただし、この場合下から上、あるいは上から下へ視線の移動を無理なく誘導できる何らかの導線もあったほうがいい。

よく写真館などでプロの方が使うの二眼レフカメラというのがありますが、これは中判フィルムを使用します。フィルムは35mmサイズの長短辺が倍近くあり、さの比率はいろいろで、中には正方形もある。

正方形の1:1のフォーマットは、今どきのデジタル一眼レフではメニューから選択することが可能です。ただし、正方形だと自然に働く水平・垂直の規制はなくなるので、撮影者が考える構図の撮り方に左右される分、やや写真としての難易度が高くなるように思います。

上の写真は、実は最近のものではなく、10年前に初めてデジタル一眼レフを買ったときに、いろいろと試して撮影していたもの。道の向こう側にあるお店と、道路を走り抜けていく車をうつしてみたもの。APS-Cサイズの横長の写真が元ですが、あえて、左右の無駄な部分をそぎ落として正方形にしてみました。

上2/5が場所の雰囲気を伝え、真ん中1/5が明るい店内の静の部分、下2/5が流れている車で動の部分という感じで分けることができるように思います。シャッター速度はもう少しゆっくりにして、ぶれを減らして方がよかったかと思いますが、ごく初期の写真としてはまぁまぁに復活させられたかと思います。

2018年8月5日日曜日

「いい写真」って何だろう (4) ストーリー

f/4 1/800 ISO-800 18mm

もう、考えれば考えるほど、「いい写真」って何だろうという悩みの答えはわからなくなってきます。そもそも、仮にわかったとしても、それを実践することはけっこう大変難しいことだろうと思うし。

写真に限らず、物事の良し悪しは主観的な評価です。時代によって変化するし、集団によっても違ってくるわけで、絶対的な「いい写真」の正解なんてものは存在しないだろうと思います。

少なくとも、アマチュアの自分の場合には、「いい写真」の定義は自分で決定しても誰にも迷惑をかけることはないだろうと思います。だから、自分が面白いと思うのが「いい写真」である、という曖昧な答えにしておけば悩みからは開放されやすいかもしれません。

じゃあ、自分が面白いと思うのはどんな写真なのか・・・

上の写真は一例ですが、横浜赤レンガ倉庫の写真を「横濱赤煉瓦倉庫」にしてみたというもの。つまり、加工ばりばりですけど、いかにも赤レンガ倉庫が倉庫として活躍していた時代の雰囲気を自分なりに表現してみたということ。

いじっていない元の写真もお見せするとこんな感じ。


まずはカラーを取り除いてグレースケールにしました。続いて、カラーに戻して全体をセピア調にして、周辺減光を積極的に出します。コントラストをきつめにして、ノイズを加えてディテールをつぶしたわけです。

これのどこが面白いのかというと、明治時代にタイムスリップして、鹿鳴館みたいな感じの人々が建物の前の通路を日傘をそしてそぞろ歩いているようなイメージが湧いてくるというもの。さらに、荷車を引いて走ってくる人足がいるかもしれないし、人力車も通るかもしれません。

何か、そういう、一枚の写真から物語が想像できるような感じが面白さにつながるように思います。「わー、きれい」、「これはすごいね」だけで終わってしまうんじゃつまらない。下の元写真だと、「ふ~ん、赤レンガ倉庫に行ったんだね」でおしまいです。

本来は、写真を撮った時点で出来上がっているのが一番いいとは思いますが、時にはこういうデジタル現像による加工もある程度は許されるのではないでしょうか。

これは、シャッターをやみくもに切るのではなく、その前に一瞬でもどんな写真を撮ろうとしているか想像しておくことが大切なのかもしれません。撮ろうとしている写真から、どんなストーリーが生まれてくるかを考えておくだけで、出来上がった写真の面白さが格段と増えていきそうな気がします。

もちろん、そのためにはテクニックはできるだけあった方がいいし、機材もいいものを使うにこしたことはない。でも、ダメダメの写真でも、その写真から何かのストーリーを想像できるなら十分に面白いし、そういうのが「いい写真」と呼べるのかもしれません。